ピーター・ブルックの魔笛 公演情報 ピーター・ブルックの魔笛」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-11件 / 11件中
  • 観てきた
    3/23

  • 面白くない、んだけど〜
    <承前>
    以前、伊藤靖朗さんがピーター・ブルックを熱く語っておられたので
    興味を持ち、観に行くことにした。
    私はピーター・ブルックの演劇を観たことがなかったのだ。

    <感想>

    面白くない
    何が言いたいのか?
    言いたいことは強く出ていない
    なぜそうなったのか、は、なくて、あらすじ …ダイジェスト

    主張しない 声をはりあげない 歌い上げない 響かせすぎない

    それなのに
    面白く感じなかったけど、眠くならなかった。
    むしろ全開で観ていた。
    疲れない、丁度良く、帰れる。

    転換がない。ズムーズ過ぎて、転換じゃない。
    ずっと歌っている。うまく繋がっている。
    ピアノと歌と演技のコンビネーションが巧みすぎるのかも。
    流れていく。

    この作品は心を沈静化させる作用はあるが、
    私に面白いと感じさせることがない。
    消極的な魅力。

    友愛 美徳 愛 そういう言葉が浮かんだ。
    ヒーローとラスボスという対立関係があるように窺えるのだけど、
    実は誰も争っていない。
    行ってみたら、敵じゃない。とか。
    でも、
    演出家の考えてたことはそういうことなの?

    『魔笛』では、何を描きたかったのか見えない。

    ただ、演出は完璧だ。

    演出は隅々までを支えて、制御し、行き渡り、
    空間は満たされている。
    あそこ空いちゃってるよ~ってところがない。
    人やものの配置が緻密。
    神の手が舞台をコントロールする。

    ここまで完璧に出来て、初めて批評されるに足る作品なのだ、と感じた。
    至らないものなどない、という状態が、板の上に広げられていた。

  • 歌が弱い
    ネット上で随分感想が出ている通り、歌唱がパワー不足。きちんとしたオペラを観たことがない私でもはっきり思いました。なんだかなあと思い、無料配布にしては随分豪華なパンフレットのキャスト一覧を見たら、私が観た楽日は主要キャストはパパゲーノ以外全て、埼玉公演のみの出演とのこと。要するに、一軍メンバーではないということでしょうか。これではきちんとこの作品を観たことにならないのでは・・・。
    オペラの敷居を下げて、観客にドラマを優しく手渡そうという意図は伝わってきました。オペラ「魔笛」との関係性の中でこの作品は評価されるべきなのでしょう。

  • 満足度★★★★

    喉に刺さった「あれっ?」っという小骨が、あっても…
    そこはピーター・ブルックだ、っていうことにしておこう。

    オペラ入門編……というわけではなく
    オペラ・マニア向け……というわけでもない。

    オペラっていうキーワードからの接近はどうかな、と思ってしまっている。

    ネタバレBOX

    つまり、これってどう観たらいいんだろうか、とフト思った。
    確かに『魔笛』を上手い具合に90分という時間にまとめて、ストーリーとしてはよくわかる。
    何より、まったく退屈させない。
    ユーモアたっぷりだし。

    だけど、オペラとして観るとどうなのかなという気持ちが少しある。
    いや、オペラと銘打ってはないの…かな?
    「ピーター・ブルックの」とは銘打ってある。
    「ピーター・ブルックの」ってのは、ミソだなぁ。

    そういうのですぐに思い出すのは、「川越シェフのキムチ」とかそんな感じのものだ。
    まあ、キムチは横に置いておいて、ピーター・ブルックという人については、演劇素人の私には「凄い人みたい」程度のことしか知らない。
    だけど、昨年は、SPACで『WHY WHY』を観た。

    それは、大昔観た『マルキ・ド・サド演出〜略〜と暗殺』という映画にビックリした想い出があるからで、その舞台は観てみたいと思ったからにほかならない。
    浮き足だって、調子に乗って静岡まで出かけてしまった。

    で、前置きが長すぎたのだが、「どう観るか」なのだ。
    もちろん「どう観るか」なんていうのは、本来バカな話で、「観たまんま」でいいのではあるのだが。

    実際観たものは、とても若々しくって、軽やか。
    90分はあっという間。
    客いじりっぽい演出もあり、笑いも起きて楽しいものだった。
    それは間違いない。

    しかし、オペラという狭い枠から覗いていると、「歌」が気になってしまうのだ。
    もう少しなんとかならなかったのか、という印象だ。

    さいたま芸術劇場の大ホールというのは、思っていたよりも小さく(『ハムレット』行ったけど、全体を見たのは初めて)、生の歌声が気持ちよかったのだが、オペラのもの凄さというものがなかった。

