うらぼっち
0F-ゼロフレーム-
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2019/09/20 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★
何人か、数えきれないぐらい俳優が多い。そして彼らのほとんどが妖怪である。ところがこの妖怪たち、なぜか人間になりたがっている。そして12年前に人間に捨てられた人間をみんなで育てている、、。そんな時、12年前に捨てた両親がこわごわこの妖怪たちが住む山にやってくる、、。
要はこの妖怪たちの悲しみを人間たる我々が共有できるか、ということなのだが、これがなかなか難しい。妖怪たちがなぜ人間になりたいのかわからないし、どうやってこの人間を育てているのかも知らされない。わからないことだらけなのだが、それでも見ていてぐんぐん引っ張ってゆくエナジーがこの劇にはある。
そして、自分の子供と12年ぶりに再会するのだが、結構いい加減の両親に描いており、ラストは、思いもかけない話に展開する。うーん、実にユニークだ。このブラックなラストには作者たちの現世界へのシニカルな批判がにじみ出ているのだろう。全然ハッピイエンドにしなくてよかった。劇が広くなった。
登場人物が多すぎて、観客が彼らを散発的に見てしまうきらいはあるが、でもなかなか個性的な演劇で面白かった。可能性のある劇団ですね。
海のホタル【遊劇舞台二月病】
遊劇舞台二月病
ウイングフィールド(大阪府)
2019/08/23 (金) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
今年大竹野作品を何本見ただろうか、、。彼の作品でも事件もの(この種類が一番多いような気もするが)は演出によってかなり印象が違って見える。
今回はシリアス調に演出している。他の作品に見られるような時代を強調したコメディタッチにはならない。あくまでリアルに徹している。重く、いや重苦しく、壮絶でさえある。
他の作品と違い、同じ事件ものでも、今回はカネのために自分の息子まで殺害するのである。この部分が、圧倒的に他の作品と隔絶している。
この息子殺戮場面がラストに語られる。観客はもう見たくない、聞きたくないと思っている。それほど怖い。人間がここまで非人間になり得るのか。ここに自分への問いも始まるのである。
そして、ふとこの哀しく重苦しい話はすとんと終わる。観客たちもそこでやっと苦から解放されるのである。一味違う秀作である。
恋に笑いに涙あり フルポンの夏休み
演劇集団D-03(劇団フルーツポンチ)
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2019/08/03 (土) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
青春の明暗。前半の劇はとても楽しく、明るく楽しい。まさに青春している人しか書けないし、演じられない。そんな輝きがもう老成した吾輩にはまぶしすぎる。ラストはかわゆいすぎる。でもそんな輝きを見たいがために演劇を見ているのだ。ナイス演劇だ。
後半劇。ぐっと色調が変わり、現代のブラックを執拗に描く。この変わり身にハッとする。どうなるんだろうと心配するが、まあ時間軸をさかのぼりまとめている。青春の暗部がまさにそこにあった、、。
やはりみんな若く、はつらつとして、輝かしい。青春っていいなあ。
楽屋裏のゴースト
劇団燦の会
フジハラビル(アートギャラリーフジハラ)(大阪府)
2019/07/13 (土) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★★
思いがけず素敵な演劇を見る。演劇をしている人、携わっている人、また見ている人たちにすばらしい劇を届けていただいた。
