吐くほどに眠る 公演情報 ガレキの太鼓「吐くほどに眠る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    初演とは違った衝撃
    初日を拝見。

    初演も観ていて・・・。
    比べると、特に前半の混沌がクリアになって
    物語に広がりと客観性が生まれた印象。

    その分、作品により普遍的なニュアンスが
    生まれたように感じました。

    ネタバレBOX

    初演のときにも感じたけれど、
    一人の女性の人生が
    光も影も含めて
    本当にしなやかに観る側に伝わってくる。

    幼いころの記憶、
    高校生のころのビビッドさ、
    家庭のことや友人のこと、
    さらには夫のことも含めて
    シーンごとに観る側に手渡されていきます。

    興味深いことに
    作品からやってくるものが
    初演とまったく同じかというと
    そういうわけでもなくて・・・。
    脚本には若干手が入ったようだけれど
    初演と物語の骨格が変わっているわけではない。
    でも、語り部的におかれた女性から、
    他の役者たちが紡ぐ物語を受け取る感覚が
    かなり変わったようにも感じられました。
    たぶん、それは、
    演じられる場が圧倒的に広くなり
    役者それぞれの動きがクリアに見えるようになったことや、
    シーンの重なりにノイズが減って
    彼女の人生の道程がより整理されて
    伝わってくるようになったことなどにもよるのでしょうけれど・・・。
    初演時には 役者達が交互に語る記憶が
    語り部役の女性の内から湧き上がり、
    観る側で形になっていったのに対して
    今回は、彼女の表情とともにある、
    内心にほどけ浮かぶ記憶が
    そのまま流し込まれてくるようなような感覚があって。

    功罪ということでもないのですが、
    初演のときのほうが
    場の質感や表現が混沌としていた分、
    うまくいえないけれど
    その女性が内心に抱く思いに
    よりリアルな温度を感じることができたかも。
    一方で、今回のほうが
    物語に透明度がある分、
    彼女自身の思いからの理を感じることが出来
    その分、浮かび流れていく記憶に対する
    女性の表情に
    よりゆすぶられ、引き込まれたように感じました。
    さらにいえば、
    人が生きることに流されていく必然のようなものは
    今回のほうがよりクリアに伝わって来たように思います。

    もちろん、初演にしても今回の公演にしても、
    観終わって、彼女が歩んだ半生を
    そのまま受け取ったような感覚は観る側に
    しなやかに残るわけで。
    不安感にも、高揚にも、閉塞感にも、記憶が解ける感覚にも・・・。
    作り手のこの表現だから伝わってくるものが
    間違いなくあって。
    時間を忘れて、舞台に惹かれ、
    積み上げられた女性の記憶の広がりに取り込まれて・・・。、
    終演後もしばらくその感覚にとらわれ続けた。

    もっといえば、初演と今回を見て、
    演じる役者達の色や演じ方の個性を
    作り手の表現方法が封じ込めるのではなく
    むしろ生かしていることにも気がついて。
    また、同じ作品を再び演じるということではない
    作り手の作劇の引き出しがさらに広がったような感覚もあり、
    初演と今回の両バージョンを観ることができて
    本当に良かったと思う。

    なにはともあれ、作り手のメソッドに
    再びがっつりと嵌ってしまったことに間違いはなく・・・。
    初日の観劇ということで
    作品にもっとグルーブ感が生まれる予感もあり、
    思わず再見を予定してしまったことでした。

    *** *** ***

    楽日にもう一度観ました。

    初日のちょっとしたぎこちなさが払拭されて、
    刹那がさらに豊かになっていて。

    物語を知っていることが
    さらなる舞台の新鮮さに繋がっていくことに驚き。

    この舞台の奥深さを感じました。
    (よって★もひとつ+)
















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    2012/01/12 17:22

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