ライリュウの化石 公演情報 青果鹿「ライリュウの化石」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    俳優と役柄の隙間
    座付き作家の澤藤さんは岩手県出身の作家なので宮沢憲治作品には格別の愛着があるようだ。

    この劇団、観るのは三度目で、個人的には一番初めに観た『注文の多い料理店』を脚色した作品が一番面白かった。

    テーマを盛り込みすぎた前回の作品に比べ、今回はシンプルな仕上がり。
    しかし、澤藤さんの持つ“楽しい毒気”が今回は足りないように思えた。

    小道具の化石がなかなかよくできていて、恐竜の骨格の大型レプリカも力作だが、作品としては物足りなさを感じた。

    アングラ的な味付けが特徴の劇団だが、今回、キャラクターと俳優陣の演技に隙間が感じられ、一種ファンタジー作品なのだが全体に学芸会っぽい印象になってしまったように思う。

    また、作品におけるキャラクターの配置も成功しているとは言えず、各自が際立ってこない。

    作品イメージに合った演技力ある俳優を集めることが当面の課題だと思う。


    ネタバレBOX

    テンションの高い楢ノ木修一(島本和人)以外、客演陣の演技に思い切りが悪く、役によっては照れが見え隠れするので、観るほうが照れてしまう。

    たとえば、バナナン大将(森一)は童話的な役だが、俳優が役になりきっていないせいか、演技がやすっぽく見えるのだ。

    令嬢の水前寺彰子(佐橋美香)も、演技が普通すぎてこの役のすっとんきょうな面白さが出ていない。

    役柄の設定では、質屋の妹娘瑠璃子(久保木彩)をわがままでバブリーなイケイケギャルにしているので、令嬢との対比が出ない。

    田舎を嫌いながらも垢抜けしない娘の扮装にしないと、まるでキャバ嬢みたいで面食らう。
    久保木は、M的演技なのに、英二といきなりと恋におちてしおらしくなるのが、見た目とギャップがありすぎてピンとこない。

    何より1960年代のような超ミニの衣裳だから、いったいいつの時代の芝居かわからなくなってしまう。

    姉娘菊子(遠藤紀子)のファッションは70年代のOL風だし。

    童話調のクルミ(白石里子)以外、女優陣の衣裳選びがよくなかったと思う。

    菊子は、もう少し強めに役を作らないと性格が中途半端に見えてしまう。

    修一の弟の英二(加戸谷隆斗)は、純朴な感じはするが、演技がぎこちない。

    おじさん役ばかり観ていたので、白石里子の少女役が新鮮だった。

    ハッピーエンドの幕切れは、いまひとつ感動が薄かった。

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    2011/09/07 15:03

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