満足度★★★★
ピアノとサスペンス
H ZETT Mさんの超絶技巧、緒川たまきさんの魅力に魅了されました。
ネタバレBOX
船上での一人旅、色んな人との会話と音楽で終始するのかと思っていると、船を追っかけてきた男が現れ様相が一変して…。
才能がある若いバレエダンサーの少年と偶然知り合ったことで、船会社が仕込んだ保険金目当ての沈没事故の巻き添えで死ぬことから免れ、イギリスからアメリカへ逃げおおせた夫殺しの疑いのある女性の話。
性的虐待を受けていた女性は、適齢期になってその男と結婚させられたのしょう。そして、夫を殺し、容疑が掛けられている最中いくばくかの財産を持って船に乗ったのでしょう。
船会社の男や船上歌手とバレエダンサーの父子とともに無人島から救出されて以来、容疑者の女性は事故で死んだことにして彼女は別人となってアメリカで家庭を築いたのでした。
なぜ男が女装して歌ってるんだと思いましたが、船上で営業する上で一人で男歌手も女歌手もやった方が人件費の節約になるというセリフを聞いて、ストーリー上仕方ないかと已む無く納得しました。
納得できなかったのは、婚約者の浮気癖を心配する女性客を男性俳優が兼任していたことと、おばあさんの声がスピーカーから流れていましたが、若い女優が無理しておばあさんを演じるときの喉から絞り出すようなステレオタイプの甲高い声だったことです。
若い女性役にはちゃんとした若い女優を使ってほしいし、また、おばあさんの声だけだったらもっと適した年配の女優がいるはずだと思いました。歌手の女装も含めてこれらの節約のために豪華であるはずの舞台全体が貧乏臭くなってしまったのが残念でした。
満足度★★★★
結局は
パラレルワールド物。
ネタバレBOX
びっくりすると過去に戻ってしまう特異体質の彼は、何度も失敗、後悔を重ねて、彼女への思いを確認し、もう一度小学生時代まで戻ってやり直しました。
実は彼女も同じ体質だったということは、自分の思い通りに行くとは限りません。高校時代に一度断られたのもそのためだったのかもしれませんね。彼女も失敗を重ねて最終結論に達したのでしょう。
とりあえずハッピーエンドでしたが、今後のことはまだまだ分かりません。たまたまびっくりして過去に戻った場合は、面倒ではあってももう一度同じことを繰り返せば済む話ですが、一方が理想の世界を築いたと思っていても所詮はパラレルワールド、二人の関係次第ではどちらかがいつびっくりしようと企てるかもしれません。
バレンタインデーでの同じ動作を何度も繰り返すシーンは、男子の決めポーズ、女子の男子を追っ払う動きなど寸分違わず、スピード感に溢れていて見応えがありました。
不滅の命を得たようなところは羨ましいです。
満足度★★★
生命の尊厳
ちょっとお勉強的でした。
ネタバレBOX
あることで悩んでいた少女が見た妄想の話。妄想の中で少女は自分の体内に入り込んで、それぞれの細胞や組織が職務を全うしている様子や心臓が疎外感を感じながらも頑張ろうとしている様子を見、さらにはそもそも自分の元となった精子が如何に過酷な競争や障壁を乗り越えて卵子に辿り着いたかを知りました。
細胞分裂の場ではDNAも見ましたが、自分のことは分かりません。ゲノムが解明されてもやはり生命の不思議さは残ります。全体が動き出すことによって思考が始まり、個性が生まれます。
少女は心臓移植をためらっていましたが、心臓移植後の自分を知ることによって生命の尊厳を認識し、手術に臨もうと決意したのでした。
生命の神秘とかいう本を手にした厨二が啓発を受けて書いた脚本のようでした。
卵子の手前にインベーダーゲームのような障害物があったのは面白かったです!
