koh*の観てきた!クチコミ一覧

1-6件 / 6件中
ひとよ

ひとよ

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2011/10/21 (金) ~ 2011/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

思えば遠くへ来たもんだ
 結成15年おめでとうございます。2001年以前から何度か拝見しているので、もうずいぶんと長いお付き合いになりますが、今もこうして続けていらっしゃることが我が事のように嬉しく思います。

 あまり演劇を観たことがない友人に、「今度芝居を観に行くんだ」というと、必ずと言っていいほど「喜劇?悲劇?」というようにジャンルわけをされるのですが、僕はそのことにずっと違和感を抱いていました。だって、顔で笑って心で泣いて、なんてことは人生の中では当たり前のようにあるわけで、舞台が人生を写す鏡だとすれば、芝居だってそう簡単に割り切れるものじゃないと思っていたからです。

 KAKUTAの芝居は、そのバランスというかブレンド具合が絶妙で、単純なハッピーエンドを迎えるわけでもないし、社会派的な問題提起をされるわけでもありません。人と人が関わり生きていくといくということは、当たり前のように面白さと難しさがあるわけで、気をてらった演出や演技を用いずとも、それらを見事に表現しており、だからこそ観客は気がつくと登場人物一人ひとりに感情移入してしまい、どっぷりと物語に浸ってしまうのです。

 20代の初々しい青春群像劇も好きでしたが、30代半ばだからこそ描ける「今」を、存分に味わうことができて、片道2時間の道のりもなんのその。楽日に向かってますます加速していくであろうこの芝居、ぜひお友達を連れて観に行ってください。それもできれば普段芝居をあまり観ない友人を。

ケージ

ケージ

ミームの心臓

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/08/04 (木) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★

さてどうしたものか
旗揚げから2回目の公演で、シアターグリーンという劇場に進出し、舞台美術も照明も音響もきっちりと準備して、客席もほぼ満席状態という環境は立派だと思います。ただ肝心の作品が高校演劇の域を脱しきれていなかったのが残念です。17歳の時に書いた脚本ということですが、知識や情報量が豊富にあったとしても、それを脚本に起こすためのレベルが17歳の時のままだったことが悔やまれます。「書き言葉」と「話し言葉」は違うわけで、「語る」ことと「説明すること」はやはり別物なんです。時代背景を説明するためにはある程度仕方のないことかも知れませんが、その後もすべての心情を書き言葉で説明されたのでは、物語そのものに感情移入がしづらい。ですから当然役者にも共感することが難しかった。笑いに関しても身内受け的なものが多くて、残念ながらついていけませんでした。とはいえ、まだ2回目です。5年後、10年後にどのように化けているのか、劇団名だけは覚えておこうと思います。

パール食堂のマリア

パール食堂のマリア

青☆組

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2011/07/29 (金) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

やられた!
や、やられた!終演直後、真っ先に頭に浮かんだのがこのフレーズです。吉田小夏さんと言えば脚本家としてのイメージが先行しがちだったのですが、今回は演出家としての吉田小夏さんの底力をまざまざと見せつけられました。観劇前、僕が一番注目していた点は、これまでの春風舎より空間もキャパシティも大きくなった劇場で、果たして青☆組がどのような作品を創りあげてくるのか、ということ。けれどまったく余計なお世話にでした。初日にしてあの完成度はお見事です。観劇を躊躇されている方、迷わず劇場へ足を運ぶことをお奨めします。あ、もちろん台本が面白かったことは言わずもがな。しっかり購入して帰ってきました。

サヨナラ【当日券有ります!!】

サヨナラ【当日券有ります!!】

双数姉妹

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/07/07 (木) ~ 2011/07/14 (木)公演終了

満足度★★★★

コミュニケーションの所在
まずはチケットプレゼントを用意して頂いた劇団のご厚意に感謝したいと思います。賛否両論別れる作品だと思いますが、僕は好意的に受け取りました。20年間「表現」に挑み続けてきた劇団の強さと重みを感じることができたからです。野心的でチャレンジ精神にあふれた試みも素敵だと思います。詳しくはネタバレBOXで。

ネタバレBOX

僕が芝居に求めるものを突き詰めていくと、結局のところ「コミュニケーションの所在」というところになります。ドラマであろうと即興であろうと同じことです。「私」という観客の前で行われている「今」が大切なのであって、「今」という瞬間をいかに「生きる」のか、それが芝居の醍醐味であり本質であると思っています。だからどんなに素晴らしい台詞があったとしても、それらを「対話」として成立させる技術がなければ宝の持ち腐れだし、即興で面白いシーンが立ち上がったとしても、毎回「奇跡」を期待していたのでは博打と同じことになってしまいます。今回の作品を「入口と出口のある即興芝居」という言葉で片付けてしまうのは簡単ですが、大なり小なり「ドラマ」があったからこそ、ラストシーンの「サヨナラ」までたどり着けたのではないでしょうか。(ラストシーンに関しては、明星さんの力量によるところが大きかったのも事実です)即興色が強いなと感じたのは、単純に2つのパワーバランスの問題だと思います。
雨と猫といくつかの嘘.

雨と猫といくつかの嘘.

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2011/01/30 (日) ~ 2011/02/08 (火)公演終了

満足度★★★★

たまには雨音も悪くない
久しぶりの青☆組観劇です。以前、青☆組さんのワークショップに参加したことがあって、そこでの小夏さんの芝居への取り組み方とか、情熱とか、想いとか、そういうものを受け取ったつもりでいたのですが、実際の本番を観ると、あの時、小夏さんが伝えようとしていたことが、こちらの想像をはるかに上回る完成度で具現化されていて、見事に腑に落ちました。やられたーという気持ちでいっぱいです。

脚本にしろ、演出にしろ、隅々まで手が行き届いていて、むしろ「すき間」が欲しいなあと思ってしまったことはわがままでしょうか。

いずれにせよ、こんな世知辛い世の中で、こんなにも美しい人間賛歌が歌われていたことに感謝です。次回は、春風舎を出ての公演ですね。空間が変わることで、どのような変化があるのか、また楽しみが一つ増えました。

小夏さんを初め、出演者のみなさん、スタッフのみなさん、関係者のみなさん、お疲れ様でした。

Project BUNGAKU 太宰治

Project BUNGAKU 太宰治

Project BUNGAKU

ワーサルシアター(東京都)

2010/09/30 (木) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★★

太宰という人
各作品の出来栄えもさることながら、企画、立案、そして実行に移すまでの情熱に惚れました。4作品を通して初めて太宰という人物が浮かび上がってくる。そんな印象です。お奨め作品!

このページのQRコードです。

拡大