芸劇+トーク―異世代劇作家リーディング 『自作自演』<第4回> 唐 十郎×渡辺えり 公演情報 東京芸術劇場「芸劇+トーク―異世代劇作家リーディング 『自作自演』<第4回> 唐 十郎×渡辺えり」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    念願だった対談が実現
    チラシではよく内容がわからず、トークショーなのかと思っていたら、リーディングもたっぷりあって、とても楽しめた。


    渡辺えりさんが唐十郎さんを尊崇し、強く影響を受けていることは前々から聞いており、お二人の対談を聞いてみたいと願っていただけに、とてもありがたい企画だった。

    渡辺さんが「私は若いころから唐十郎一派と言われてきたけど、自作に歌が入るのは、やはり唐さんの影響で、ミュージカルからの影響ではないんですよ」と明言されたのが我が意を得たり、で嬉しかった。

    月並みな言い方だが、「芝居が好きでたまらない」というお二人の真情が痛いほど伝わってきた。


    水天宮ピットも、こういうことでもないと、私が観るような公演をやっていないので、足を運ばない会場である。

    ネタバレBOX

    唐さんの芝居はラストに舞台後方が開くことが多いが、オープニング、舞台後方が開いてのお二人の登場に会場がどよめいた。


    渡辺さんは『夜の影』と『ゲゲゲのげ』から朗読と歌を披露。唐さんは『少女仮面』の朗読と歌。

    渡辺さんの朗読は何役も演じ分けるのがあざやかで惹きこまれてしまう。


    唐さんはもっと芝居がかった読み方をするのかと思っていたら、飄々、淡々としている中にも、ボーイたちのコミカルな演技や、水道飲みの男のとぼけた行動など、私が大好きな『少女仮面』の第一場の情景がありありと浮かんできた。


    渡辺さんが自作の役がやりにくいのは、自分の実像と周囲の持つイメージが違うからで、「本当は『ガラスの動物園』のローラのような女性なので」に会場からは笑いが。
    「作・演出だけでいっぱいいっぱいで、自分の役は稽古時間が取れず、必死でこなすので、共演者から浮いてしまい、渡辺だけ客演に見えるって言われた」とのこと。

    唐さんが鈴木忠志さんの依頼で『少女仮面』を三日で書き上げたというのも驚き。司会の扇田昭彦さんによれば、唐さんの戯曲は推敲なし下書きそのまま清書であれだけの傑作が完成するというのだから、やはり天才である。

    渡辺さんが唐さんの『逢魔が恋暦』を初めて、商業演劇の牙城・新橋演舞場で、演出した時がまだ30歳だったというのもすごい。


    その際に渡辺さんが描いた舞台美術プランの原画を持参されたが、「これを朝倉摂さんに見せて創っていただいたけど、先日、コクーンの『下谷万年町』観て、あれっと思った。ちょっと似てません?あの装置は?」に唐さんがすかさず「朝倉さんですよ」

    「あら、じゃあ、これ、ねえ・・・私が描いたの。朝倉さんに・・・」に場内からは感嘆の笑いが。


    渡辺さんは話術にたけ、巧まずしてまるで芝居のように面白い。

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    2012/03/23 11:44

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