満足度★★★★
結構
盗賊、犯人、探偵、背景、真相、様々考え抜かれた脚本だと思いました。
ネタバレBOX
産業革命で大金持ちになったものの環境汚染をもたらしたことへの憎悪を抱く一族の末裔の鬱屈した気持ちと、素行の悪かった当主に対する恨みを持つ者たちの殺意が絡んだ事件に、盗賊が付け入った事件。
『ぽぽろんの憂鬱』の中で、客演さんにスティングのことを重要な役どころですとか、茶色と白のスーツを用意していますとか言っていましたが、実際のスティングは銀色の毛並みの長い犬で、作演さんが大阪弁でツッコミを入れながら演じていました。それならば、時代も現代で良かったのではないかと思いました。その方が続編も作り易いのではないかと思うからです。
スティングがワンと吠える度に犬語を理解するポポロンが翻訳してしゃべり、事件を解決に導くという二者の関係はまるで毛利小五郎とコナンのようでした。時折、僕もほとんど同じようなことを考えていたよと負け惜しみを言うポポロンのキャラも憎めなくて、スティングがもう少し可愛ければシリーズ化もありだと思います。
刑事が新聞記者の頭を小突くシーンが多く見受けられましたが、作演さんの普段のDV生活が現れているようで嫌でした。
満足度★★★★
再生!初心!
一人ひとりが丁寧に描かれていました。
ネタバレBOX
面白かったのですが、キーボードのミステリーがかわいそうで、まるで救いがありませんでした。デーモン閣下みたいな化粧を落とした後の素顔がこれまた美しく、なおさらのように弄ばれただけの形になったミステリーに涙しました。
最初はリーダーがムリヤリ引っ張っているように見えたレボリューションズでしたが、決してそれだけではありませんでした。
解散、と思ったら新しいライブハウスの目処がついたりして即再結成の気配ですが、メンバー全員のレボリューションズとして生まれ変わるのだと思います。マグズサムズ誕生のときにも恐らく辞めたりした人もいたことでしょう。劇団誕生秘話のような感じなのかもしれませんね。
ところで、5年前の初演のときとは状況が変わっているところもあると思います。せっかく邪魔が入ったりして吸えなかったのですから、ラスト近くのタバコは吸わなくてもよかったのではないかと思いました。
満足度★★★★★
素晴らしい!!
緩くて、理屈が通っていて、少しずつ事情が分かってきて、いいねぇ。
ネタバレBOX
ドラゴン予報が出ての一世一代の決心、いいじゃん。
明日恋をして、身体が大きくなって、多分50メートル、明日来て人身御供の19歳の少女をさらっていくドラゴンを退治しようとはグッドアイデアです。
何分持続するのか心配ですが、あーぽん頑張って!
女子会風うだうだ話から少しずつ見えてくるこの土地の様子、河童がいて、毎年この時期になるうとドラゴンが飛来してきて一人つかまえて去っていくのが日常の世界、そして恋すると大きくなってしまう人もいる世界。
不思議少女あーぽん役のあやかさん、大熱演でした。三歩歩くと忘れるニワトリのときの羽の様子などハマってました。
満足度★★★★
中井ちゃん萌え!
たった一人の女子、頑張ってました。
ネタバレBOX
兄が牛になってしまった中井ちゃん、部屋の中で糞垂れるので面倒見切れず肉屋に売ったらいつの間にか闘牛場の牛になっていて、それが滅法強くて勝ち続けていました。いずれ自分のところに復讐のために殺しにやって来ると恐れた中井ちゃん、一度この牛に負けたけどカッコいい闘牛士にもう一度戦って倒すように頼んで、結果は相討ちで、連勝中に牛が貯めたファイトマネーを受け取る受け取らないがあって、そう言えば途中で何か決闘があって、どうもその理由が末期がんで結局自殺みたいなものだったとかで、男の情熱とロマンに満ちたストーリーなんだかどうだか。
牛が強そうな牛らしくて迫力ありました。
そして何より、中井ちゃん役の小山まりあさんが可愛くて、コミカルな動きも大げさ過ぎず丁度いい具合でした。
満足度★★★★
ドヒャーって感じで
面白かったですけどね。
ネタバレBOX
全体に品が無いです。
この人が婚約者ですってその場しのぎでどんどん嘘を付くまあ凄まじいパニクり方でした。ま、次男の息子にとって、相手が長男の娘、即ちいとこじゃ大変ですけど、いくらなんでもひどいよねー。
遺産相続絡みで兄弟の仲がさらに悪くなったというのは今一。長男が腹違いの五男(父親の非摘出子)に金銭を与えていたというのも理由が分かりません。その五男ですが、相続放棄をするようなことを言ったように聞こえましたが、さんざん金を受け取っておきながら何言ってんだかと思いました。受け取った金は相続財産なんですから相続放棄するなら返却しなきゃいけないんですが、そうするとは思えないんですけど。
三男の子供が面白く、特に中学生男子のツッコミは良かったです。
満足度★★★★★
素晴らしい!
