
1
ガラスの動物園
滋企画
翻訳:小田島恒志 演出/音楽:額田大志(ヌトミック)
佐藤滋推しです。故に以下、バイアスがかかっています
あっ、ヌトミックも大いに好みです。以下、バイアスが 2倍になっています
素晴らしかった!笑
いや、最後近くでは泣いていた
戯曲は未読、上演を観るのは今日が初めて
Intermission前は説明的な部分ということと受け取れた。西田アマンダの切れと、夢は持っているけどいやいや滋トム、原田ローラの薄幸さを位置付ける。ここでそれぞれの俳優の技量、技が。佐藤滋は前説から佐藤滋の人柄が満載。姿が良い、手がデカい。そして、高く広い、すみだパークシアター倉に舞台美術の映えること。遠近を強調した床。その床/壁を這い、伸びて縮む陰と光
後半はそら惚れるやろ大石将弘ジムが良い。正直、彼のカウンセリングで身構えてしまうローラがほどけて行く、人と人が向き合うシーンに涙が。そう見せる演技が凄い
戯曲にそうあるのか、滋トムが霊としてそこに在るが如く居る、その気持ちにも心を動かされた
最後のシーンで蝋燭の焔を吹き消すシーンも良かった。これも戯曲にあるのだろうか
大石将弘さんと原田つむぎさんの二人のシーンでの原田つむぎさん舞台真ん中で正面を向いておられる時の表情が凄かった。最前列で見たので見れたのかも知れない
額田さんの音楽、岩城保さんの照明、これは良いのは観る前から判っていた。で、上演を見て、そうだった。闇と陰を操り、壁に影を切り取る光、息を呑む見入る観客。最前列だけど背中でそれが判った。あと蓄音機のジリジリ
ガラスの動物園を読んでみたくなった
滋企画のこの上演が『ガラスの動物園』の個人的な原器となる訳だ

2
痕、婚、
温泉ドラゴン
『痕、婚、』
痕と婚に恨を加わえ、「恨、痕、婚」ということにも出来るかと思う。韓国語だと恨はハン。誰も責められないなどと言うことでは済まされない。でもそれを変えて行くことを思い、前に進んで行くことを続けるしかない。素晴らしい上演だった。
去年10月に開いた『痕、婚、』の プレ企画 リーディング公演。『悼、灯、斉藤』の時に初めての試みとして開催した、リーディングの後に良かった点、わからなかった点を聴き手だった観客から挙げ、キャストの皆さんの意見も交えながら、創り手の原田ゆうさんと、やり取りして、改稿の参考にという試みの第2回目に参加して、発言した(と思うが)者として、戯曲を買ったので、どこに手を加え、どこをバッサリと切り取ったか確認しよう。
開演前に劇団員の方が受付に居られ、そのプレ企画のことを含め少し話をさせていただいたのだけど、えっ?友久役のあの人!と思い、終演後に確認したらやはりそうでした。まだこれで 3回目なので劇団員の方の顔、男前ばかりなので覚え切れてないので....。それにしても豪胆な 笑

3
女性映画監督第一号
劇団印象-indian elephant-
凄く良かった。そして今ザラザラとした思いが心に澱の様に残っている。題名から想像していた伝記的なことだけでは無く、他の要素も重ねて問かけて来る!出演された皆さんが素晴らしい。そうキャスティングがはまっているのだ!続きはネタバレbox にて
劇場に入ると、舞台の上部に梯子状の物が連なって吊るされている。ところどころ切れていて不完全。フィルムなのかとも思うが、この舞台美術が最後のシーンに関わって来るのだ (終演後、鈴木アツトさんに伺ってそうか!と判った訳ですが)
そしてブロックで構成された舞台でこれまでの拝見した作品と違って素舞台に近い。
最初の10分から20分ぐらいでぐいっと舞台に引き込む導入部。これも最後にそう繋がるのかと言うことになるのだけど。
細かく場面の時代が進み、行き来する。大道具、小道具も、出捌けも見せて、その姿も場面転換を認識させて良い具合だ。
物語は、アフタートークに登場された池川玲子さんが述べておられた様に、板根 田鶴子が持つことになる 2面性、題名から評伝劇で、日本で最初の女性の映画監督を描くのだと思っていたのだけど、満州で映画監督として居たことも過酷な要素として、時代に巻き込まれてしまうのは避けられないのだけど、それが最後に描かれる。彼女にその事実が残酷に付きつけられる。
でも最後のシーンは、後で教えてもらったのだけど、板根 田鶴子が虚空に手を伸ばすシーン、あれはあの舞台美術に手を伸ばしていたのだ。このシーンが、最後の展開でザラザラとした思いが心に澱の様に残らせる作品に終わらせず、未来へと繋ぐのだと言うことを思わせてくれたと思う。
9人の俳優達が素晴らしかった。細かい場面転換に合わせ、何役も演じられて、それぞれが良い。主役の万里紗さんが良い、その相手役の内田健介さんが素晴らしい、その妻役の佐乃美千子さんが、と書き始めると全員を挙げることになってしまう。皆さんが素晴らしかった。
吉祥寺シアターの舞台の奥行を使った演出も良かった。
そしてアフタートークの「『帝国』の映画監督坂根田鶴子」の著者、池川玲子さんの話から、板根 田鶴子の説明を聞く機会を戴けたことも良かった。終演後ロビーで満州のことを研究された方とお二人で話込んでおられたのを横で立ち聞きさせて貰って、そこからもそうなのだと言うことを伺えた (立ち聞きしてしまいましたと後に話に加えてもらいました)
個人的には劇団印象の作品は 5作目だけど、鈴木アツトさんのベスト。ブラボー!

