公演情報
劇団川口圭子「花いちもんめ」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/08 (木) 19:00
戦争がもたらす悲劇を痛烈に感じました。これまでアジアの反日感情という言葉は知っていても、あまり理解してませんでしたが、今回の演劇で少し実感することができました。また、その日の食べ物に苦労する世界、今当たり前に食べられることの有難さを実感しました。
主人公の母親(鈴)は、収容所生活を辛うじて生き抜いていきますが、下の息子が病気になった時、上の娘を養女に出すことを決めます。別れの挨拶もできず黙って去る鈴。娘も売られることを分かっていたことを知り、鈴はさらにショックを受けます。その後、成人して家庭を持った娘が母親探しに日本へやってきまが、鈴は名乗りでませんでした。
娘のためになぜ名乗り出て会わないのかと疑問に感じましたが、鈴がラストシーンに「乞食巡礼」という言葉を口にしたとき、この人はもう死出の旅に出ているということが分かり、言葉に表せない気持ちになりました。
現代もどこかで戦争は起き、肉親や同朋を失う人々がたくさんいます。鈴の孤独は舞台の上だけではなく、現実に起こりうる出来事であることを忘れてはいけないと思いました。