満足度★★★
ウダウダ感が生理的にはあまり…
空いてる部屋を使っての体育祭に向けての職員会議。いろんな議題はあるものの結局ほとんど進展しない、そんな光景。95分。
ネタバレBOX
描かれてる教師像はみんな自己中心的で結論出さないタイプ。職員会議とは言っても雰囲気はまるで学級会の延長のよう。あとで話を聞くと、観に来た本当の教師からは実際と似た雰囲気だというから、好き嫌いともかくリアルという意味ではよく描けていたと思う。
セットは横長の舞台に鈍角に壁を作ることでうまく教室の雰囲気を作り上げてる。また、音響の細かな周囲の音の変化の付け方は見事。
みんなで踊るエイサーのシーンは、女優陣の方がきれいに動いてる。男優陣は決めが悪かったり、雑だったり、もう少し頑張ってほしいかなぁ。
観た日の日替わり用務員は大西一郎さん。どこまでが台本なのかわからないくらい、テンション高く色々な人に絡んで、場をかき回して去っていったのがかなり印象的でした。
満足度★★
保育室のホールで保育室の話を。
まさに話の舞台そのままの空間を使った3つの繋がった短編。それぞれ違うテイストの物語をペースに趣の異なった演出で展開。110分。
ネタバレBOX
3話目の「銀河鉄道の夜」があまりに異質。この話が、それまで繋ぎの話として大枠を形成してる実家の保育室での兄妹の話の枠組みを壊してしまっている。もし母の死を重ねるためにこの話を選んだのなら、それは効果的とは思えず。
1話目の澤唯の披露する上方落語は普通に面白いが、他の演出、とくに場の精みたいな存在の4人は位置づけが各話で違うため、その把握にはちょっと難しく。
この話、旅館西郊にもっていくとどう変化するのかはちょっと気になるところ。
満足度★★★
ステレオタイプのキャラが多いけど、
前半、さらにクドいくらいのキャラの作り込みやベタな笑いがあっても、終盤ちゃんと泣かせるようにもっていく構成力は見事。113分。
ネタバレBOX
母親を主軸に話を進めるんだけど、絡める横軸をズラしていくことで話自体に救心力を保たせている。後半のスピードとしんみりがテンポもバランスもよかっただけに、ベタなキャラや笑いはもっと控えてもよかった気が。
泣かせ担当の和田ひろこ、笑い担当の津村知与支がすごくよい味出してる。
満足度★★★
飽きずに観られるが終盤尻窄み。
「罪と罰」を下地にしている短編が11編。バラエティに富んではいるが有機的に繋がっているとは思えず、徐々に単調な感じに。92分。
ネタバレBOX
最初の「囚人」の会話や「タイムマシーン」の設定とか前半は面白い点もいくつもあったが、大きく笑う作りではなく、後半は起伏もあまりなく淡々とした印象に。全体的に役者のポテンシャルが高いのもわかるが、現代的な話と原文引用の話から滲み出るなにかを感じ取るには難しいつくりだったような気がする。
満足度★
内容が薄く、雑な作りが目立つ。
脚本自体が冒頭から最後まで、語りたい核が見えないまま展開し、分散した中で残ったところが結果的な着地点に。109分。
ネタバレBOX
ちゃんとした筋も通ってなく、最後には話のきっかけの事件の真相を明らかにするでなく、結末までも描くことを放り投げた状態での終わり方はただ呆れるだけしかできないほどで。
台詞の言葉の選び方もちゃんとしていない上に、役者陣も台詞をただ喋るだけで自分の言葉になっていない。勢いだけで順番に自分の台詞を発するだけでは何も伝わらない。
サブストーリーもメインを膨らますに非ず、書きっぱなしだったり、中途半端だったり、蛇足だったり。そのせいか個々の輪郭が浮かび上がるわけでもなく、余計な役柄も多すぎて。ゲストのダンスチームはたしかにダンスはよかったけどその存在意義は?だし。
どうせならちょっと浮かんだアイデアを希釈したような話じゃなくて、色々な要素が詰まって濃縮されたような芝居が観たかった。
満足度★★
大人数では個々の色が出ない。
