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空気ノ機械ノ尾ッポvol.18

空気ノ機械ノ尾ッポvol.18

空気ノ機械ノ尾ッポ

テアトルBONBON(東京都)

2012/01/25 (水) ~ 2012/01/29 (日)公演終了

子供たちのビール。



最前列には、小学校に入ってままならぬ子供達が待ち遠しい顔をして待つ。戦隊ヒーローショーの特設会場ではなく、小さな劇場で。
仮に『小演劇』というジャンルが あるとすれば、その夜の時間帯は居酒屋である。黒鞄の横に、ランドセルはない。
しかし、この劇団はキッズ割引という制度を取り入れている為、居酒屋に思わぬ客がいる。注文するのは、他の客と同じだろう。
「大将、旨い演劇を!」と。

さて、実際、そのビールを飲んでみて どうだったか。少し品の悪い台詞は 含まれていたが(子供には刺激が強い)、会話のテンポが味わい深かった。グラス底の靴から始まり、『誤解』から生じる 人間模様という泡が 染み渡った。
「もう一杯!」
というところで居酒屋の営業が終わった。

後味については、「ナリモノ」という酸味を覚えている。物語にリズムと断片を与えていた。

このビール、中野の居酒屋だけで飲むのは もったいない。
文部科学省の演劇等における「教育巡回システム」への応募をお薦めしたい。もちろん、少し苦味を抜いて。

【72時間演劇】前人未踏の企画にお付き合いありがとうございました!

【72時間演劇】前人未踏の企画にお付き合いありがとうございました!

元東京バンビ

タイニイアリス(東京都)

2011/12/27 (火) ~ 2011/12/30 (金)公演終了

満足度★★★★★

世界の東京バンビへ。


「俺達が倒れるのが先か!お前達が倒れるのが先か」
公演チラシには、72時間演劇という耐久戦らしいフレーズが並ぶ。そしていざ公演を終えた時、残ったのはチラシに記されている挑発的な対立ではなく、一体感そのものだった。

29日夜、劇団東京ミルクホールの佐野は、言った。
「さんまのまんま24時間みたい。演劇じゃないわね」
はやしとアダチ、稲葉の3人は深くうなづいた。
稲葉が、そっと話し出す。
「うすうす、気付いてましたよ」

そうだ、『72時間演劇』という名であっても、食事をしなければならない。食事を含めて『公演』とした場合、『演劇』を72時間し続けるのは難しい。
彼らは 舞台に、はやし君の家=生活の場を作り出し、客とトークを繰り広げ、飲み食いした。日常を表現するのも演劇だとしたら、彼らは 見事に それを再現したことになる。問題は台本があるか、ないかの違いである。

2011年、日本中がミゲル君の「消臭力」の歌に聞き入った。単調なメロディーには、力がある。
東京バンビのはやし君は、新宿二丁目で同じように歌い上げた。
「バンビ♪バンビ♪バンビ♪」
女性の自作歌も、ひたすらに。会場は笑い声が溢れ、客(ゲスト)であるミュージシャンの顔は満面の それだった。この時、アダチは一人はやし君の背中を見て込み上げるものがあった。
涙である。
しかし、後に待っていたものは、はやし君の喉が壊れたことだった。28日夜、ミュージシャンを目の前にして歌い上げた はやし君は メンバーの中で最も「倒れる」候補へなって行く。

72時間が経つ中で、彼らは常に客へのコミットを忘れなかった。オーディション開催中でさえ、見方を変えれば客の前で演劇をし続けたのだ。これは、凄いの一言だろう。

2011年、新宿二丁目・タイニイアリスから始まった男達の物語はいくつもの汗、涙とともに終わりを告げた。『72時間演劇』は、24時間テレビ(日本テレビ放送網)の百キロマラソンと同じように、終演というゴールまで 真っ直ぐに走り続けたその記録である。



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