満足度★★★★★
またもや傑作を作った!
ネタばれあり。(ネタばれに書き込めないので)
3年前に突然失踪した妹(K)を探し続ける兄とその妹(K)に関わった人達の視点から描いていく演出・藤田の手法は相変わらずだが、何故、妹(K)が失踪したかではなく、失踪してしまった妹(K)が個人の記憶、社会の記憶の中から何時か消えてしまうのではないか?という不安と悲しみを描いている。繰り返される同じ場面の連続、反復のセリフ、ラップ、舞台をひたすら踊り続ける人達の姿は空しくなるほど悲しく切なく迫ってくる。そして圧巻なのはクライマックスで妹(K)と関わりがあった各々の人達が全てが登場して、大音響の下で、一斉に踊り、セリフを発して、妹の関わりを語っていくのである。そしてクライマックスの後の場面に、これが現実の社会でないか?と演出・藤田は問いかけてくるのである。
今作は2時間だったが、相変わらず俳優の運動量は日本一であろう。
そして野田秀樹の演劇はスポーツだ!の迷言は、今や劇団・マームとジプシーの迷言だな。