孤独行進 公演情報 劇団百鬼夜行「孤独行進」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    舞台裏
     最近、舞台裏を演じて見せる、という内容の芝居が多いように思う。無論、清水邦夫の{楽屋」はその傑作であるが、自分が最近、見る舞台裏は、かつての芸の道の厳しさを舞台裏を使って表現するような作品ではなく、むしろ、もっと下世話な話を舞台化しているように思われる。たとえば、劇団員同志の色恋、たとえば努力しているのに報われない歯痒さ、妬み嫉みとスターシステム、更には、近年、自分の才能を演劇だけではなく政治に発揮し官僚を抱き込んで自己の利を図る輩まで出てくる世の中についてゆく気の無い誇りと貧乏というジレンマに悩む姿などが投影されているような気がするのである。
    周知のごとく、この国の文官の文化レベルは異常に低い。従って、既に評価されている文化に対しては、補助金も援助も惜しまないが、自分達の目で見て優れたものを見分ける目は彼らに無いので、有名になった人物が、政治的手腕を用いれば、たやすく籠絡できるのだ。こんな奴バラが跳梁跋扈する今日の演劇界で「芸術至上」を懐に抱えた未成熟でぶきっちょな表現者が、やる気や決意の固さばかりで対抗しようとするとき、このような様式が現れるのではなかろうか? ただ、自分は思うのである。一時、その危うさ、新鮮と見まごうやぶれかぶれ、が評価されるにせよ、それは長続きしない、と。エネルギーの使い方に無理があるからである。それより知的、知恵レベルで武装し、その方面から、敵を殲滅すべきである、と。
     だが、何はともあれ、今の彼らを見ておく必要はあろう。そして、考える必要も。

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    2012/07/16 02:20

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