面白くない、んだけど〜
<承前>
以前、伊藤靖朗さんがピーター・ブルックを熱く語っておられたので
興味を持ち、観に行くことにした。
私はピーター・ブルックの演劇を観たことがなかったのだ。
<感想>
面白くない
何が言いたいのか?
言いたいことは強く出ていない
なぜそうなったのか、は、なくて、あらすじ …ダイジェスト
主張しない 声をはりあげない 歌い上げない 響かせすぎない
それなのに
面白く感じなかったけど、眠くならなかった。
むしろ全開で観ていた。
疲れない、丁度良く、帰れる。
転換がない。ズムーズ過ぎて、転換じゃない。
ずっと歌っている。うまく繋がっている。
ピアノと歌と演技のコンビネーションが巧みすぎるのかも。
流れていく。
この作品は心を沈静化させる作用はあるが、
私に面白いと感じさせることがない。
消極的な魅力。
友愛 美徳 愛 そういう言葉が浮かんだ。
ヒーローとラスボスという対立関係があるように窺えるのだけど、
実は誰も争っていない。
行ってみたら、敵じゃない。とか。
でも、
演出家の考えてたことはそういうことなの?
『魔笛』では、何を描きたかったのか見えない。
ただ、演出は完璧だ。
演出は隅々までを支えて、制御し、行き渡り、
空間は満たされている。
あそこ空いちゃってるよ~ってところがない。
人やものの配置が緻密。
神の手が舞台をコントロールする。
ここまで完璧に出来て、初めて批評されるに足る作品なのだ、と感じた。
至らないものなどない、という状態が、板の上に広げられていた。