作品としては2006年春のENBUゼミ卒業公演「ノーバディー」のちょっと改訂版。前田作品の雰囲気が少し薄れてる感じかなぁ。108分。
ネタバレBOX
ENBUゼミの公演のときも大人数を舞台に上げなきゃいけないために作品が大味で散漫になってしまった印象を持ったのだけれど、今回もまた同じような印象で。やっぱり独特の空気を持っている曲者的な役者の少数選抜の形じゃないと、前田さんの微妙な違和感やズレからくる可笑しさは表現できないのかなぁ。
会場は最後列以外フルベンチの客席なので、極力荷物を預けて観た方が◎。たぶん今の五反田団の人気だとどの回も結構客席が埋まってしまうと思うので。
満足度★★★
割り切って切り取って加工して、
原作の一部を取り上げて、現代的な状況に置き換えて表現。見せ方も従来の山の手メソッドとは違う感じで新境地を模索か。89分。
ネタバレBOX
当日パンフではエロとグロについて書かれているけれども、さほど直接的ではないので作品的にはエロの方が表面的に。男子的にはボンテージの犬の男優陣にはさほど目は行かないものの^^;;女性の、肌の露出に特化せずともエロを際立たせる肢体の見せ方には目を奪われたりもして。
客入れからは昭和50年代ポップス、舞台上の女性の服装は昭和30年代風とここらへんのミスマッチが意図がわからずどうにもしっくりいかず。
極端に台詞を排除したり、音きっかけでシーンの切り換えしてみたり、繰り返しを多用してみたりといろいろ試している感じがします。果たしてこなれた先には何があるのか。個人的には3本まとめて上演するうちの1本ではなく、こういう作品はきっちり1本だけで作り上げたものを観たいと思ったり。
帰りの赤坂見附の駅にはちょうど今国立劇場で上演中の歌舞伎の「摂州合邦辻」のポスターが。見比べてみるとまた違う感想がでてくるかなぁ。
満足度★★★
'80年代半ばを頑張って再現。
作者が体感していない時代を当時のキーワード等を鏤めつつ構築しているけど、どこか地に足が着いていないような違和感も。123分。
ネタバレBOX
ボードビル系の大きな演技でのコメディや出捌けの都合良さとかにちょっとベタな感が否めない。後半、アクション主体じゃなく、脚本の妙で展開し、笑わせる部分もあっただけにちょっともったいなかったかなぁ。
満足度★★★
近いのは◎だけど狭いのは△。
この小屋は舞台との距離がないので、細かいネタまでちゃんと楽しめる分、舞台の広さがない分だけ大技の迫力がもの足りなく思える。94分。
ネタバレBOX
道成寺にまつわるいくつもの話をひとつの舞台にいっぺんに乗っけた作品なので、重なって膨らみを持つ部分と分散してしまう部分があり、作品としての流れやまとまりが少しもったいない感じもしたり。
最初の卵からはじまり、女性の存在やパワーや怖さが作品を支配している。飛び道具のキャスリーヌや酔っ払いは流れも空気も全部かっさらってしまうくらい卑怯だが、これもまた女性の力を誇示しているようで。
満足度★★★★
一見よくできたSF&心理劇だが、
初演と比べるとかなり印象が違う。今回は見たままを素直に受け止めるだけではなく、深読みをして裏を勘ぐってしまう作りに。107分。
ネタバレBOX
完全なネタバレです。
迷い込んできてしまったハズのミミと役人のハナは完全にグルであるように見えてしまう。またこの推測はほぼ正しいかと。その上でこの欠員補充の名目で選びたかった人、逆に言うと落としたかったのは月に行っても自分一人じゃ何も出来ない人だったのではなかろうか。
6人のチームの中で衛星を作る企業で働くコウドウだけは単身では機能しない。それを導くように紛れたミミが総意の中に加わる。場の監視により通知される結果がすでに文書になっていること、その監視下において他者を受け入れた状況が許容されていること、そしてなによりかミミが選んだ人が確実に見かけの選考から落とされている事実からも落とすべき人物を意志を持って選定しているのは間違いない。。落としたい人の具体的理由が推測どおりかはともかくとして。
