
映像都市
“STRAYDOG”
赤坂RED/THEATER(東京都)
2025/02/05 (水) ~ 2025/02/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
1970年代前半、地方の映画館が次々と閉館して衰退、映画が売れない低迷期が舞台。今の映画しか知らない世代には、映画の転換期の設定に関心を惹かれる。物語は3つの時間・場所も異なるストーリーが並行して進む。映画に夢を抱きながら、アイスクリームを館内販売して斜陽な映画館の経営に苦労する夫婦。撮影現場でわがままで中身のない大監督に無理無体を言われながら苦労する若手脚本家と芋役者ながら親の七光でギャラのことばかり気にする俳優や無尽蔵に消費される資金集めに苦悩しているプロデューサー。足の悪い中年と彼の面倒を見てくれる姉弟。彼らの生活の周囲を現実の世界と映画の中の世界を交差させながら、三つの世界が一つに繋がっていく。個性あふれる役者陣が活き活きとして小気味良い。所々入る踊りや歌も楽しかった。また、劇場を作中の映画館に見立て前振りから芝居に入っていく演出や映画館長がプロマイドやパンフレットをリアルでも売り歩く演出は、臨場感が高まって効果的だった。なお、副題のチネチッタはイタリア・ローマ郊外にある映画撮影所で、 イタリア語で映画を意味する「cinema」と都市を意味する「città」を合わせた造語。

義経と弁慶
オフィスリコプロダクション株式会社
滝野川会館 大ホール(もみじ)(東京都)
2025/01/23 (木) ~ 2025/01/24 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
歴史上の有名人物で歌舞伎やドラマで何回も見ているので、作品のイメージは出来上がっていての観劇でしたが、ちゃんとイメージ通りの舞台演出になっていたのが良かったです。
義経と弁慶の迫力ある殺陣を真近で見せてもらい、「すごく贅沢な読み聞かせ」といった趣でした。18歳以下無料なので、お子さん連れの来場者がたくさんいましたが、子供だけでなく大人にもちゃんと響く作品になっていました。
二人の迎える結末が切なく、どこか物哀しいストーリーが心にしみ入りました。
ヨーヨーチャンピオンのパフォーマンスも楽しめました。

椅子の見えないイス取りゲーム
劇団生命座
北本市文化センター大ホール(埼玉県)
2024/09/14 (土) ~ 2024/09/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
とても面白かったです。
人間に不適格者・適格者の区別はないと思いつつも、AIによる人の選別に踏み込んだ今の世相を反映した設定。
そうして選別された不適格者が生き残り、適格者がパンデミックで死に絶えてしまうという逆転の結末が皮肉でもあり、見事でした。
生き残った人々らがこれからどうやって世の中を作るのか?気になる終わり方もまた良かったです。
日本ではここ数年、「勝手に決める」政治が幅を利かせ、世の中は急速に悪くなってないでしょうか。
「不適格者」を許さない社会、もしくは「選ばれた者」だけがルールである社会がどんなに恐ろしいものであるかを、この舞台は暗示しています。
「不適格者は断捨離」というルールが支配している社会で、アパートの気心の知れた住人が自死する話。一家の主である男性が不適格者と判定され、苦悩した結果、不適格者で匿われている幼い娘さんを治安部隊に通報し、母親の努力もむなしく死んでしまうという筋立てもありました。母の叫びが、母娘の絆は不変であることを示し、涙を誘いました。
「見えない椅子」という何も見ようとしないただ椅子に座り続ける人々を舞台の演題に設定したのも面白い発想でした。
椅子に座り続ける人々は、冷酷無慈悲な様相も呈しますが、そもそも不適格者は断捨離というルールで社会を締め付けている社会体制(AI)が原因です。舞台ではこのルールを覆そうと訴える人や抵抗する人もいますが、見ている方からすると儚い抵抗のような感じでした。しかしながら、彼らが命を張って訴えたことで自分たちと変わらないふつうの人がいることを実感することができました。
ラストの犠牲になられた方が大家の周りに集まり、静かに迎えに来るシーンがとても美しかったです。名前のない国民の方々の演出も本当に素晴らしく、あっという間の1時間50分でした。次の公演も期待しています。