PerformenVI~Paradiso~ 公演情報 電動夏子安置システム「PerformenVI~Paradiso~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    壮大なテーマの完結編・「アルテ編」
    前回は地獄編だった。今回はパラダイス、つまり天国編で、「自分達の生きている意味はどこにあるのか?」という疑問から発した自分探しの旅はこれで終焉となる。
    思えば小説より内容の濃い舞台芸術だった。神が世界を創世し、その原理に基づいて人間は動かされている。という思想哲学のもと、「本当にそうなのか?自分達の意思はどこにあるのか?」というしごく単純な発想を起点とした物語だと思う。だからあまり小難しく考える必要はないのだが、始まりの舞台2009年から年月を経て今回まで、全ての総括的な舞台だった。時計のゼンマイのようなセットとソレがデザインされた衣装も素敵だ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    物語は神聖喜劇だが、テーマの元はダンテだと勝手に思っている。竹田哲士の今回のシリーズはダンテの書物と並行して呼んでいると実にしっくりくるからだ。

    今回のキャストの投入人数を緻密に計算しながら時計仕掛けの人形のように動かす演出は絶妙で、さぞかし大変だったろうと観終わって素直に感服した。今回も場面展開を複数に設定し時差を微妙な感覚を空けて交錯させる。バレーでいえば時間差攻撃だ。笑

    全ての動きは配線→吹替え→編集→廃棄→遅延→条件と忠実にテーマに沿って行われるが、そのキーは言葉だ。言動のトリックと言えば解りやすいかもしれない。そのトリックの手法もきちんと舞台上で説明しているからひじょうに解りやすく構成も巧みだと思う。ただ、こういった時間差によるトリック舞台は観客が魔法使いに操られたスヌーピーみたいな錯覚に陥り不思議感一杯で頭の中が???となってしまったら最後、どんな描写も受け入れられなくなる恐れは十分にあるのだ。

    それでも幸運にも、聖書やダンテや神話を読んでる輩にはこの舞台は壮大で宇宙的な香りがして、舞台の前でひれ伏してしまいたい衝動に駆られる。それはあくまでもこちらと舞台上の感性の駆け引きの結果なのだ。

    そしてこの宇宙のどこかに存在している、誰もその正体を知ることはない何者かは、いつも誰かの心の片隅に宿っているものだとも思う。そのものに人間が動かされていようと、いまいとも、私たちは運命を受け入れて生き、そこに僅かな幸福を見出すべきだと考える。そう思わせる舞台だった。素晴らしい!!と心からそう思う。


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    2011/05/14 13:43

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