天守物語 公演情報 少年社中「天守物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    絶品!
    鷹役の中村龍介があまりにも妖艶で美しい。まず、会場に入ると天守閣のセットに圧倒される。このセットでこれから始まる物語に相当な期待感が生まれ、なんだか嬉しくなってワクワクドキドキする。結果、照明、音楽、衣装、音響、メイク、演技力、それらの匠は秀逸な演出と融合し幻想的な舞台を作り上げていた。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    その昔、妖怪と人間が創造される。妖怪は地を鎮め、地を守り人間を守ることを天命とし、白鷺城の天守閣から人間を眺め見守っていた。これら妖怪を束ねる美しい婦人の名を「富姫」という。一方で妖怪が天変地異を操り人間を滅ぼそうとしていると疑心暗鬼になった人間たちは妖怪を滅ぼし、天守閣にある、願いが叶うという獅子頭を奪おうと企む。これらを軸に妖怪と人間と、妖怪だった鳥の因果応報を含んだ悲恋の物語だ。

    舞台とは視覚の満足度から高揚感も満たされる。今回の舞台はメイクと衣装のバランスがあまりにも美しくファンタジー性溢れる舞台だった。衣装制作はどうやら5人で制作したらしいが、こうした裏方の力量があってこその舞台だと今更ながらに感じる。

    そして全てのキャストらの演技力も素晴らしかった。地上と天空を結ぶ梯子までをも想像できて壮大な物語だったと改めて感じる。舞台はコミカルな場面も用意され、クスリ・・と失笑し、序盤に踊るシーンから始まり、踊りで終わる舞台はほぼ戯曲通りに描写していた。しかし演出家の毛利は終盤で桃六に「苦しくても生きる」というメッセージを充分に散りばめセリフとして吐かせる。これらは毛利の脚色によるものだが、そのメッセージは強く観劇者の心に残り感動したと思う。

    泉鏡花といえば、人間界と妖しげな異界とが交錯する不思議な世界を描いた作家で有名だが、その戯曲は舞台化し易いよう舞台セットまで書かれている。特に『天守物語』は、姫路城の天守の第五層に住んでいて「左右に柱、向って三方を廻廊下のごとく余して、一面に高く高麗べりの畳を敷く。紅の鼓の緒、処々に蝶結びして一条、これを欄干のごとく取りまわして柱に渡す・・・」と延々と続くのだ。笑


    舞台は泉鏡花の妖しい世界観と毛利の演出が見事に融合され舞台化されていた絶品だ。最後の場面。花吹雪が舞い上がる煌びやかな安土桃山的舞台はこの世のものとは思えないほど優美で幻想的であった。素晴らしいエンタメであった。




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    2011/06/06 13:47

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