4
ハハキのアミュレット
(公財)可児市文化芸術振興財団
背信はおっさんの会(5人のおっさん達が仲間に声を掛け、集まった役者達が、ジャズの如く戯曲を読み合う集まり)で 6年程前に 1場ごとの読み合わせを何度も聞かせてもらっているが、上演されるのを拝見するのは今回が初めて。その時に文庫を買っていたのを、スタジオ空洞の外で待っている間に読み直し終えた。
「間」「間」と、ハロルド ピンター氏は 1行ごとに間を放り込んでるのじゃあないかと思うぐらい間を多用しているのだけど、今日の上演を拝見して少し納得した。「間」の時間、もしかして上演時間 115分の内の 20分ぐらいは間なのではないかと思えるぐらい。
たまたま、客席に外人(日本人ではないとの意味で)の女性二人が来ておられた。日本語が理解出来るのかなと思っていたら、終演後に少し一緒に歩くことになり、どうだったか伺ったら「Great!」とのことでした。お一人は少し日本語が話せて、あらかじめ予習しておられたとのこと。伝わるものなのだなと納得。月日を遡及して行く展開、なるほど過去へ過去へと遡ることで説明的な台詞は必要ないしなと拝見しながら納得。
4人の俳優のキャスティングもそうあれかしとの皆さんで、主宰/演出の岡村尚隆さんによると年齢も戯曲に合わせて選ばれたと伺った。緊張感がヒリヒリと伝わって来る。
あのラインはスクォッシュのコートなのか!登場する料理や酒、酒、酒などにも細やかな拘りが、あの色合い達は何なのだろうか?
レストランのシーンでウェイターが「渋滞」と答える部分の拘りにも納得「Si, signore!」だ!
前置きが長くなったけど、これまで、一場でのリーディング的な台詞では伺っていたのが、上演作品で拝見して、なるほどこう言う劇なのだとおおいに納得出来た。
北澤小枝子さん、桂弘さん、今井聡さん、市川敬太さん、皆さんの演技がそれを可能にしてくれた。
海外戯曲、先に触れた外人のお二人、彼女達にも納得出来る舞台だった言わせる、しっかりとした上演作品でした。

5
人生の中のひとときの瞬間
ぱぷりか
大好物のぱぷりか、福名理穂さんの作/演出。フライヤーのイラストが可愛い。
んん? 絵の右上に飛んでいるのはなにだろう 笑
これまで拝見して来た ぱぷりかの上演作品は、青年団の福名企画の頃からキリキリした陰/闇が含まれていた。そういった上演作品を創る新しい人だったが、『柔らかく搖れる』を観て、これは岸田を獲るのではないかと思った。そして岸田戯曲賞を獲られた。そして、もう新しい人ではなくなっておられた。
これまでの様な陰/闇は直接的には含まれていない。福名さん自身が出産され、ロビーで見かけた 5ヶ月児を育てておられる。妊娠を一つのモチーフに置き、もう一つのモチーフを演劇人達に置き、その演劇と日常を切り取り、色々なつらさや晴れるだろう明日へを描いた作品だった。丁寧な、アップテンポな、台詞が、抽象的な舞台美術を使った演出で、演劇に生きる夫婦/パートナー達、仲間が活きていた。良い作品だな。

6
きみはともだち
果てとチーク
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7
暗室【京都公演 / 出演者・公演日程変更】
安住の地
現像、現像液の臭い、私自身写真を現像したことは無いがフィルムカメラの時代に生きていたので知識として知っている。この作品は写真に纒わる2つの話。戦艦の暗室と、津波にのまれた大切な写真、見付かったけどその泥に塗れた写真を洗浄する作業室。暗室の作業で体を斜めにするのは印画紙の液を切るためだろう。観客の大半はこの一連の動作の意味が最初は判らなかったと思う。所作として暗い照明の中で美しい。写真洗浄も然り。
二つの話を表す 5人の俳優は文句なく良い。戦時における写真、津波被害に遭われた方々へ差し伸べる救いの手。それぞれの話に引き込まれる。が思わぬ展開が仕組まれていて驚いた。予想だにしないことになるのだ。そしてそれも納得させられる。そのあたりを含めて良い戯曲だ。良くこの写真に纏わる、それは水に纏わることでもあるのだけど、二つの話を結び付けたものだと感心する。
あの泥に塗れた写真。亡くなったあの人の思い出を取り戻す手掛かりとなる作業。そしてその作業のお陰で思い出と出会えることを思うと涙が滲む。まあ綺麗事だけでは済まないと言うのが前述の思わぬ展開なのだけど。が困った、ぐしゅぐしゅした鼻、とにかく静かな上演なので鼻をかむタイミングがないのだ。終演後皆さんが捌けるのを待った。文句を言いたくなるのはそこだけだった。

