連結の子 公演情報 文学座「連結の子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    東武鉄道で繋がる家族
    刑期を終えて出所した男の父親と祖父の関係を描いたホームドラマで、シリアスなテーマながら要所要所で笑わせる部分がある、分かりやすくてバランスの良い作品でした。

    良かれと思ってした行為で罪に問われた男が刑に服して出所しても、厳格な父は引き取ろうとせず、電車の運転手だった祖父の家に引き取られ、そこでも世間の目に不安を感じてヤケになる話に、そこに隣に住む米屋の家族や、裏のありそうな怪しい女と結婚することになった叔父のエピソードが交わりながら、家族の絆が描かれていました。
    バラバラに見えた3世代に渡る男家族が鉄道オタク繋がり(ただし、乗り鉄、撮り鉄、模型マニアとジャンルは異なります)で一体となるクライマックスの高揚感が素晴らしかったです。個人的にはこのようなベタな物語は好きではないのですが、引き込まれて涙が出ました。はっきりした結論が出ないまま終わるのも、客に色々考えさせる効果があって印象的でした。

    木造住宅の壁を取っ払ったようなリアルなセットで、手前の畳敷きの広間の後ろに台所が少しだけ見えていて奥行き感のある空間が良かったです。キャットウォークの使い方も効果的でした。

    トイレに入った人物とは別の人が出てきて、前の人物が置いた封筒を次の人物がその人が置いたものとして扱ったり、時間的に間があるはずの次のシーンの登場人物達が途中で入ってきて静止しているなど、工夫を凝らした場面転換の演出が興味深かったです。
    最後の台詞の後の暗転が早すぎて、余韻が感じられないブツ切りな終わり方になっていたのがもったいなく思いました。

    今回初めて文学座の公演を観たのですが、勝手にイメージしていた古めかしさはあまりなく、大袈裟に盛り上げようとしないスタイリッシュなセンスもあって楽しめました。男の犯罪のことを近所の人達が知らないという設定には違和感を覚えました。

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    2011/09/19 23:13

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