砂利塚アンリミテッド 公演情報 ホチキス「砂利塚アンリミテッド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ストレートにコメディなホチキスは、大好きだ
    ただし、それだけではなく、「家族」や「夫婦」、「パートナー」など大切な人との関係が、笑いの中にじんわりと浮かび上がり、楽しくて、いい感じの舞台。
    ちょっとした「人情コメディ」のように見えても、そこは、ホチキス、彼らの持ち味がキラリと光る。

    ネタバレBOX

    砂利塚夫婦と2人の従業員が営む、砂利塚クリーンは、産業廃棄物の会社だ。
    しかし、この会社が取り扱うのは、いわゆる産業廃棄物とは違うモノだった。
    夫の発明による機械と、妻のチカラによってあるモノを片付けていく。

    会社は、本来別の名称で行っていたのだが、それでは営業できないということで、廃棄物処理業者の営業許可を取り、営業している。
    ところが、お客が来ず、廃刊寸前のタウンページに広告を掲載することになった。

    一方、会社の存在を疎ましく思う役所の人間がいる。彼は、なんとしても、砂利塚クリーンを潰したいと思っている。

    そんな人々に、砂利塚の娘やそのボーイフレンド、そして砂利塚クリーンのお客などが絡み、砂利塚クリーンを巡る物語が始まるのだった。

    そんな感じのストーリー。

    そして、夫婦や家族やパートーナーとの話なのである。
    ここの説明や当パンにも書いてあるのだが、作・演の米山和仁さんの個人的感情が反映されているのか、結構、ジンとくる話でもある。
    夫婦に限らず、パートナーだったり、兄弟だったりの、「大切な人との関係」のエピソードが丁寧に、ストーリーの中に織り込まれていく。
    しかも、そのエピソードの語り方が、一方向の語り方ではなく、散りばめ方や語り口の違いをきちんとつけているところが、うまいのだ。きちんと笑いを背負いながら。
    人との関係は、いつか来る別れでもあり、出会いでもある。別れは悲しいだけではない、というポジティブさも見せる。
    笑えるコメディ仕立てでもあるのに、そんな「人の気持ち」を大切に汲み上げ、それを物語の背骨にきちんと通しているところが素晴らしいと思うのだ。

    砂利塚の夫・公男が作った手袋型の機械で、相手をハグするという設定はベタだけど、なかなかいいし、途中に砂利塚クリーンCMソングを歌うシーンがあるのだが、それが伏線になって、ラストに市役所職員の久ヶ沢が、友だち=コーラスで終息するなんてのが、とってもいいのだ。。

    結果、大切な人との関係が、色濃い作品になっている。
    それが笑いの中にきれいに浮かび上がってくるのだ。
    とても楽しくて、いい作品だったと思う。

    ホチキスでは、今まであまり感じたことのなかった、外のネタ(アニメとか)が、今回意外と多い気がしたが、その使い方がうまく、イヤな感じはまったくしなかった。
    それと、結構小ネタが満載。それをさらっと流していく感じも好きだ。

    今回、小玉久仁子さんが、砂利塚ファミリーの妻役で、冒頭からいい感じにグイグイと飛ばしていく。さらに加藤敦さんが、渋くそれを受け止める夫を好演。この夫婦の阿吽の関係が、舞台の肝でもあった。
    村上直子さんの従業員は、思わず笑っちゃうぐらいのカッコいい台詞が炸裂。もうひとりの従業員の村上誠基さんは、柿でも印象的な、アノ独特のテンポと台詞回しで、なんとも言えない空気感を作り出す(ひっくり返るシーンが個人的にはツボ)。
    娘役の津留崎夏子さんも独特の雰囲気でいいし(強すぎる個性の中で、逆に光っているような感じ)、そして、なしお成さんも手堅く面白いし(一目惚れのところとかナレーション的なところとか)、齊藤美和子さんも出番少ないけどさすがだ(存在感がある)。
    とにかく、全員のポジションがいい感じで、舞台がいつも楽しく盛り上がっていく。

    ホチキスは、いつの頃からか、コメディにぐいんと舵を切ったのではないだろうか。そのせいか、最初に観た頃よりも、観るたびにどんどん好きになっていく。

    次回はシアタートラムということで、。毎回サイズに合わせた面白さを用意してくるので、次回も楽しみ。

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    2011/10/06 08:02

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