演劇を創る楽しみ、苦しみ、喜び、かなしみ、それらは自らこの世の人でなくても十分楽屋裏で生き続けている、ということなんですね。
なんと、この劇の中で紹介された演劇はシェイクスピアからテレビドラマの「必殺仕置人(これが楽しかった)」まで加えると、10近くになりました。いやあ、実に楽しく、又勉強させていただきました。
昔、イタリア映画でフェリーニの「8 1/2」という映画があったけれど、この劇は演劇版「8 1/2」です。実に楽しく深く演劇を愛好する人に絶大なるる愛をもたらしてくれました。大好きな作品です。
ストップキス
劇団未来
未来ワークスタジオ(大阪府)
2019/06/28 (金) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
オーソドックスな翻訳劇だ。劇の展開が時間軸を左右するので、映画的な面白さもある。テーマは自然と同性を好きになってゆく女性二人の心のひだがよく描かれている。
大道具といい、小道具、衣装、食物に至るまで完全アメリカナイズされており、この作品における意気込みとこだわりを十分感じさせる。
主役二人の女優の熱演もさることながら、脇役の警察官、看護師役の女優も人生をしかと感じさせる演技で、舞台を盛り上げる。池田佳奈子さん、ダイナミズムを持ったいい女優さんですね。
現代とは何でもありの思想が過ぎゆき、このマイノリティラブも、私にとって、それほど抵抗感もなくなっている。これは舞台演出のせいなのか、時流のせいなのか、私にははっきり分からない。少なくとも、愛の姿をそのまま受け入れたといえるだろう。
秀逸な劇作りに目を見張る思いがした。
ナイル殺人事件
劇団往来
大阪ビジネスパーク円形ホール(大阪府)
2019/06/20 (木) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
クリスティの名作で映画化もされた有名な作品である。もち、犯人は分かっているから僕は全く真っ白の観客向けの伏線を探す余裕さえある。
この2時間半劇はけれどクリスティの骨格を全く崩していない。セオリーはそのままにクリスティを楽しめる。これがまずこの劇の第一の成功理由だ。衣装も豪華で、女優も美しい。エンタメ演劇をを兼ね備え、ストーリーは本格ミステリーときたらこれはもう35周年のファン感謝デーに匹敵するだろう。
ただ、あれほどの女性たちを虜にするサイモン役はやはり長身の甘さが残る男優であってほしかった。そうでないとこの話の基本型が持たないであろう。これはでも過剰な要望かもしれない。
演劇を見ていてすこぶる至福の時間だった。
〜21世紀様行〜唇に聴いてみる
南河内万歳一座
一心寺シアター倶楽(大阪府)
2019/06/12 (水) ~ 2019/06/17 (月)公演終了
満足度★★★★★
今回でこの劇団では2回目の鑑賞。前回はお気に入り「空晴」との合同公演ということで、初めて見たのが、「隠れ家」。これは「空晴」にリップサービスした面白いユニークな作品でした。内藤氏は柔らかそうな人なのに男性10人を赤フンでヌードをさらけ出したり、思い切り男気のある怖いお方とお見受けしました。
そして今回はこの劇団でも名作と名高い再演です。
昭和真っ盛りのシチュエーション。少々唐十郎や寺山修司などの面影が残る舞台展開に僕自身、彼らへのノスタルジーがふつふつと高まってくる。
生きる悲しさとダイナミズム、そしてと脳裏にかろうじて持ちこたえている爆発力。それらの表現は見事のひとこと。内藤はこんな劇を創造していたんだ。関西で、これほどの壮大さと心優しさとを兼ね備える演劇を僕はあまり知らない。
もう目が開いたまま点になったなあ。音楽も、照明も一級品。そしてもちろん大道具・小道具も。ぶったまげた。素晴らしい。
俳優陣はみんな素晴らしいが、有田達哉の溌剌とした演技ぶりには惚れたぜ!
