天守物語 公演情報 少年社中「天守物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    21世紀の新「天守物語」
    口コミが良いので見に行きましたが…。
    原作の歴史的な名作戯曲として描いているのではなく、東日本大震災後、現実の自分達の感情や感受性で受けとめ、舞台にしているのが面白かった。
    しかし、原作「天守物語」の言葉で詠う魂の美しさ、発露はみられなかった。綺麗ではあるけれど単調な絵物語。 ただ、鷹の表現は良かった。その他感想は、ネタバレBOXにて…。

    ネタバレBOX

    原作をベース「少年社中・新天守物語」と言うべき毛利作品で、心の描写が不足している。
    せめて、富姫が何故、天守に棲む妖怪になったのか、その描写があれば…。

    原作の鏡花「天守物語」は、言葉のすみずみにまで張りめぐらされた美的感覚が魅力の一つ。そして、その美しさが表面的なものでなく、原作にあるような「魂の美しさの発露」があってこそ、舞台での「天守物語」の本当の灯りが見えてくる。
    富姫が、図書之助を想う心、凛として何者にも媚びない強さ、ただ一度の恋に、天守夫人としての永遠の命をもかける真心、それらが灯りとなって舞台を照らすのだ。
    我が子を想う親の様に…。演じ手そのものが、鏡花の世界にシンクロして、はじめて生まれるものと…。鏡花ワールドの背景と、丁寧で繊細な心の描写が欲しい。

    例えば、二人が盲目になった後、図書之助を想う天主夫人・富姫の台詞に…
    (私一人だけであれば…)「雲に乗ります、風に飛びます、虹の橋も渡ります。図書樣には出来ません。あゝ口惜〈くやし〉い。あれ等討手のものの目に、蓑笠着ても天人の二人揃つた姿を見せて、日の出、月の出、夕日影にも、おがませようと思つたのに…」
    「お顏が見たい、唯一目……。千歳百歳〈ちとせももとせ〉に唯一度、たつた一度の恋だのに…」
    「前世も後世もいらないが、せめてこうしていとうござんす…」
    「私は貴方に未練がある。いいえ、助けたい未練がある…」などなど…。
    真実の愛に溢れた美しい言葉がある。その心がなければ、綺麗ではあるけれど単調な絵物語にすぎないのだ。

    ほか、男優陣の、アクション的な動きは必要ない。演技のごまかしになる。ライターで灯りを点けるより、火打石で燈す方が美しい炎だと…。

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    2011/06/11 21:03

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