バックギャモン・プレイヤード 公演情報 カムヰヤッセン「バックギャモン・プレイヤード」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    戻れない場所へ
    わかりやすくて、スッと入っていける優しい空間。ただ描こうとしている世界が壮大すぎて、あぁ壮大だなぁという印象しか残りませんでした。豪華な客演陣で大きな劇場で良いテーマで、もう少し丁寧に人物が描かれると共感も大きいなと思いました。

    ネタバレBOX

    便利で豊かな僕らの生きている現在の資本主義社会は幸福なのだろうか?
    「3・11」を強く意識して創作されたんだな、と感じる作品内で語られるのは「効率」と「競争」。それは、昨年(2011年)6月に、スペインで「カタルーニャ賞」を受賞した村上春樹の授賞式のスピーチにも通じるところがあるなと思いました。

    「知らない事を知っている」村人達は、「知らない」けれど幸せに暮らしていた。ある時、隣村の要請に押されて物知りを受け入れ、村の運営を委ねる事になる。村の人達は、物知りの助言を受けて「効率」的に生産性をあげ、周囲の村と「競争」しながら、人を雇ってより多くの富を得る事が出来た。しかし、村民の一人、花火師の男が村に火をつけて逃亡。もともと、土壌に燃えやすい土が多いことで、花火が盛んな事で有名だっただけに、消火後も火がくすぶりいつ再び発火するともわからない不安定な場所となってしまった。村民は村を追われ別々の地へと散り散りとなる。

    何より、わかりやすく本質に迫る物語の構造はスゴイなと思う。現実の原発事故と、物語では住めない理由が圧倒的に違うけれど、戻れない場所への、故郷への思いは同じかなと思う。「効率」や「競争」で図れない幸福についての問い掛けは、考えさせられる。ただ、「知ってなお生きていく」、その先の物語が見たいな、と思ってしまい未消化な部分が残る。

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    2012/02/12 23:00

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