こういう演劇を少し前まで、東京にいた時よく見たものだった。もう僕も若くはなかったけど、それでも残り香のような青春の面影を求めて下北沢を飛び歩いたものだった、、。
関西にこんな劇団がいるとはほんと驚きです。今のところ今年のベスト演劇です。
シェアライフ
箱庭計画
knut(兵庫県)
2019/06/15 (土) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
いつも心がしっとり、お気に入りの劇団である。
栃木ゆーじさんという方、恐らくあの人なんだろうなあ、今まで実に味わい深い作品を提供していた人なので、ちょっとご年配かなあと思っていたけど、あの人ならまだ30代。実に若い。
そして今回はシェアハウスという現代的な設定なので、内容はともかくヤングが織りなす恋愛模様なんです。ちょっと甘いところもあるけど、この劇途中で、舞台が分岐します。観客はA室か、B室に分かれます。そしてまた同じ部屋に戻ってくる。
面白い試みで、これはたくさん劇を見ている僕でも初めての経験。おそらく時間を違えて同じことをやってるんだろうけど、こういう家を使用した劇場でないとこれは無理だなあ。面白い。
俳優陣がこんなにまじかに見るのも珍しく、劇を見ている感じもしないときもある。僕はことねさんが好きで、彼女のウエディングドレスを見ただけでもすこぶる満足。いい演劇でした。
はこがみ
ハコボレ
SPACE9(大阪府)
2019/05/24 (金) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
今までの劇と180度違うような熱を帯びた力作だ。とにかく架空とはいえ、人間を創造したといわれる神の存在を、逆転させて、人間が神を製作するという突飛なハナシなのであります。
そういえば、舞台の周囲、床、上部空間には古新聞紙が一面に漂っている、、。紙も神であり、紙一枚で神に仕立てられるという男のハナシである。
今までの劇とは違い、設定は、遠い虚構の国のおとぎ話のようでもあるが、決して寓話ではない。それほど前田の思い込みは強い。市井の、普通の人間が神として昇華するまでの不思議な話である。
切羽詰まったような閉塞感もそのうち感じられて、不気味な鐘の単一な音が観客の胸を締め付けてゆく。だんだん怖くなってきます。
いやあ、迫力十分でしたね。前田氏はそれまでの劇をイメチェンした感じでもあります。まさに熱を帯びておりました。
女子たちのギリシャ劇 アンティゴネ/うちの子は
the nextage
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2019/05/16 (木) ~ 2019/05/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
たまにはこういうシリアスな翻訳劇もいいですね。しかもギリシャ悲劇を基本にしたアンティゴネときたら今までも何回も見たが、また見てしまうという好きな劇。そして今回は2本立てなんだ。こちらは子供と親を主題にした10篇の短編フランス劇。いやあ、これもすこぶるよかった。
学生劇らしいんだが、何人か、見知っている人もおり、この劇に出演している人は実力者ぞろいということがわかる。正直、彼らがここまで本格的にギリシャ悲劇を演じるとは思っていなかっただけに驚きの連続。難しくない元祖ソフォクレスの世界を垣間見せてくれる。いやあ、うなりますネ。
休憩後、フランスの家族劇。これがまた秀作ぞろい。日本の家庭とそれほど変わらない家族の在り方をじっくりと考えさせられます。特に、9編目の自分の息子の死に対面する母親の愛憎劇は鋭く、強く感銘す。
3時間の体力も神経も精神力も鍛えてくれる劇でしたが、彼らの若さをストレートにそのままいただきました。演劇ファンにとっては至福の時間。
慶應不思議草子
真紅組
近鉄アート館(大阪府)
2019/05/10 (金) ~ 2019/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★
総勢30人以上の出演者。時代は幕末。しかし今回の主役はなんとそんな時代の分かれ目に住んでいる猫たちであります。この猫たちから見た人間模様、時代が描かれる、、。
ということで、いつもより娯楽色が強くテーマ性が薄い気がした。常に鋭い人間描写を得意としてきた真紅組としてはたまにこういう軽妙・洒脱な作品もあるんだと納得。
ラストには「ええじゃないか、よいじゃないか、、、」の狂ったような踊りでこの京の明治維新を終わらせる。中岡慎太郎は出るも、一緒に殺害される坂本龍馬が名前だけの登場というのも面白い。
そして引き続き劇団員によるレビューが何曲も続く。何かファン感謝デーみたいでしたネ。たまにはこういうのもいい。
