LISAの観てきた!クチコミ一覧

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生きる

生きる

劇団ZANGE

俳優座劇場(東京都)

2014/09/02 (火) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

認知症問題について様々な側面をきちんと描いた素晴らしい内容!
劇団ZANGEの「生きる」、本当に素晴らしかったです!!すすり泣きが360°全てから聞こえてきました!!

京都伏見介護殺人事件を元にした舞台だけれど、息子や行政や親戚の誰か1人のせいにせず、役所にも、ルールと市民の間に挟まれて悩んでいる人がいることをきちんと描き、同じ職場の同僚でも、周りに認知症の人がいるかいないかで他人事と考えるかに違いがあり、他人事だと思っている人も明日は我が身だということをきちんと描き、また、息子が母親をやむなく殺してしまったこの事件だけ描くのではなく、認知症問題の例として、他の事件にも触れていた。

そしてラストも、観客は簡単に息子の立場に身を置けるし、同時に、親戚と近所の人が自分たちを責めるシーンでは親戚の立場にもなれて、観客自身が実際、認知症の親の介護をするか、認知症の親戚・近隣の人を持つか、両方になるかわからないけれど、両方の立場としての自分の責任を考えさせる作りになっていた!

でも決してシリアスなだけの内容でなく、プロデュース・主演のブッチー武者さんがコメディアンでもあることもあり、笑えるシーンも沢山あり、お世辞ではなく、老若男女、市民・行政の両方に観てもらいたい舞台だと思った!

ブッチー武者さんは、「オレたちひょうきん族」の"懺悔の神様"としてしか知らず、演技力を存じ上げなかったけれど、大粒の涙を流す熱演で、旗揚げ公演として、劇団の今後を期待させる脚本・演技だった!認知症のお母さん役の大信田礼子さんも、認知症の人にしか見えない熱演だった。

ネタバレBOX

ラストは、法廷の裁判官が実際に息子に言ったことを観客に向かって話すという作りが効果的だった!
被告人~裁判記録より~

被告人~裁判記録より~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

演目1と2は、テレビのニュースではメインに取りあげられていなかった部分をメインに取りあげていて、衝撃を受けた!
劇団アロッタファジャイナの新作「被告人〜裁判記録より〜」は、実際の裁判記録を台詞にするという実験公演で、①秋葉原通り魔事件、②連続不審死事件 (被告人:木嶋佳苗)、③日本社会党委員長刺殺事件、④226事件、⑤異端審問裁判 (被告人:ジャンヌ・ダルク)の5つから成るオムニバス。

実際の裁判記録を使っているのに、①で使われた部分が、私は知らなかった加藤被告に同情できる部分ばかりで、もはや加藤被告が死刑になって当然とは思えず、衝撃を受けた!

②も、テキストは実際の裁判記録なのに、舞台を裁判所から変え、相手の役柄を弁護士/検事から変えるという面白い演出をしていて、興味深かった!

③-⑤は、リアルタイムでは知らないし、国家を変えるだとか、現代の私達は諦めてしまっていることをやろうとしていた人とかの話で、あまり興味が持てなかったけど、④が1番面白かったとおっしゃっていた方もいたので、人それぞれ。

溺れる家族

溺れる家族

アロッタファジャイナ

タイニイアリス(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/27 (月)公演終了

満足度★★★★

松枝氏のセンスの良さが光っていた!
舞台を挟むようにして、入って左右に客席がある。私は前の会社の社長が左側にいたから左側に行った。多分どちらから観ても楽しめるように演出されているけれど、クライマックスだけは、主人公の役者の表情が右側の人にしか見えない様だったから、右側に座った方がいいかも?!


お芝居自体は、結構満足した。脚本の”巻き戻し”的部分とか演出とか、作・演出の松枝さんのセンスの良さが今までで一番表現されている公演ではないかと思うので、お時間がある方はぜひ!!

ネタバレBOX

母子家庭で育ち、自分たちを捨てたとされる父親を見つけた望月美和を中心に、波島家(夫婦+兄妹)、長澤兄妹、田所姉弟など合計13人がいくつかのプロットでつながっているけれど、衣装の色などが工夫されていることでわかりやすかった。

各プロットが同時進行ではないし、間に他のプロットが入ってから一度終わったシーンの続きが始まったりするんだけれど、全然こんがらがらなかったし、すぐ続きからやるのではなく、ちょっと巻き戻って一度聞いたやりとりから始まるという構成がかっこよかった。

特に波島家の妻・早苗と、長男・和則の心情がリアルだと思った。
演技の迫力を一番感じたのは長澤志保役の井川千尋さん。
霧島役のイケメンの和知龍範さんは、アイドル系かと思って調べたら、劇団を主宰されている方なんだね!彼が演じた霧島の後半の心情がよくわからなかったな。。。

衣装は、それぞれの関係性がわかりやすいような色分けがされているのに、トーンが合わせてあるからか統一感があった。全部、舞台上の机同様白いペンキがかけてあってかっこよかった。照明も長澤家に和美と村山佐織がやってくるシーンとかすごく好きだった。

演出は、今まで観たアロッタの公演の中で一番好きだった!!
前半はどんどんシーンが変わるから気にせずぐいぐい引っ張られたけれど、観終わると、美和のメインプロットが少々弱かったかなと思った。起承転結が時系列できちんと描かれていて、プロットの主人公のゴールや動機がきちんと描かれているのは美和のメインプロットだけだったから、もう少し他のプロットより目立ってもよかったかも。
長澤兄妹+波島家の長女・和美+その先輩・村山のプロットだとかは、メインプロットには直接影響しないから、設定はおもしろかったけれど、ちょっと尻切れトンボ感があったかも。波島家の長男・和則+田所利香+菊見のプロットも、前述のサブプロットよりはメインプロットに関係があるけれど、結末がメインプロットに何らかの影響を及ぼしてほしかったなと思う。

と、ストーリーは改善点があるように思うけど、”巻き戻し”的部分とか演出とか、作・演出の松枝さんのセンスの良さが今までで一番表現されている公演ではないかと思うので、お時間がある方はぜひ!!

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