地に足の着いたSFファンタジーでした。
ネタバレBOX
ピノキオのことを人形と考えていたので機械と認識していることに現実的生々しさを感じました。
ピノキオはゼペット博士の幼くして亡くなった次男なのか、それともそもそも次男は存在せず足の不自由な長男の代替品なのかどちらかだと思いますが、人間らしい心の発露を期待されて家庭教師を採用したはずなのに、ピノキオが相手の気持ちを考えて独自の行動をし始めると、開発者であるゼペット博士は理想の息子像と異なるとして不愉快になります。
父親に気持ちを受け止めてもらえないことに失望し、また兄からエネルギーがもうすぐ尽きてしまうことを教えられ、データ情報を収集することだけが目的の単なるピノキオ32号であったことを知ると、軍事兵器開発会社にロボット開発に利用されるべく自ら赴きました。
将来人類が滅亡したときに眠りから覚めるという条件を付してもらって倉庫の隅に置かれたピノキオ32号ですが、ラストシーンで目を覚ましました。
ああ人類は滅びました。
変なダンスのようなものは無く、ストレートプレイでぐいぐい押してきて見応えがありました。
満足度★★★★★
一途
モニターが集められたのは、歌舞伎町2-45-2のビルの4階、まさにここでした。
ネタバレBOX
心理実験に集まったのは5人、初日は夕方から始まり、三日目は午前中で終わる合宿型。日程は観客にも知らされており、その通り実施されると思っていましたので、素早く二日目の朝食後に事件が仕組まれていたことで一気に緊張感が増しました。良かったです!
朝食のサンドイッチに遅効性の毒が盛り込まれていて、解毒剤争奪戦を巡る心理実験の様相でしたが、実はワンダーフォーゲル部の冬山歩きで一緒に行った恋人を亡くし、失望感と責任感から引きこもりになり、オンラインゲームの世界で二人で一緒に冒険したり、まったりと遊んだりして、ゲームの世界に永遠に閉じこもったままの状態に陥った女性の心を開放させるために、ゲームの中の彼女を死なせてゲームを終わらせようとしたワンゲル仲間の壮大な企画でした。
この会場自体がネット上の仮想空間でした。気持よく騙されました。
最後、一つ残った解毒剤を恋人に飲ませ、彼女は死を選択しました。ゲームの中の恋人は生き残ったはずですが、操作する人がいなくなったため恋人も動かなくなりました。切ないですね。
腐れ縁のように言いながら、一途な彼女が素敵でした!
ところで、彼氏が解毒剤を飲む直前に蓋を取ったビンを手にしていましたが、そんなに傾けていたらこぼれてしまうと思いました。他の人たちがビンを落としたときも本当にこぼれたのか良く分かりませんでした。実際に水ぐらい入れておけばよかったのにと思いましたが、カンパニーの誰も信じられないのかなと勘ぐったりもします。
満足度★★★
✕5+α
長く感じました。
ネタバレBOX
離婚するカップルが5組もあると、色々なシーンを5回ずつやることになり、冗長で辟易しました。
これから別れる女性のことを旧婦と呼んでいましたが、旧婦の独白が三人目までで終わったときには、5人もしくは旧郎も入れると10人になりますが、ようやく全員を公平に演技させるという呪縛から解き放たれたと喜びましたが、ちょっと違うシーンの後に残り二人の女性の独白シーンがあり、ああやっぱりかとガッカリしました。
総勢27人、その内離婚式関係者以外の人たちは約10人でしたが、ラスト辺りでは恐らくそのような人たち全員にそれなりの長さの台詞を言わせていたと思います。特に男性は上半身裸になって脱いだシャツを振り回すというオマケ付きで。ご苦労はお察ししますが、付き合うこちらは苦痛でした。
満足度★★★★★
真骨頂!