8
再終教育(syllabus)
白昼夢
初めましての白昼夢。でも出演の浦田大地さん/緒方壮哉さん/西山真来さんは何度か/も拝見していて、鈴木拓也さん/油井文寧さんも拝見している。皆さん、いつもと違う。
これが白昼夢のスタイルなのかは判らないが、面白かった。演者の皆さんは体力を消耗、神経も擦り減らされたと思う。
音響が凄い。曲達は作曲されたのだろうか?それらも良い。そこに乗せる身体/振付けも面白く/良い。
舞台美術/大道具や小道具/仕掛け/衣装も良い/面白い。
いつもは白塗りと言うイメージなのだけど、そこはネタばれを避けてむにゃむにゃ。
物語も想像の域を大きく超えていた。様々なあれこれもそう来るか!だった。
浦田大地さんのピッチング フォーム、良かったなぁ

9
ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス
公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団
4度目の東京にこにこちゃんで『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』これまでシアター711/駅前劇場でだったので、三鷹市芸術文化センター 星のホールの広さがどうかなと思っていたけど杞憂に。最高を更新!ずらし/重なり/ぼけを連発/駆使し起こす笑いの渦に巻き込まれず、しっかりと物語を
(えっ?物語!笑)走らせる演技力が素晴らしい演者達、特にあの舞台装着に大ベテランの近藤強さんの組み合わせが最強!
東京にこにこちゃんじゃなくて日本にこにこぐじゅぐじゅちゃんだった!
最後、アフタートークの終わり、サツマカワRPGさんと萩田さんがセリで捌けてくれと念じていたけど、それはなかった 笑。(椅子の脚はセリの枠内に収まっていたので 笑)

10
われわれなりのロマンティック
いいへんじ
いいへんじは、2017年8月の『パパ』から拝見している。これまでのベストになった、丁寧に作られた作品だった。
最後に題名の『われわれなりのロマンティック』が背面に浮かび上がって来た。この言葉に納得する自分が居た。あっ、ここまでの物語がこれだと納得している自分に、うんうんと頷く感覚だった。
アフタートークで石黒麻衣さんの演出、演技を肯定する発言に、主宰/作/演出の中島梓織さんが、下手袖を振返り「ほら、良いって言ってくださっている」的にそれを演者/スタッフ(なにせ隠れているので誰がおられるかは推測ですが 笑)に手を振り、語り掛けた姿に、この作品の創作過程を垣間見る様で、納得出来るシーンだった。
ロマンティックって、もう自分で持つ感情ではない、いや、もう長いことその感覚を持つことはなかったと、観る前に思っていたのだけど、拝見しながらみんなのロマンティックをびしびし受け取り、お、そうか、まだそんな感覚を共感出来るんだと思った。
古希を過ぎた爺なので、家長制度の中に生まれ、生きて来て、性差は性差そのモノの形で区別され、茨城じゃあないけど、父母の故郷は田舎で、そういう中で育って、シス ジェンダーでヘテロ セクシャル、妻が居て、子供達も居る。環境が変わって来て、知識としてジェンダーフリーについて認識を持ち、感覚、思考としてもそう在る様になって来たと自認している。
この作品を拝見しながら、それを受け入れながら拝見した。それぞれの在り方は在って、でも何かのアクションを取る時は、その時点での発露であって、それが正しいかどうかは判らない。あとから思えば間違った行為を取っていたのかも知れない。その10年間の積み重ねはそのまま舞台に在った。それには納得するしかなく、受け入れることしかできないのだから。なので、あの物語が完璧な姿なのかと言うとそうで無いところはあるだろう。区別と差別が思い浮かび、今世界で、そして日本で台頭し、日本人ファーストと言う言葉で差別する社会が透けて見えた。
演出も、それに応える、一緒に創られた俳優達も素晴らしかった。それぞれの在り方が前提で、それに基づいて展開する構成も良かった。舞台美術も、高さと奥行が使われ演出とマッチ。ソファーと、二つの出入り口、それが並ぶことでこれからのシーンが二人の隣合う部屋なのか、相対に配置すれば部室などとガイド役を担っているのも良かった。