風と共に来たる 公演情報 テアトル・エコー「風と共に来たる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    映画制作は妥協との闘いから生まれる
    初演を観たかったのですが、諸事情で見逃したので、今回の再演は、本当に嬉しく思いました。

    私にとっての「風共」は、ビビアン・リーとクラーク・ゲーブルではなく、帝劇初演で観た、那智わたるさんと高橋幸治さんのコンビの舞台作品。これは、未だに各場面が鮮明に思い出される名舞台で、私の50年以上の観劇歴でも、ベスト1の舞台でした。キャストも、好配役で、これ以上の「風共」はもう2度と観られない気がします。

    まあ、そんなわけもあり、この映画制作舞台裏秘話の舞台は、大変興味深いものがありました。

    映画も小説も舞台も、ありとあらゆる作品を熟知しているので、各シーンが、殊更面白く感じられました。

    ただ、演出のせいかもしれませんが、秘書役の女性の演技が、芝居じみてオーバーなため、せっかくの男優3人の丁々発止の演技に水をさしたのが残念。

    アメリカでのオリジナル舞台を知らないので、何とも言えないのですが、この作品、男優3人だけの芝居にした方が、一層面白かったような気がしました。

    ネタバレBOX

    メラニーのお産の場面で、プリシーを殴るスカーレットをどう描くかで、あんなに、葛藤があったとは知りませんでした。

    私が観た初演舞台が、プリシー役は、宮城まり子さんだったか、黒柳徹子さんだったかは不確かですが、確かに、ここのプリシーの場面は衝撃的でした。
    熱烈なシオニストだった脚本家のベンが、意思に反すると、映画にクレジットされるのを拒否したという事実も衝撃的でした。

    原稿料に釣られて、書きたくない脚本を無理強いされて書くベンに、個人的事情も手伝い、一番感情移入して見ていました。

    ですが、私は、戦後最大の出版プロデューサーと言われた、妥協を許さない祖父や、独断と偏見の音楽プロデューサーの夫もあり、安原さん演じるプロデューサーの信念にも共感する部分が多く、特に、彼の「映画の一番の権力者は、誰だかわかるか?それは、木戸銭払って映画を観に来てくれる大衆だよ」と、脚本家と監督に言う台詞が、殊に胸に響きました。

    昔、私が好きだった東宝の舞台では、演劇を愛し、観客の求めているものをしっかり把握している数多くの演劇プロデューサーが、素敵な舞台をたくさん生み出して下さいました。
    菊田さんが今度の帝劇の「風共」のキャスティングを、どんな思いで、あの世からご覧かしらと、ちょっと、哀しい現実とリンクして、様々に感慨深い舞台となりました。

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    2011/05/26 20:23

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  • KAE様


    いやー、懐かしい配役をお示しくださり、ありがとうございます。


    そうですね、私もメラニーは長く淀さんのイメージが残っていますね。淀さんもすばらしい女優さんでした。

    2011/05/30 20:56

    きゃる様

    コメントありがとうございます。

    「霧深きエルベのほとり」は、私も小学5年ぐらいの時に観ています。

    昔、新国劇にいらした天野新二さんの奥様に連れて行って頂きました。

    内容は良く覚えていませんが、何だか夢中になって観た記憶があります。

    「風と共に…」は、ベルワトリング夫人役だった浜木綿子さんが、バトラーがスカーレットの元に行く時に、「行ってらっしゃい」と促してから、背中で泣いていた後姿の名演を今でも思い出します。
    中谷昇さんのアシュレーや、淀かほるさんのメラニーも、未だに印象が鮮明ですね。

    2011/05/30 13:56

    KAE様

    大変面白く読ませていただきました。私は、この映画の裏話についてはTVのドキュメンタリー番組で紹介されたのをずいぶん以前に見たことがあり、映画に負けずドラマチックなこともあったのだなぁと感じたことを覚えています。だから、舞台化したら面白くなるだろうなと、フライヤーを見ながら思っていました。

    ちなみに、菊田一夫さんは私も好きな劇作家の一人でもあり、宝塚歌劇の作家としても名作を多く残しておられます。それはやはり演劇を愛するのと同じくらい観客を愛しておられたからで、自分が書きたいというより、観客に見せたら喜ぶ、ということを念頭において書かれたからだと思います。海外の新聞のたった3行の記事から「霧深きエルベの辺り」のような名作を短期間で作ったのですから感心します。

    菊田さんの「風・・・」があったからこそ、宝塚でも植田さんの「風・・・」が生まれたと思っています。

    今度の「風・・・」の配役には私もちょっと驚きました(笑)。

    2011/05/30 05:52

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