加害者と被害者、そしてその属性、見応えありました。
ネタバレBOX
交通事故で足に後遺症を負った女性と加害者、子供をいたずら目的で殺され、妻も自殺した男とその当時未成年だった加害者の青年、二組の加害者と被害者との関係で反省と謝罪の仕方が両極端で異常でした。
女性は謝罪し続けるようにとネチネチ責めて、自分の喫茶店に毎日来ることを要求。男は加害者が幸せになれば恨むことができるとして加害者が幸せになることを要求。
偶然にもこの二組が接触したことで新たな展開に。冷静に見えた男ですが、加害者が幸せになりそうと判断すると一転、その芽を摘もうと自分の子供がされたように女性に火を付けました。突然の侵入シーンは強烈でした。
ただ、それだけでは済みません。この女性は被害に遭えば遭うほど喜ぶタイプで、最後顔中包帯ぐるぐる巻でモゴモゴして何をしゃべっているのか聞き取れませんでしたが、全身やけどを満足しているような様子が不気味でした。elePHANTMoonっぽくて、作家さんの真骨頂だと思いました。
この女性の夫が自殺した本当の理由は不明ですが、浮気されたという悲しみが喜びとなって、夫にネチネチ迫ったのでしょう。
二組の加害者と被害者に、こうした事件が加わったりして面白かったです!
満足度★★★
奇譚
譚は譚。サスペンス風な入り方で期待したのですが、結局は奇譚でした。
ネタバレBOX
役者さんが登場しただけで大きな笑い声が聞こえてきました。笑い屋にしては仕掛けが早いな、コアなファンかなと思いましたが、アフタートークで笑いの主が八嶋智人さんだったことを知りました。笑い屋ってこういう身内なんですね、納得。
小栗判官伝説をモチーフにした話。顔が崩れる病気の状態で仮免許としてこの世に復活したオグリが、人の善意によって熊野まで辿り着き、温泉に浸かって元の姿に戻るまでのややこしいストーリー。
海に関わる話が続いたので、今回は山に関するものにしたとか。
醜いオグリの乗る車を引くパフォーマンスは凝っていましたが、ちょっと長かったです。
満足度★★★★★
発想力!
いつにも増して面白い発想、アイデアです!
ネタバレBOX
恋人を亡くした女性が、彼にあの時実現できなかった夢を、プロ野球選手の引退試合でホームランボールを受け取りたいという夢を叶えさせてあげたかったなと思った気持ちが発端となって妄想を生み、それがどんどん大きくなって宇宙規模の妄想にまで発展したSFファンタジー。
未確認飛行通販…、個人個人の願いがエネルギーの波となって組織に届くと、最終的に子供の駄々的な欲求か、叶えさせるべき願望かを見極め、叶えさせる場合には最高のタイミングを見計らって瞬時に奇跡が起きたかのように希望通りの物や事象を勝手に送り届ける仕組み、組織のことです。
彼はボールは受け取れなかったけれど、隣の受け取った人を讃え、そして何より引退試合でホームランが打てた選手のことを喜びニコニコしていました。あのとき彼は決して不満足な状態では無かったことを知り、彼女の妄想が抑えられ、徐々に妄想癖が治ります。
未確認飛行通販の様々なエピソードを伝えたいと思うあまり、盛り込み過ぎの嫌いがあるように思えます。それぞれのエピソードはバカバカしくて面白く、繋がりを持たせたりして工夫は見受けられるのですが、一方で時間が長くなり、少し分かりづらくなるような気もします。
いつもの宝塚系、幸薄そうなラーメン屋の奥さんなど女性陣が面白かったですが、聴覚が発達した宇宙人ミミコの気配が特に良かったです。それに引き換え、男性陣の滑舌の悪さが少し気になりました。
満足度★★★
何とも
重苦しい気分になりました。
ネタバレBOX
県大会決勝戦当日に交通事故で死んだ大好きなリョウコを甲子園に連れていくために、年齢制限で公式戦には出られなくなり補欠となった今でも野球部に籍を置き、練習に励み続ける高校20年生の物語。
彼に付き合って野球部で頑張る友人とリョウコの女友達もいて、計三人が高校20年生だったという設定にビックリしました。
純粋な気持ちがちょっと切なかったのですが、クラスメートの指摘どおり、精神に異常をきたしていると見るのが正しいようにも思え、そう考えると何とも痛ましい限りで心底笑えませんでした。
場面転換で、みんなが一斉に椅子を持ち上げたり歩き始めたりする動作は形式張っていて堅苦しく、ストーリー全体の重苦しさを増長させていました。
ところで、20年も高校に通っていて高校中退というのはあまりにもかわいそうです。卒業資格をあげてもいいのじゃないかと思いますが、ねえ教育長。
満足度★★★★★
30歳の蹉跌
親子関係とは、青年の蹉跌とは、を問うドラマチックな意欲作!!
