満足度★★★★
ロシアの清澄な空気
を感じられる美しい舞台でした。美術、衣装もいい。「三人姉妹」は初見なので、演出の面白さなどは分かりませんでしたが、基本的に二人の会話がずっと続き、それ以外の役者さんは後ろを向いているという思い切った演出。これをスタイリッシュと呼ぶなら、なるほどそういう気もする。
ままならぬ人生を生きる三人姉妹の話だが、輝く青春のある一日から少しづつ夢、希望、若さを失っていく姉妹の姿はまさに人生そのもの。現代のように退屈を紛らわす手段とてなく、生活苦にあえぐというわけでもなく、ただ自分の人生と真摯に向き合うしかない姉妹は近代知識人の象徴にも見える。劇中おしゃべりに時を費やすしかないロシアの地方都市の生活感がよくでており、その無為さ、退屈さのみならず、ろうそくや薪の匂いまで漂ってきそうでした。ただ、フライヤーに書かれている「チェホフの笑いのつぼ」はどこにあったんだろう?初日の緊張のせいか、ひとつも見受けられませんでした。