    いや、もの凄くなくていい。
    オーケストラじゃなくたって、ピアノだって十分ではある。

    だけど、例えば、夜の女王が歌う、ソプラノを活かした高音のパートの、「あれっ?」感は、ちょっと腰が砕けてしまった。
    オペラファンでもないし、ましてやマニアでもないのだが、歌声のあの感じに「あれっ?」と思った人は多かったのではないだろうか(その日だけのことかもしれないのだが、そうだとしても、それはない)。

    と、書いたが、そうでもなかったようなので、多くの観客は、いわゆる「演劇」の延長としての、「歌のシーン」として観たのかもしれない。
    というより、あるがままを受け入れた…とか。

    オペラに比べて歌がどうこう、ということではなく、そういう視点から観ればまた違った景色が見えるのは確かだと思うからだ。

    結局、とても歯切れの悪い書き方をしているのは、そこんところが、喉に刺さった小骨のようで、どうもすっきりしてこない。

    オペラをカジュアルにして、自分の手中に軽く納めてしまった、ピーター・ブルックという人は凄いな、と思う半面、多くの人が知っているモーツアルトの『魔笛』だから、その歌はやっばり比べてしまうのは当然で、そこでの「あれっ?」は、やっぱり気になってしまう。

    『WHY WHY』でもそうだったが、オペラまでこんなに、シンプルしてしまうのは、なんてカッコいいのだろうと思う。
    自信というか、余裕を感じてしまう。

    なにはともあれ、結局のところ、さいたまに行っただけの価値はあったし、なによりピーター・ブルックという、ブランドに弱くなってる私(実はよく知らないけど、前観た『WHY WHY』が面白かったし、『マルキ・ド・サド演出〜略〜と暗殺』で驚いた)としては、星は甘くならざるを得ない。「あれっ?」という小骨があったとしても…だ。


    そうそう、あのラスト、本来は大団円で、めでたしめでたしのシーンがあるはずなのだけど、あえてそれを「並ぶだけ」にして見せた、演出も好きではある。
    観客側の、変な間を、ひょっとしたらピーター・ブルックは、幕の後ろでほくそ笑んでいるんじゃないかと思ったりしているからだ。

    あ、あともうひとつ。「魔笛」が、マギー司郎の手品ぐらいの感じで、タミーノの手の中でずっと浮いているっていうのも、おちゃめな感じでよかった。

    ピーター・ブルック、また来たらまた観るだろうな。
  • 満足度★★★★★

    シンプルな空間から
    ピーターブルックのシンプルな舞台セットの中で魔笛が行なわれるということで、期待して観に行きました。舞台上にはほぼ竹と布だけであり、それによって生まれる空白部分を観客側が想像することが出来るのというのがとても素晴らしく観ていて飽きなかったと思う。ピーターブルックの作品を生で見たことが無かったので今回観れてとても良かったです。ただ重厚なオペラ作品として期待をして観てしまうと肩すかしを食らうかもしれません。自分は学生券3000円で観ることが出来たので文句は無いですが、定価で観たらまたちょっと違った感想になるのかなとも思います。
    勉強になりました。ありがとうございます。

  • 満足度★★★★

    魔法の笛は浮いたよね?
    オペラの『魔笛』を観たことがないので(オペラ自体ない)比べられないけれど、演劇として楽しんできました。13年前に観た『The Man Who』ほど衝撃も感動もなかったけれど(笑)ピアノの生演奏があたたかく、なかなかチャーミングな舞台でした。ストーリーを知って観たら違う感想になったかもしれませんが・・。
     
    でも・・あのクォリティが彼らの本当なのかな?とも思うのです。日本語の台詞を入れるサービスもあったけれど、ちょっぴり気になりました。(日本のみのキャストが数人いたという・・)

    ネタバレBOX

    竹の演出は、思っていたよりさりげなく、バラバラ感が・・。『春琴』の竹棒のほうが凄かったです。
  • 満足度★★★★

    簡素で軽やか
    通常はオーケストラ伴奏で、セットの入れ替えも要求される、2時間半~3時間かかる作品を必要最低限な要素だけを残してコンパクトな形態に構成し直していて、「オペラ」ではなく「ジングシュピール(歌芝居)」と題された通りの、演劇的要素の強い演出で、楽しい公演でした。

    序曲は序奏部だけでアレグロの主部は飛ばしてすぐに第1場に入り、その後もサクサクと物語が進み、アリアの後も拍手をする間を取らず次の台詞を被せて行くスピーディーな展開が爽快でした。
    物語の展開のきっかけとなる、3人の侍女や3人の天使は登場せず、2人の俳優がそれらの役を担うことによって、メインキャラクター達の関係性に焦点を当てていました。