ネタバレBOX
なんでこうなってしまったんだろう、俺が悪いわけじゃない…。
血の繋がらない父子の関係について、愛する女性が産んだ子供だもの、父親は俺を愛し続けてくれていたことをやっと理解できたのに…、そしてみよちゃんの産む子供を今度は俺が父親の立場として恐らく愛せると信じているのに…、サイレンの音が聞こえてきた…。なんでこのタイミングで捕まるんだ、世の中おかしいんじゃないか、ちくしょーっ。
みよちゃんの浮気相手の性癖をおさらいしたばっかりに、先輩女子との初めての浮気で情事の最中に先輩の首を絞めて殺してしまったタケシの、そんなことは無かったかのように日々を送っていたものの、結局はごまかしきれずに警察に捕まるという、底辺をうごめいていた青年がさらに奈落の底に転落する、太陽がいっぱいのような、青春の蹉跌のような物語。
壮大なストーリーの一人芝居、挫折感を味わいました。面白かったです。
満足度★★★
【Bチーム】観劇
ちょっと疑問が残りました。
ネタバレBOX
金利が何パーセントで、年間返済額が年収の何十パーセントに収まっているかなどの細かいことは省略しますが、担当者や先輩が言う通りこのお客様は年収面から見て、350万円の6倍の2100万円まで住宅ローンを使って借入できるものと仮定しましょう。
担保掛目についてあまり考慮されていなかったのも気になりましたが、それは置いておいて、おじいさんの土地建物を共同担保にして担保価値が大幅に増えるため、借入額も増やせるような説明をしていたのは間違いです。先輩自らがおっしゃった通り、先程の年収の縛りから2100万円を超える借入はできません。
そもそも、銀行の住宅ローンが借入限度額を設けているのには理由があります。借入過多で生活そのものが成り立たなくなることを防ぐためです。資金使途と返済能力と担保価値を勘案してローン実行額は決められるもので、担保があればいくらでも借りられるというわけではありません。
また、材木を、質を落とさずに50万円安く仕入れる話も、それならばこれまでも他のお客様に対してもそうしてあげるのが筋じゃありませんか。特定の人にだけ別の仕入れルートを使って利益供与するというのはフェアではありません。
みんなで協力して問題解決に努力した点は評価しますが、また新人さんも今回のことで勉強した知識が今後に活かせるとは思いますが、ちょっと疑問が残りました。
ところで、店長さんですが、飄々とした感じを出そうとするあまり、ちょっと浮いた感じがしていました。また、ラスト直前に、お客様に会いに行くと言って出て行ったのは意味深でしたが、プロジェクトの復活と関連性が感じられなかったのが残念でした、深読みし過ぎかもしれませんが。
満足度★★★★★
チャレンジング!大成功!
