満足度★★★★★
素晴らしかったです!
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太閤が死んだ日から豊臣家滅亡までを、武将の妻たちの視点で描いた話。
登場人物も役者も女性のみの公演でした。自ら歴史を動かそうとする茶々、夫の背中を押すタイプの山内一豊の妻千代、夫の人形であり続ける細川ガラシャ、次第に方向性が固まる秀吉の正妻おねたちを通して、そして、史実が的確に織り込まれていたことから、歴史の流れが良く理解できました。
おなご会という女子会、楽しそうでした。ただ、いろは歌を歌うだけでミュージカルを標榜するのは少し言い過ぎかなと思いました。
千代のコミカルさは素晴らしかったです。
満足度★★★★★
うわぁ、目の前の真実がどんどん崩されていきました。
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高校時代、仲間外れにされた女性が、社会人となってもいつまでも引きずり、妄想を重ねる話。
説明文を読み、女性が好きな女性の切ない話かと思っていました。
そういうことが言い出せないが故に起こった話かと思っていたらとんでもない。それどころか、嫌われていたとか、どこまでが現実でどこからが妄想なのか分からなくなるくらい目の前の出来事が壊され、頭の中が混乱していきました。
最初、女子高生がタクシーの中でタバコを吸うのと思ったセーラー服姿が、主人公の暗い過去を引きずっている心情風景をよく表現していました。
満足度★★★★★
番外公演最高!!!
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父の作ったタイムマシン付き肩掛けカラオケで1818年に行ってしまった2118年の女性が、スイッチを壊され戻れなくなったものの、たまたま人魚の肉を食べたことで不老不死になり、家族に会いたい一心で、様々な状況に遭いながらも生き抜いていく話。
歌もうまかったし、一つひとつのエピソードも面白かったし、まさか、さらに未来まで行ってしまうなどとの出来事もあり、素晴らしかったです。ただ、何かを削ったりして2時間に収めることも重要だとは思いました。
ラストの感動シーンも、いつ来るか分からないままどこかでひっそりと待っている男がいるというお芝居は観たことがありましたが、それでも感動しました。
主宰の嚙み噛みを排除するのが番外公演だとすれば、大いに結構、どんどんやってほしいと思います。
満足度★★★★★
ハラハラドキドキ、しかもダラダラした一日一日の表現も含めて全体にスピード感があって素晴らしかったです。
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脱税して貯め込んだ社長の2千万円を盗むことを計画し実行した淡路島のネジ工場社員たちの顛末。
変化する必要があるのか、努力したこともない人間が急に変化できるはずがないなど、味わい深い格言も多くありました。
男がとことんクズであることを知ったスナックのママさんが、男と逃げたのが泣かされます。最後のオチも面白かったです。女も戻ってきて、二人で笑わせてほしいものです。
満足度★★★★
【Aチーム】観劇
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アジトに使っている家の過激派夫婦、および、そこに出入りする過激派メンバー、一般住民たちの話。
1997年初演でしたが、TPPイレブンなどという言葉が出てきたように、まさに現在の話になっていました。姉が10年前に闘争で死んだという妹さんが登場しましたが、そんな事件あったかなという感じです。同様に、今の時代に空港の管制塔と大使館に同時突入して騒動を起こしたとしても人民が共鳴するのかはなはだしく疑問に思いました。初演に準じてやってほしかったと思います。
ただ、突入計画自体については曲がりなりにも真剣に話し合われていたと思います。それが、トップの人が来てから、トップの人のおちゃらけた人柄のせいで真剣味がすっかり失せてしまい残念でした。
組織は下世話な男女問題で崩壊していくものですね。
満足度★★★★
カラーがポップでした。
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ATMが故障したと思わせて、修理中に現金を盗もうと考えたドラッグ中毒の男たちの話。
まさか、修理屋を待つ車の中で一人がプッツンして別の一人を殺してしまうなんて思ってもみない展開で、背景の映像ともどもファンキーでした。
日本語のストレートな隠語はジャンキーらしさを表現しようとし、更には演劇の自由さを強調する意図もあったと思いますが、いくら脳みそがイカレているとはいえ、30代、40代の都市生活者が発する言葉としては似つかわしくなく、頭でっかち、逆に引いてしまいました。
前科者となって一人前、刑務所に入ったこともない若造などを仲間に入れたことが敗因だったとは、勉強になりました。
満足度★★★★
