満足度★★★★
渋谷愛の熱演が光る
ヘレンケラーというと、私の世代には映画「奇跡の人」でのアン・ヴァンクロフトとパティ・デュークの名演技が目に焼き付いている。
小学生のころ、クラスの子を集め、吉祥寺の三和銀行(当時)の中庭の噴水の前で「奇跡の人」ごっこと称して「ウォーター」の場面を繰り返し再現して演じさせてたら、行員にお小言をくらったことがあるくらい、夢中になった作品だ。パティ・デュークは当時、日本では大変な人気があり、私も大好きになり、来日時のフィーバーはいまも鮮明に憶えている。
近年の大劇場の「奇跡の人」は映画の想い出や往年の有馬稲子さんの名演を自分が大事にしすぎて、あえて観ないようにしてきた。
だから、今回のKAZE版には違うものを期待し、楽しみにしていた。
サリバン役の渋谷愛は、いつもより声が低く地声を生かし熱演していて、新しい一面をかいまみせてくれた。
小さくまとまらず、大胆に演じ、若手ホープとしての才能を存分に発揮したと思う。
2時間弱にまとめ、なかなか楽しめる佳作だった。