文学的味わいがありました。
ネタバレBOX
最初、写真などで目の部分を隠す黒い線のようなサングラスをかけた人たちが登場したので、これが匿名の意味なのかと思いましたがそうではなく、息子、父母、祖父母という主人公の息子から見た直系家族を演じる役者が存在せず、あたかもそこにいるかのように周囲の人々が立ち振る舞う形式で、しかも名前のところにピーッが入って苗字すら分からないという、ここに匿名家族たる所以がありました。とても斬新でした。
先生の存在が大きかったです。役割としてもそうですが、岡見文克さんという中年の役者さんが加わったことで全体が引き締まりました。
大学を出てからも気を遣ってくれる先生なんて現実に存在するのか分かりませんが、文学の世界では如何にもありそうな感じでした。先生は最初、彼の小説には救いがないと指摘し、修正後も愛がないと指摘して引導を渡しました。もっともらしい理由付けですが、彼には小説家としての才能が無いのか、あるいは実家の実情を勘案した上での発言なのか本当のところは不明です。
恐らく、先生の言葉が彼に決定的な影響を与えたと言うよりは、先生の言葉を受け入れることによって彼は自分の揺れ動く心理に決着をつけ、実家の養豚場を継ぐ行動を正当化させたかったのでしょう。
そして、最後はやっぱり家族は家族です。大学院を出たどんなに優秀な社員でも、形式だけの株式会社、ほとんど個人営業では婿養子にでもならない限り跡取りにはなれません。当然の現実です。
それにしても、養豚場における動物虐待という話がもう一つのテーマでしたが、命をいただく身として複雑な思いになりました。
意表を突かれた回り舞台も効果的でした。薄い壁を隔てて隣室の104号室があるのではなく、壁の向こう側には実家があるということです。
ところで、事務所兼居間に出入りするときに、靴底の接する玄関の土間に直接足を置いて長靴や靴を脱ぎ履きしていましたが、養豚場ということを考えるともう少し丁寧に脱ぎ履きするのではないかと思いました。
満足度★★★★★
チャレンジ!大成功!
バカバカしくてめっちゃくちゃ面白かったです!
ネタバレBOX
自分の子供を病気にして、看病する姿を見てもらって満足する性癖のお母さんが実際にいましたが、この作品の主人公葵は自分が虐められたりして不幸を感じることで喜ぶタイプの女性でした。
そんな病気があったなとか小難しいことを考えていましたが、探偵が葵のことを変態と言った一言で、ストーリー全体が物凄く分かり易くなりました。
不幸な目に遭う度にニヤッとする葵、そして、その変態を治すための荒療治ですが、友人たちに連れられて舞浜で遊んだり、ハッピーの押し売りとその困惑振りのまあ面白いこと、面白いこと。
全員が女性、それぞれキャラが立っていて、しかもヘタウマなところがストーリーとマッチしていて最高でした。
満足度★★★★
元反政府活動家とは
反政府活動家をやめた者のことです。それなりの理由がありました。
ネタバレBOX
胃の辺りに棲む身体の中の牛が鳴くと、もう我慢ができないくらいに飽きてしまっておさらばしたくなるそうです。反政府活動も恋人も、そしてそろそろ人生も。
半口開けてボーっとした男にはピッタリの設定でした。それでも元カノまでが、死ぬより徴兵忌避の方がいいと真剣に逃走を考えたところを見ると、こんな男にも足は臭いですが魅力的な面がきっとあるのでしょう。
作家の鈴江俊郎さんは、セミを鳴かせたり牛を鳴かせたり、日本にクーデターが起きたり反政府活動があったり、不倫やフリーセックスみたいな自由恋愛があったり反政府活動の行き着くところが婚姻制度の否定と称する一夫多妻的なものであったりと、ちょっとパターンが似たところがあるようです。
因みに、セミが鳴くとは、そう言えばあんなにうるさかったセミがいつの間にか鳴かなくなった、死んじゃったのかな、まっいいか、俺には関係ない…というくらいの意味です。
期待しないふりをして期待するってもろ現世利益を願っていることで、あまり好きなシーンではありませんでしたが、ラストで二人の女性には期待していた汽車の音が聞こえてきました。三人の結婚式、出征前の束の間の幸せといったところでしょうか。
男に牛の鳴き声が聞こえなくて本当に良かったと思いました。