別の人を主人公にしてほしかったです。
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喫茶店で働くことになった知的障害者の話。
一人では生活のできない人を放り出す社会制度があるのでしょうか。障害年金を実の親が使い込んでいるなら、やめさせる方法はいくらでもあるのではないかと思います。
そもそも、社会に放り出されたとあったので、ちょっと不思議に見える発達障害の人の話かと思っていました。予想していたものとは異なっていました。
迷惑を掛ける桜の枝を切らせない地主のおじいさんこそが発達障害で、この人を取り上げてほしかったと思います。
満足度★★★
美人でもそれなりでもいい、原寸大の三姉妹が見たかったです。
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三姉妹が本音とかをぶつけ合う話。
パンフレットを見て女優が二人だったことに、あっ、一人は男優かと少々残念に思っていたところ、三姉妹ともが男優の持ち回りで、しかも、サスペンスドラマに出てくるオカマバーのママさんのようで、がっかりでした。
男が女を演じるというのは、一回り遅れているのではないかとも思います。
満足度★★★
全体に活舌が悪いように思えました。
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不思議な力を持つ隕石によって生命と記憶が一定期間転写可能となった研究者たちが、問題解決のためにキーパーソンである研究者の一人を探し続け、早めに死んでは記憶を有して生き返ったりする話。
タイムトンネルは隕石の力ではないはずで、どうして都合良く出現したかは意味不明でした。ネズミは死んだ体が蘇生したようでしたが、研究者たちは別人として生まれたような感じでした。違いが分かりませんでした。
ゲームをリセットするように、一定期間に達しそうになると互いに殺し合う姿は見るに堪えませんでした。
満足度★★★★
生と死と再生と
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彫金師見城海山の死後あまり彫金の仕事をしていない弟子、海山の許から離れて行った元妻が生前話していた思い出話をもとに訪ねて来た娘、海山の資料館開設の可否を調査するため東京から派遣されてきた若い男の三人が、海山の工房で会話を重ねるうちにそれぞれの立ち位置を知り、それぞれが己の道を新たな気持ちで再出発する話。
とは言っても結局は、弟子にやる気が出てきたというのがメインでした。でもって、若い男役が中央で座長風に挨拶したので、ムズムズと、気まずさを感じました。
満足度★★★★★
シンクロナイズド演劇は初めて観ました。
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手首を切り落としてアートにする芸術家が、酔った勢いで同席した女性に渡してしまい、それを取り戻そうと二つのパラレルワールドを行き来し、そのうち二つの世界が一緒になってしまったというような話かなと。
話の内容的には今一分かりませんでしたが、最初の頃の、舞台の左右で見事にシンクロした役者たちの動きとしゃべりが素晴らしく感動しました。
全く同じことをするというのは初めてで、発想が素晴らしかったです。
満足度★★★
枯れてもいず、情熱的でもなく、今が中途半端な時期なのかなとも思います。
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まだらボケが始まった70代の時代劇役者が、無意識にかつて憧れ関係があった女優三笠良子ゆかりの温泉地に行き、出会った人たちと絡み、彼女の妄想を見る話。
何となく古臭い内容と、劇団と共に歴史を重ねてきたような客層を見るにつけ、結成28年という貴重さは感じるものの、功罪も感じてしまいます。
満足度★★★★★
特殊な時空間が素敵でした。
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二段ジャンプができる能力を見込まれ、物乞いの手伝いをしている孤児の少女が、亡くなった親の友人から親の愛情を知る話。
二段ジャンプは、劇場で、少女が登場するシーンと両親の若い頃のシーンが舞台上で重なり、しかも少女が飛び、両親の腕の動きが少女を支えるような仕種をする偶然が重なる特殊な時空においてのみ実現するという何ともファンタスチックなものでした。決してバカバカしいなどとは思わない、素晴らしい発想のたまものでした。
空襲から子供を守って死ぬことを聞かされ、カッコいい劇的シーンを想像して役者への道を諦めた父親ですが、そうでなくても赤ちゃんを産むことを決意していたと思います。
満足度★★★
人類の次の地球の支配者にも引き継がなければならない放射性廃棄物、考えさせられます。
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原発事故がきっかけでしゃべれなくなった女性が、原子爆弾を開発した科学者のことを調べ熟考するうちに、日常を生きるというごく普通のことの重要性を再認識してしゃべれるようになった話。
