満足度★★★★
見てきました。
後輩の女の子と過去に共演した男性の方が出ていましたので観に行きました。
2日遅れましたが感想を書きたいと思います。
ネタバレBOX
舞台装置そのものはシンプル、故に転換を含めての劇全体のテンポがよく、それは役者のお芝居にも反映されていた様に思えました。
演者の力量がしっかりしているため、「やくざ」「情報屋」「殺し屋」「探偵」「刑事」「不良少年少女」といった、少し非現実的な社会的ポジションもキャラクターが上手く色分けされており、抵抗無く見る事が出来た。
ただこの手の作品は自分にとって、役の葛藤が自分とあまりにかけ離れているため一番大事なシーンで熱中出来ないのが難点。
ただこれは作品というよりは私個人の問題なので、作品を批判する部分ではありません。
作品に携わった方々が「どうすれば良い物が出来るか?」という気持ちが十分に伝わる良い作品でした。
満足度★★★★★
人事ではない。
千秋楽、見にいきました。
詳しくはネタバレにて。
ネタバレBOX
過去に見たテラの作品の中でも、一、二を争うほど面白い作品だった。
その理由として最も大きな部分は、今回は身体表現としての部分よりも、いつも以上に「台詞」を使い、会話、対話、モノローグ、等々の言語を使った表現が多く、未熟な自分が咀嚼しやすかったからだろうと思う。
作品が全シーンが34場から構成されているらしく、
その為か、何処か映画的な印象、それもドキュメンタリーとでも言うのか?
作品内で起きた事件を、
「事実起こった事とし、再現している」
ような強烈な出だしだった。
シンプルな照明、無駄を一切省いた引き算的表現。
必要な所に必要なだけ、にもかかわらず、光だけで無く影も陰も闇も混在して、作品を生々しく、現実の質感を体現させていた。
音響も音として繊細、
まるで編集したかの様なタイミングでの入りと強弱。
そんな中で紡ぎ出される役者の言葉言葉言葉。
それは台詞というような、観客に対して余所余所しいものでは無く、もっとダイレクトに投げかける放たれた言葉だった。
【目の前で再現している演劇の事件性は、絵空事のフィクションでは無く、我々も無関係ではないぞ!】
と言う様な強烈な主張。
子供の頃に戦場写真を見たときの感覚と近いものがあった。
気付けばこの作品は何か現実に起きた事件を戯曲化した作品だっただろうか?
と考えていたほどだった。
様々な人物たちの断片的な物語が、演出とあいまってとても生々しく、リアリティのある作品になっていた。
満足度★★★★
物と人との交流。
劇場に入ると、簡素な舞台中央に大量の『古着』が文字通り、
「山」の様に積んであった。
(但し、自分の中では「丘」の」ような印象が何故かあった)
事前に出演者からメールで貰った様に、
客席にはもの凄い「古着の匂い」が立ちこめてあった。
最初はこの懐かしい違和感に一瞬戸惑ったが、暫くするとすぐに気にならなくなった。
こういった身体表現の作品を見る時に私が心がけているのが、
何か意味を汲み取ろうとしすぎないことです。
言語表現の世界では、真意だとか、嘘だとかそういうものを
観客が理解出来たかが価値になりがちなのだが、
自然界のものを観る様に、ただありのまま観る事だと。
ただそこに存在する、「木」や「水」や「雷」や「竜巻」をみて、
想像力で物語を作ったり、
因果関係を突き止めて行くのが醍醐味なのだと勝手に思って、
纏まりの無い感想を以下のネタバレBOXに書かせて頂きます。
ネタバレBOX
舞台中央の「古着の丘」。
周りを歩きながら超えて行く役者、崩れて行く「丘」。
その行為の連続は、私に「風化」を連想させた。
気付けば「丘」は崩れ無くなり、代わりに役者の足場には古着の「大地」
が広がっていた。
役者が「丘」を削り取るのにどれくらいの時間を費やしただろう?
役者が動くことで「丘」は崩れ、崩れた処から役者は新たに動く。
なるほど、舞台上で見事に「役者」と「物体」が関係性をもって交流をしている。
崩れ倒れる役者、倒れ、転がる、すると「古着の大地」は引き延ばされ、
更に広がってゆく。
立ち上がり、無作為に古着を拾い上げ、「服を着る」役者。
「服を着る」と今度はついに「言葉を発した」。
という様に、次々と関係と運動が連動し、空間が変化していく、
変化した空間から今度はまた、関係と運動が変化し、連動していく。
それをずっと観ていると、
大きな自然のサイクルを早回しで観ているかの様な感覚に陥った。
上手くは言えないが、「人類と自然の内的過去」とでも言うのだろうか?
人間が社会を形成するまでの営みを観た様な気がした。
完全に脱線だが、
人は体毛が薄いから服を着たのか?
服を着たから体毛が薄くなったのか?
どっちだっただろう?何てどうでも良い事を疑問に思った。
やはり纏まりませんでした、すみません。
評価下せず。
この作品を客観的に評価をするのは困難だ。
それは観客の主観性によってこの作品の是非が割れるからである。
作品そのものは舞台というより映像作品のような印象を最初に持った。
ネタバレBOX
この作品の登場人物は全て「社会的不適合者」である。
正確には
【自己の価値観と社会的価値観の差異に折り合いを付けられない者達】
で、その部分がアイデンティティー〖identity〗になっているため、自己肯定出来ずに苦しんでいる。
そしてそれをさらけ出す為に、ロボットの格好をして社会から自らを隔絶し、自分たちだけのユートピア(ネバーランド)を作り、生活をしている。
物語の導入部はこれで概ね合っていると思う。
勿論彼女らのアイデンティティーが何なのか、それは異常なことで排他されるべき価値観なのか?というのが後半で問われてくる訳だが、此処からが難しい。
作中の人物達の強烈な疑問や苦しみに、明確な答えを示唆してくれる者は無く、ただただ、役と役者が苦しみ、叫び、観客はそれをその場で”観る”という事しか出来ない。
観客もそれに対する答えを用意は出来ないのだ。
その時に人間が行うのは主として2つ。
「共感」するか「拒絶」するかだ。
この作品を見て面白い、引き込まれたと思えた人は、この登場人物同様に自己肯定が出来ない所が自分自身にあり、彼らの問いに答えてあげたいという欲求が生まれたのかもしれない。
逆にこの作品を見て拒絶反応を起こした人からすれば、社会を生きようとする中で、答えのでない問いを持ちながらも生きるのは当たり前だと一蹴して、彼らに対して理解するのを諦めるだろうと思った。
この作品に対する前評価はあまりあてにならないと思う。
それは個人の資質で人生感を刺激する作品にもなりえるし、時間を無駄にしてしまう作品にもなりうるのだと感じた。
満足度★★★★
初見の団体さん!
今回知り合いが出ていたので見に行きました。
初めて観る団体さんだったので大変興味を持って見に行きました。
塩谷君相変わらず素敵でした。
ネタバレBOX
とにかく登場人物が個性的で、役者がそれをどう料理するかが問われたのではないでしょうか、
作品が若々しく、作者が作品で伝えたい事がはっきり描かれていて、メッセージ性がとてもあったと思います。
ただ、メッセージ性が強いというのは少し台詞が説教臭くなってしまいがちなのでそこがすこし気になりました、が、
役者が一人としてテンポを崩す事無く、チーム全体で作品を創っていたのでその説教臭さも大きく気になる事はなく、芝居としてとっても纏まりのある良い作品だったと思います。
機会があればまた見に行きたいと思います。
お疲れさまでした。