つか版・忠臣蔵~スカイツリー篇~(東京) 公演情報 劇団扉座「つか版・忠臣蔵~スカイツリー篇~(東京)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    女は凛々しく美しく、男は無様でカッコ良い
    つかこうへいさんの舞台は、90年代末期から00年初期作しか見ておらず、その当時は過去作品上演で役者は替わり商業規模が大きくなったリメイク作しか見ていないので、面白さとか興奮とかの印象は思い起こさせず、隔世感のようなものというか舞台の見方が偏っていたと思う。
    なので、正直その当時は戯曲からなる、つかさんの凄さというものをあまり感じることが出来なかった。

    が、今回は!
    横内さんと扉座のつかさんへの作品愛が深〜く伝わる素敵で魅力的な舞台だった。
    命の息吹が沸き上がるような、色気あって熱気あって楽しくってド派手で!これがつかこうへいの舞台の威力か!こんなの見せられたら即効ホレるって!
    台詞の一言一言が血管切れそうなスピードで喋りまくり叫びまくるが、いい役者さんばかりなので楽しんで聞いてられる。
    舞台観ながらこんなに興奮したのも久しぶりかも。
    おみそれしました!いい舞台を見せて戴きました!!

    亨さんの華麗な殺陣と軽快なステップが見られるのもいい!極上至福!

    ネタバレBOX

    女はレオタード姿の殺陣で魅せ、男は眩しい白ジャケットで極める。
    女だけど男だと言い張る〜、や、劇中歌のチョイスからマイクパフォーマンスに至るまで見ている内にグイグイ物語に惹き込まれ、あっという間に終ってしまった感じ。
    最後にスポットライト浴びてタキシード姿で全員踊るのか!?と期待したけど、さすがにそれはなかった。‥ちょっと見たかった気もするw。
    劇作家近松と松尾芭蕉の弟子其角、赤穂藩浅野家、吉良家、将軍家、近松一座が混じり合うカオスな展開なんだけど、討ち入りの大義が全てに於いて理屈や理想より、救いを求める人々から垣間見える憤りやその人々への気持ちの故の愛や運命からなるものに、つか作品が脈々と息づいているようだった。

    冒頭から機関銃のように捲し立てる岡森近松さん、揺るがなくって凄い。
    阿久利麻理さん、凛々しく意志の強さと苦難を逆手に取る刹那な表情が良い。
    七五郎美奈子さん、いるだけでぴりっと締まる男装の麗人ぷり。素敵。
    源吾有馬さんと内蔵助犬飼さん、闘わない意志を貫こうとする姿勢はリーダーたる姿勢と中間管理職の迷い事が透けて見ているようで、時に重苦しく切実だけどわかりやすい。
    団十郎新原さん、かつての萩原流行さんばりのキメまくった表情でたまらんかった。
    桂昌院の中原さん、自由自在の行動に存分に笑わせてもらいました。
    吉保の佑佳さん、阿久利とはまた違う凛々しさと頭の良さが垣間見えてそれがまた魅力的。
    上野介鈴木さん、自ら罠にはまってしまい、殿様なのに小市民ぷりが余計にいい人に見え最後まで気の置けない人だった。
    内匠頭野田さん、おぼっちゃまぷりに可愛気が前面に出て面白かった、ちょっとイラっともくるけどw。
    人数多いのでヒトマトメにするけど(すみません)イケメンぞろいのチーム赤穂浪士!スケコマシやら家族思いやすぐ生き返る人とか、盛り沢山過ぎて面白すぎる。面白過ぎて忠義へ転ずる場面は哀しく美しかった。あと、某小田さんの季語は「さよなら」と「せつない」だと思う。
    山本亨さん、台詞にしろ殺陣にしろ流石の安定感、ぐっとくるシーンが多過ぎて、この舞台で見られた事に思わず溜息。

    徹底した扉座版の忠臣蔵つか芝居。
    セリフがまるで当て書きのようで聞いてるだけで気分が高揚する娯楽舞台だった。面白かった!

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    2012/06/18 02:11

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