    最近のオペラ演出にありがちな、時代設定を現代に置き換えて社会的なメッセージを訴えるようなこともせず、ある意味とてもオーソドックスな演出でしたが、色々と遊び心が感じられて、新鮮でフレンドリーな雰囲気がありました。竹と布と控え目な照明だけで十分に独自の世界観が立ち上がっていて素晴らしかったです。

    ピアノ1台の伴奏にすることで歌手の表現や息遣いに沿った、自由なテンポ感が生じ、躍動感のある音楽になっていました。冒頭の和音からして原曲のオーケストラの重厚な響きとは対照的なふわっとした響きで、印象的でした。途中にモーツァルトのピアノソナタが引用されていたのも自然で効果的でした。
    歌手達は少々物足りなさを感じる時もありましたが、いわゆるオペラの気張った感じではなく、親しみを感じる雰囲気がありました。

    ブルックさんの演出を観るのは今回初めてで、本やネットで知った情報から非常に革新的なものが観られるのではと期待し過ぎてしまい、原作に忠実な演出(特にパパゲーノ絡みで普通のオペラ公演でも定番のネタが多かった気がします)に拍子抜けしてしまったところはありましたが、変に色々盛り込まずにシンプルに徹することから生まれる美しさが魅力的でした。

    大掛りにしなくても充実したオペラ上演が可能であることを示したこの作品を観て、日本では別世界になっている、小演劇系の演出家とオペラ団体がもっと交流して、新鮮なオペラ公演を行って欲しいと思いました。

  • 満足度★★★

    「ピーター・ブルックの魔笛」
    オペラと思うと貧弱で、演劇と思うと退屈で。何を目指した作品だったのかな。歌は片手間でいいから(聴き惚れるほどは上手くないので)、豊潤な沈黙が欲しかった。パパゲーノは可愛いらしかった。

  • 満足度★★★★★

    創造できる楽しさ
    シンプルな舞台であれだけの世界をみせてくれるとは!!余計なものが何もないから想像できる楽しさも味わえる。翻訳字幕も邪魔にならに素敵な位置に掲げられていて訳もシンプルでよかった。なにより楽器はピアノ1台。あとは声(歌)と言う楽器が魔笛の世界を盛り上げていく。モ-ツァルト…。素晴らしい空間を楽しめたことに幸せを感じました。ただ、チケット代ケチってA席にしたのが悔やまれます(笑)

  • 満足度★★★★★

    素晴らしかった!
    物語があり、
    美しく、
    楽しい。

    抽象的な舞台装置から
    具体的なシーンを観客に見させる力、
    俳優陣の動きの美しさ。
    嗚呼、
    自分は今まで如何に
    ピーター・ブルックの舞台も見ずに
    猿真似をしてきたことか。

    この時代で演劇に携わる者として
    ピーター・ブルック氏の作品を見ることができて
    本当に良かった!
    これは語り草になりますよー。

  • 満足度★★★★★

    当日券
    とれたので。

    チケットのために駅から走ったのは久々だなぁ・・(苦笑
    補助席でも何の問題もなく観れてよかった。

    ピーター・ブルックは、軽やかで素敵です。
    ゴテゴテしてない舞台美術もモーツァルトの音楽にぴったりと合っていて、
    自分にはかえって良かったようにも思いました。

    ・・まるで、即興のライブでも見てるみたいな軽やかなリズムのなかで、
    自分も気軽にリズムを取ったり、面白い仕草に吹き出したりしながら、
    気付けば、あっという間の90分でした。

    ちょっとした舞台に比べても少し高め(といってもオペラとしてはそれほどでもないのかな)
    だと、観客もそれなりに重みのある方が観た気になるのかもしれないけれど、
    自分はこれくらい軽やかなほうが好きだなぁ・・(笑

    まぁ、わりと文学好きだと、モーツァルトというと、聴いていると、つい
    「疾走するモーツァルト」(高橋英夫)だとか、
    小林秀雄先生の文章のいくつかが
    すぐ頭に浮かんでしまったりするのだけれど(苦笑
    この舞台はとてもシンプルでありながら、
    ひと目でそのセンスの良さが感じられて、
    洒脱で瑞々しい作品に仕上がっていて
    (洗練というのはこういうことを言うのだな)、
    観ている間もすっかりその身についた羽のような軽やかさのリズムに夢中になって、
    ほかの誰かの音楽の文章を思い出す暇もなかった(笑

    ピーター・ブルックなどというと、
    マハーバータラ10時間などがよく話題になったりするけれど、
    こうした90分の軽やかな作品のなかにこそ、
    趣味の良さが凝縮されている気もして、
    その素晴らしさを再認識したりもするのでした。

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