引き際 公演情報 metro「引き際」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    やりたい放題!笑
    序盤、4人の著名人たちがビップルームでポーカーに興じている場面から。これらは現在日本が置かれている大地震による環境と政治の混乱、金持ち達は海外へ脱出していくさまを風刺したものだ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    そんな混乱の最中、東北の海岸に巨大な「海獣」の死体が何体も流れ着き、海岸を埋め尽くす。と、同時に各地で天変地異が多発し、新政府は放射能除去装置の開発に国家の命運を賭けていた。開発者は天才と謳われる亀田博士である。しかし亀田博士の倒病により、その道を隔たれた政府は放射能汚染の賠償を迫る国際社会と絶縁し鎖国してしまう。・・・とこう書くと、なにやら舞台はシリアスで物々しいように思えるが、実際は客いじりしながらのやりたい放題のはっちゃけたエンタメだ。苦笑!
    特に、柿乃花先生のちっちゃな人形を使っての腹話術のような一人舞台は失笑!の類。観客はやれやれ・・の表情だった。

    鎖国前夜。舞台は海辺の廃墟の町。その片隅にあるスナック「牛の腸」で出来事。人を殺しながら移動している鈴子は、ここでブスなママを殺して次の客が来たら殺そうと待ち構えていた。そこに海獣の内臓で作った不老不死の薬を売って闇商売をしている解体作業員のヒロシが、葱を背負った鴨のように現れる。

    鈴子はヒロシをなんなく殺し、次いで元自衛官のトラブル処理屋金本、超絶行商人の黒俣がスナック「牛の腸」にやってくる。鈴子は彼らを殺す機会を探りながらもヒロシが持っていたセンズのようなものをつまみ代わりに3人で食べていた。これが不老不死の薬だったのだが、この時点で彼らはまだ知らない。

    そんな折、ふとヒロシが生き返ってしまう。つまり以前から不老不死の薬を食べていたヒロシは死ねない体になっていたのだった。ヒロシが突如として生き返ったのを驚き、鈴子はまたも刺し殺すが、やはりヒロシは息を吹き返してしまう。ここで4人は殺し合いをするが、やはり全員が生き返ってしまうのだった。それらは不老不死の薬を食べたからだと理解した彼らは、今後、未来永劫、生き続けるのだと悟る。

    やがて彼らはずっと生きなければならない体を持て余すように海辺でくつろぐのだった。時間はずっと続く。来る日も来る日も同じ時間の繰り返しだ。人が死なないとどうなるか。テロも宗教も戦争もなくなる。時間は止まったままだ。それは地獄と変わらない、という。
    人は皆、永遠の命は恐いという。しかしワタクシは今の年齢がずっと続くなら、永遠に生きてみたいとそんな風に思う。

    病院では瀕死の天才亀田博士がヒロシの不老不死の薬を食べて永遠の命を授かり、空港では海外脱出を願うセレブたちが暇をつぶし、蝉時雨蝶子はリサイタルで熱唱し、柿乃花先生は、講演会で国家の未来を熱く語る。救われない日本がそこにある。

    しかしワタクシ達は精一杯生きるだけだ。なぜなら命は永遠ではないからだ。

    今回の表現はすこしふざけ過ぎた感があり、肝心の笑いもイマイチだった。しかしエンタメとして楽しめる。終演後、主宰のさららが自ら物販販売をしていたがひじょうに魅力的な女優だった。

    0

    2011/12/07 01:15

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大