ここまで考えて、照明も明るく、最後恋人同士が別れない結末が美しくも見えた初演のイメージが、今回の暗めの照明も手伝ってダークな思考の元に意志操作が働いてる意地の悪いものに見えてしまってしょうがない。
まぁそもそも再演するからには初演と違う考えがあってしかるべきだし、そういう意味では初演を観た自分にもここまで色々考えさせる作品に仕上げたのは作家黒澤世莉の見事な手腕ではなかろうか。
満足度★★
パーツパーツは面白いトコあるけど、
圧倒的な量の台詞を一気に吐き出すとか、変わった動きとか断片的には面白いが、それが有機的に繋がってるとは思えず。70分。
ネタバレBOX
翻訳には忠実なので話としてわかりにくいことはないが、見せ方がわかりずらくしたり、集中力を欠いてしまうような描写になってたり。格好や小道具、音楽の使い方がちょっと理解し難かった。
後で聞いたトコによると特別編がかなり面白いことをしていたらしいだけに、そっちを観てみたかった気がする。
満足度★★★
劇場版:話自体は観た中で一番。
初演も観てるけど、昭和の雰囲気の中での歪んだ人間関係の描写が◎。ラストシーンまで初演どおりだった方が好みだったかも。99分。
ネタバレBOX
劇場版ということでがっちりセットを組んでしまったのか、1960年代のアパートにしては部屋広すぎ。この広さが猥雑感を薄めてしまっていた気がする。
ラストシーンは一番のキメ台詞に音楽を重ねてしまったため、鮮やかさが損なわれている。そこに来るまでにクセを見せるとか、最後の場で服装を変えることで提示はしているので、容易に展開は推測できるようになっているが、そんなフリはなしに最後の言葉だけで落とした方がインパクトは大きかったかと。
役者では兄役を演じたあひるなんちゃらの根津氏が好演。
満足度★★★★
カッコよく、そしてわかりやすく。
最初の歩行から四畳半、ルパムとてんこ盛りの山の手メソッドを堪能できる。ストーリーも難解かと思ったらすんなり入ってくるし。89分。
ネタバレBOX
山の手のスタイルが円熟味を増し、安定感と完成度の高さだけでも満足できるつくりになっている。笑いは少なく、説明台詞も多いが、それでも話の求心力と役者力が舞台に引きつける。
額縁の中に遠山が入ってしまうシーンや最後のシーンの格好よさ、美しさには目を奪われるほど。
新手の若手劇団を発掘して観るくらいなら、その時間を削ってでもこういうのは観ておくべきかと。
満足度★
伝えたいことがわかりにくい。
一番描きたいことは人なのか、場所なのか、想いなのか、全然つかめず。空間・時間の飛び方や登場人物の在り方も不可解。86分。
ネタバレBOX
そもそものプロット自体理解し難い上に各キャラの色づけも演技も方向性がバラバラ。演出もセットや暗転や小道具の使い方まで意図が感じられるようには思えず。総じて話の核が見えないまま時間だけを費やしてしまったよう。
満足度★★★★
フィナーレがあまりにおバカ過ぎ。
真面目に演劇に1取り組んでるように見せて、毒をちりばめたり劇構造や話自体を茶化してみたりと斜に構えた姿勢が素敵。120分。
ネタバレBOX
本当の宝塚OGを中心に据えての周りの天スパ陣の弾け方がいい感じ。台詞の選び方といい、最後にグランドピアノを持ってきて「愛は勝つ」をマジっぽく歌っちゃうあたりのあざとさもこの劇団ならではかと。おバカ過ぎて涙しちゃうほど。
満足度★★★★
ろりえ、柿が◎、M.O.E.が○。
ろりえの片付けるまでが15分という、その持ち時間の中での不条理会話やら、体を張った展開やら、色々な起伏が面白い。131分。
ネタバレBOX
その他は、
●虎のこ
転から結が弱く、なぜそういう展開になるのかがわからないまま幕。芝居自体も目新しさはなく。