VARIETY
asobiiiino
STAGE+PLUS(大阪府)
2019/05/04 (土) ~ 2019/05/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
中編3本。短編とは違うのでそれぞれじっくり見られる。最初は未来型、宇宙へとつないでくれるエレベーターの話。設定は面白いが、それほど新鮮味はなし。もっと斬新な展開が望み。ちょっとした小世界。
2編目はぐっと砕けて、誕生日パーティのお話。若い人だからできるシンプルなおふざけ。でも楽しい。ヤングだけの世界。
そして真打3話目。これはいいね。すごくいい。
ベランダ越しに語り合う漫画家の卵と官能小説家の女性。このベランダでの会話という設定がいい。お互い顔が見えずにだんだんと親しんでゆく過程が心地よい。愛なんだね。その二人にもしばし空白があり、二人は思いがけないところで邂逅する。
ここで時間が止まる。涙が出そう。まるで映画の一シーンだ。素晴らしい。これぞ愛の世界。今日の収穫。
箱庭の王様
フラワー劇場
ウイングフィールド(大阪府)
2019/04/23 (火) ~ 2019/04/25 (木)公演終了
満足度★★★★
簡単そうで結構難しい。ファンタジーっぽく作ってはいるが、内容は辛く、苦く、そして薄ら甘い。ストーリーというものはないようだ。一応、王様という存在はあるけれど、関係性が見えてこない。
ポエムの感じが強いかなと思い、目を瞑る。頭に響くセリフはいいフレーズで、美しい。
はっとして、目を開ける。目の前には演劇のうごめきがまさにあった、、。
なんといっても、川口ともさんと宮嶌秀彰氏が最高。ピタッと止まった時間の感覚と永遠。ほんと、ポエムだ。
『台風とうとう吹いた』
演劇計画プラネットナンバー
OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)
2019/01/18 (金) ~ 2019/01/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
知らない劇団だと思っていたら、結構見知っている役者さんがいる。みんな若いけれど、堂々としっかりしてる。かなり演劇数をこなしているはず。
子供時代からのホント、等身大の身近なことを描いていきます。小学生の役なんか、全然みんな自然で、彼らがいかに素直な心を持っているかが分かる。伝わってくる。変に力が入っていないのだ。
人を愛すること、人と話をすること、何でもない家族との会話・別れ。そうした当たり前の普通のことがじっくり丁寧に描かれてゆく。
だからラスト、主人公がもはや死んでしまった幼馴染みから手紙で愛を告げられた時、心が融解する。彼女の凍結していた心が蒸気する。僕は感動する。僕の心も溶ける。しばらく涙が止まらない。ここで幕。
やはり若い人たちの演技をじっくり見るのは究極の楽しみだ。彼らには未来がある。揺れる明日もある。悲しみも喜びもこれからどんどん受け止めてゆくことだろう。
いい舞台だった。
河童ライダー
かしこしばい
ウイングフィールド(大阪府)
2019/01/06 (日) ~ 2019/01/07 (月)公演終了
満足度★★★★
私小説的な演劇です。今自分がどこにいるのか、自分とは何なのか。この自分は祖母の葬式にも出席しようとしない。机で、新たないつ公演できるかもわからない劇の台本を書いている。その彼の脳裏にみなぎり彷徨うものは、、。
映画でも演劇でもまず自分とは何か、という身近なテーマをまず問題にする。その基本的な代物が分からないと、自分をどこに持って行っていいか、何を書いていいのか不明瞭である。と僕は思っている。
だから、例えば映画ではフェリーニの「8・1/2」的な自己追及作品などが過去に名作を生み出してきた。本当に見事だ。その行為は芸術の深淵に辿り着くまず最初の第一歩だと僕は思っている。
だからというわけではないが、かしこしばいの2作目にこのテーマを持ってきたのは必然だと思う。そしてその目論見は成功していると思う。
この若い作家の喜び、苦悩、哀しみ、諦観を75分に描いている。それは観客に投影されるべき内容である。一般人も常に自分を追及しているからだ。主役の小林夢祈が熱演。彼は一体全体何歳なんだろう?その若いエネルギーにうらやましくもあり、拍手を送りたい。
『恭しき娼婦』
「出口なし」プロジェクト
スペース コラリオン(旧カフェスロー大阪)(大阪府)
2018/12/15 (土) ~ 2018/12/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
