百年の秘密 公演情報 ナイロン100℃「百年の秘密」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    ケラ式「わが街」、はたまたチェーホフ劇
    って感じのお芝居でした。

    確かに、ケラさんの作劇は上手いと思います。

    3時間半、長いけど、カットすべき箇所は思い当たりません。

    あれだけの、登場人物、一人二役、三役もあったりして、その上、時間が過去や未来に行ったり来たり。それなのに、全くこんがらがらないのは凄い。

    でも、この作品、所詮、作り話の域を出る芝居ではなく、よって、登場人物誰一人として、感情移入できるような存在もみつけられないまま、ずっと、客席から、傍観してしまいました。

    何役も演じたり、同一人物でも、若い時や老齢まで演じ、役者サイドのテキストとして見たら、秀作脚本かもしれませんが、一般観客である自分には、今回の作品は、凡作に思えました。

    実力ある俳優陣が勢揃いしている劇団だから、途中で帰りたい気持ちにもならず、観られるのですが、これをもし、素人紛いの劇団が上演したら、たぶん、途中で、帰りたくなるかもしれません。

    萩原聖人さんと、ベイカー家の女中、メアリー役の長田さんがとにかく秀逸な演技と存在感でした。

    100年の歴史を現す、映像の使い方、見せ方の巧みさにも、感嘆しました。

    ただ、室内と庭の境がないので、舞台の中盤まで、登場人物がどこにいるのか不明な箇所が多く、そういう余計な神経を使わされて、やや疲れました。

    せっかく、台本構成は巧みに書かれているのに、セット面で、難解にしてしまったようで、残念でした。

    ネタバレBOX

    ケラさん流の「我が街」か、「桜の園」、「三人姉妹」、「かもめ」などのチェーホフ劇かというような、壮大な趣の、ある家族と、その周囲の人々の100年に及ぶ歴史物語で、本当に、芸達者な皆さんの、何役もの演技や、幼児から、晩年までのおちゃのこさいさいの演じ分けは、観ていて、楽しいものがありました。

    行きつ戻りつのお話で、一体どこでラストシーンになるのかと思っていたら、小学生のティルダとコナが、年長のカレルが思慕するアンナ先生に宛てた恋文を木の下に隠す相談をするところで終わり、これはちょっと意外でした。
    正確な台詞は忘れましたが、二人が、「アンナ先生に洗脳されてるかも」というような会話をするのは、先日の中島さんの騒動などを想起してしまい、この芝居のエンディングには相応しくないような気がしました。

    むしろ、本当は、兄弟かもしれない、元恋人同士の、老年のポニーとフリッツが、二人手を取り、寄り添って退場するところで、終幕としてほしかったなと、個人的好みでは、そう思いました。

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    2012/05/11 04:11

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  • 済みませんKAEさんの感想についておたずねしたわけではなく、
    同じような感想を抱いた方に私の疑問についてご意見伺った次第。
    失礼致しました。

    2012/05/14 02:10

    形状不明様

    確かに、私も数日経過した今、そんなことも考えたりしました。

    作者も演出もケラさんですからね。

    たとえば、私がわかりにくかった、部屋と庭との境にしても、照明などで、幾らでも別次元を表すことはできた筈で、これはわざとあーいう作りにしたのかもしれないと思ってもいます。

    ただ、私は作品論を書いているわけではなく、あくまでも自分の観た印象を書いているので、たとえ、ケラさんが意図されたのだとしても、あまり自分好みではなかったという感想を書いたつもりです。

    あまり、登場人物に、血肉が行き渡っている感じがせず、私は、感情移入できる芝居が単に好きなものですから。

    2012/05/14 01:51

    >でも、この作品、所詮、作り話の域を出る芝居ではなく
    同じくでした。
    でもこんなに作劇の上手い演出家がそれに気づかないことはないと思います。
    もし、この凡作感が意図のうちだとしたらどうでしょう?
    100年に及ぶ歴史物語で見せたかったものはないんでしょうか?

    2012/05/13 23:37

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