●多少婦人
前半の心の声を響かせる案はキャラを持て余し気味。後半はスピードとアルファベットでつくった単語で話が動く案はよいがその縛りに作家が振り回されすぎた印象。話が作り手の思うように伝わってない気がする。
●圧力団体イクチヲステガ
前半の抽象的で無駄に緊張感あるシーンが、後半のネタばれに全く効いてない。最後の消えモノのシーンも蛇足。
●M.O.E.Project
情報として提供されている萌え状態をそのまま具現化。言葉先行系に見えるがそれなりに面白い。ここだけのための客も多数動員してた模様。実際のアキバ人からもしっかり支持されるくらい深くなった方がもっと面白いかも。
●柿喰う客
圧倒的なスピードと台詞の量でおバカな世界を突っ走る。ここに集まった団体の中では頭一つ抜けてると思わせる安定感がある。この後の本公演へのイントロとしても効果的。
●Mrs.fictions
出てこない女性も含めた4人の関係性が語られる話の中からは見えにくく、それが話の求心力を弱くしている。ラストももう少し工夫を。
満足度★★★
草野球のベンチでのダメ人間模様。
自陣が守備についている、指揮官しかいないベンチで、男たちの情けなさ加減をちょっと丁寧すぎるくらいに描いている。109分。
ネタバレBOX
久々に観る自転キンは客層も普通の小劇場より高め。みんな昔から観てるような感じの方々が多数ご来場。
1回から7回まで、イニング毎に描かれるベンチの出来事は見えない試合の進行以上にテンポが遅く、冗長に感じる。せっかく草野球を題材としているのだから、野球のリズムにあった展開にしてもよかった気が。
役者は見てて安心のレベルだけど、役柄が少し極端だったり、過剰だったりと色の付け方がちょっと大げさでコントっぽく。なにもそこまでしなくても、なぁ。
やっぱりワンシチュエーション・コメディとしてはイニング毎に暗転が入るのは多すぎかと。大きくセットや展開が変わるわけではないので、暗転は流れを切ってしまうだけで効果的ではないように思う。
満足度★★★
こぐまで聞こえたものの色々。
向島に拠点を移し、オープンさせたカフェから聞こえた話や音をひとまとめ。実話にも十分ドラマ性があることを見せてくれて。36分。
ネタバレBOX
会場は閉園後の向島百花園のお座敷。なかなか入れないところでのお芝居。トリの公演は場所が大きなポイント。
柳澤さんや原田さん演じるボケキャラ陣もちょっとおとなしめに見えたのはやっぱり元の話を逸脱することができないから?事実の断片だけでもたしかに面白いんだけど、もう少し創作入れてハジけてみたり、話の幅を広げたり、エピソードを繋げたりした方がより面白くなったような気がする。
満足度★★★★
雑多な街に乗っかった物語。
見た目も背景もすっきりと一筋縄ではいかない船橋は、展開する話とともにかなり複雑。すごく不思議な街の印象。117分。
ネタバレBOX
昔の村の在り方から街の形成に至るまで、いろいろな事象が整理されずに積み重なって現在に至っている感じ。五日市村、九日市村、海神村の昔から神社、寺、東照宮の成り立ち、そして駅や繁華街、住宅街のつくりまで、その同居の在り方がとても理解し難い。それだけに土地の歴史と共にもっとこの船橋という街を知ってみたいとも思ったり。
満足度★★★★
10/12ソワレ、『浅河辻熊』でした。
新人をフィーチャーした公演とはいえ、さすがにどの作品もストーリーや小ネタ、構造の作り方などがしっかりしてて、十分面白い。117分。
ネタバレBOX
「浅」のpureなよい話、「辻」の構造の妙、「河」の言葉遊び、「熊」のパロディとどれもちゃんと特色を出して見どころがあり、企画公演でもちゃんと作られてたのが◎。でもそれ以上にナビゲーションストーリーのいまりんと五味さんの双数ぶっちゃけ話的な内容がすごく面白かったり(^_^;)
他の3作品はどうだったのかちょっと気になるところ。