サルトルの演劇って初めてで、ちょっと気にしてはいたが、全然想像とは違い(サルトルと言えば実存主義・不条理というイメージ)、まともな翻訳劇といった感じが濃厚でした。ちゃんとストーリーがあり、題名通り娼婦とは言いながら、人間を深く見つめる女性の脳裏と彼女をとりまく現象が交差する秀逸な演劇です。
サルトルとアメリカ南部というイメージがなかなか僕の頭の中では醸成しなかったのだが、テネシー・ウイリアムズものとはだいぶ違うし、人間への確かな暖かいまっすぐなまなざしはやはりサルトルそのものであった。
一つ面白いと思ったのは、上院議員の息子が娼婦をただ利用するだけの存在だったのが、自分の存在において(愛を見たわけではないだろうが)彼女を人生の一部にしてしまうところであった。
こういうところにサルトルの人間への追及・分析は鋭く、たかが娼婦だなんて思って見ていると、とんだ間違いを犯してしまうのである。まさに彼女は「恭しき娼婦」なのであった。
狭い舞台に、肉太の脚本。イメージではないサルトルを見て、僕は満足して十三の街を闊歩するのであった。
タイムマチンだよ!〜かえってくるきないよ〜
0F-ゼロフレーム-
船場サザンシアター(大阪府)
2018/12/07 (金) ~ 2018/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
題名から軽いSFファンタジーものかなと思っていたら、意外と輻輳し構成にテクが入っていて、ちゃんと見ていないとどんどん置いてけぼりになるようなまともで真面目な作品でした。お見それいたしました。
それぞれのエピソードが実は深くハートフルなので、もう1回見てみたい作品です。とはいえ、明日は予定があるしのう、、。9人の出演者、全員稽古も十分で見ごたえありました。才能のある劇団です。
808ダイエット(ハッピャクヤダイエット)
極東退屈道場
AI・HALL(兵庫県)
2018/11/09 (金) ~ 2018/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★
舞台の奥に大きく掲げられている大坂の808橋地図。ずっと思ってたんだけど、東が上にある。その架空線上には大阪城が。現代の地図とは随分感覚が違うが、当時は大阪城を東西に発展していたせいだろうか。
これに目をつけた林は西方浄土とミックスすることにより、不思議な大阪噺を見せてくれた。
林の作品は能との融合劇でも知られるように、奇想天外な宇宙的な構想に身近な話をくっつける。これがまたたまらないほど面白い。むずいようで、何だか楽しいのだ。
今回は宇宙的なものは影を潜め、大阪808橋の人間喜劇を基本づけのか、コミカルなんだけど、饒舌でもある。大衆版に徹したかのような林の変わり身である。
これにちょっと僕は驚くが、いつものリフレインもあり、まあ楽しめる。でも林の面白さはこんなものではないと思う。ランタイムもちょっと長かったから、女性3人のお話なんかも、少々饒舌に感じたところは林一流の余裕なのかもしれないですね。
アイホールの大きな舞台、そして橋を自在に動かす舞台づくりに彼のやる気を見る。次回がますます楽しみになった。
はこづめ
ハコボレ
ウイングフィールド(大阪府)
2018/11/02 (金) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
設定が遠い未来の話ではあるけれど、意味深の現代青春群像劇とも言える。一つの箱に3人が真実を隠しながら生活を送っている。しかし、その日々はいつまでも続くことはなかった、、。
ラスト近くの10分ぐらいから、怒涛のように今まで静かだった穏やかな川が激流に変貌する。もう彼らには時間も、青春も、かすかな希望も、そして未来さえなくなってゆく。その最後の時間を彼らはロックを演奏し、彼らが一体となって共有しながら、その時を迎えるのであった。
まるでこの10分間を描きたいがためにこの劇を作ったような、凝縮した密度の高い時間であった。そしてそのまま劇は終わってしまう。取り残された観客はどうしていいのか面食らっている珍しい観客席でした。
あの圧倒的なラストには僕も唖然となりました。
scene1「Heimat-ハイマート-」
StarMachineProject
HEP HALL(大阪府)
2018/10/23 (火) ~ 2018/10/24 (水)公演終了
満足度★★★★
一体故郷はどこにあるんだろう。ふるさととはいったい何なんだろう。
詩劇というか、ポエムなんだろうなあ、コミカルでいて哀しくてやはりおかしい。ずっと故郷というひとつのテーマを追求している。
想像していた以上に映像はそれほど驚かせるものではなく、むしろおとなしめだ。俳優のクローズアップなどが多い。
バランスの取れた俳優の布陣で、劇は深く流麗に進行する。途中流れる「うさぎ追いしあのころ、、」がなかなかのシャウトで泣きそうになった。