なんでしゃべれなくなったのかも不思議ですが、良く分からないけどしゃべれるようになりました。
ソフトバンクの白戸家はシラード博士の名前由来で、孫正義さんが太陽光発電を推進するのは、原爆を開発したものの使用には反対したシラード博士の影響によるものではないかとふと考えながら観ていました。
とは言っても、みんな白い衣装というのはありがちでうんざりしました。
満足度★★★★
そして、あの食事
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日系トメニア人が多く居住する萩島町で、トメニア人との親睦と町起こしの一環として萩島フェスタを開催するに当たり、フェスタ実行委員のメンバーが集まって打ち合わせをする様子を描いた話。
トメニア人ボランティアを募集するかどうかについて前回の打ち合わせで決まらず、今回の会合の最大の議題となっていましたが、フェスタをやるやらないで揉めるならともかく、やる以上この件でそんなに揉めることがあり得るのかと、何かピンと来ませんでした。
みんなが仲良くという原理主義者にも困ったものです。会議の出席者は全員日本人だとばかり思っていたので、ラストシーンで役場の職員と話したケーブルテレビ局の女性がトメニア人と分かって驚きました。
初演のときの自分の感想を見てみたら、登場人物が13人で湯田(ユダ)さんが犯人というのはミエミエだとあり、今回気が付かなかったことに感の鈍りを痛感しました。そして、最後の晩餐だったとは。
満足度★★★★★
何かスゲーって
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暴行された少女の家族が、刑務所から戻ってきた暴行犯の男を殺害する話みたいな。
早口、表情、台詞の三度ほどの繰り返し、シーンの三度ほどの繰り返しなどに、役者の能力の高さを垣間見ました。
しかしながら、三度目の正直的なラストシーンの意味は良く分かりませんでした。
満足度★★★★★
徹頭徹尾なところが素晴らしいです。
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円形舞台の中央にヤシの木を置いての、結構動きのある棒立ち棒読み的ナンセンスコメディ。
シレーっとして面白く、こういうの大好きです。
満足度★★★★★
ドキドキするくらい若さが溢れていて素晴らしかったです!!
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三年生の卒業演目について議論する部員たちを通して、高校演劇の在り方を考えさせられ、部員たちの熱い想いが伝わってくる話。
10年後にもう一度みんなで演劇がしたいねという当時の想いは真実だったけれど、実際にはなかなか実現しないという作家の実体験を高校生作家に書かせたところが憎いです。
先日も対照的な二つの高校演劇を観たばかりですが、高校生らしさ、等身大などという考え方を排除するこの迎ヶ谷高校の伝統に共感しました。
スランプに陥ったりもするがそこそこ面白いものを書く現役作家、学校物が伝統に合わないと言われて休部した作家、勢い重視で結局採用されたことがなく作家をあきらめて役者に徹している部員がいて作家の世界も大変、勉強の合間によくできるものだと感心します。
満足度★★★★★
ラストシーンは魂を揺さぶられました。
ネタバレBOX
再審請求によって死刑から無期懲役に減刑され出所した左翼運動家篠谷が、獄中結婚した女性との人間関係を構築していく話。
ブラインド・タッチとは、篠谷が上野と組んでいたバンドの名前であり、鍵盤を見ないでピアノを弾くことであり、ピアノをむやみやたらに叩くように弾くことでもあるようでした。
左翼運動家としても中途半端、上野に合わせてピアノを叩いていただけの楽譜も読めない中途半端な音楽家という独白によって、評価を下げたというか首謀者の一人とされた男も普通の男だったのかと思いましたが、ラストの妻とのセッションは魂のこもった素晴らしい演奏で、やはり影響力があって権力側は恐れていたんだなと大いに裏切られました。
満足度★★★
もう一本と比べるとまだましでした。
ネタバレBOX
フランケンシュタイン島の秘密が明らかになる話。2009年が初演。
受けない小ネタを仕込んだり、身内受けや自己満足的な役者いじりがあったりのグダグダコメディでした。
理想的な人間を作り出そうと実験を重ねてきたフランケンシュタイン博士でしたが、最終的に完璧な人間はいないという結論に達したそうです。
唐沢俊一さんが後説で今回は2本立て公演で10年前と同じような作風で進歩がないとおっしゃっていましたが、10年前の本作は、完璧な人間はいないというテーマがあったのに対して、新作の『CHAЯLY』の方は、自己満足的グダグダはそのままに、メインテーマである実験の方向性もグダグダになってしまい、進歩がないどころか逆に後退したとしか思えませんでした。