tetorapackが投票した舞台芸術アワード!

2010年度 1-10位と総評
真砂女

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真砂女

劇団朋友

 悩んだけど、やはり、この作品をベスト1に選んだ。それほど真砂女の一直線の生き様が痛烈に印象に残り、私が今年観た新劇の中で最高に感動した作品だったからだ。
 真砂女役の藤真利子さんの魅力あふれる熱演とともに、真砂女の実の一人娘である文学座の本山可久子さんのナレーションでの最後の一言「お母さ~ん!」の叫びは一生忘れられないだろう。

ブベニチェクとドレスデン国立歌劇場バレエ団の俊英たち

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ブベニチェクとドレスデン国立歌劇場バレエ団の俊英たち

彩の国さいたま芸術劇場

 世界最高峰のバレエ芸術を日本に居ながら堪能できて幸せだった。今でも素晴らしい舞が目に浮かんでくる。
 また、こうした秀逸な作品を招聘した彩の国さいたま芸術劇場のパブリックシアターとしての取り組みも大いに評価したい。

春琴(しゅんきん)

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春琴(しゅんきん)

世田谷パブリックシアター

 昨年の公演に続き、やはり「春琴」の魅力は凄まじかった。圧倒的な質感と静謐な中にも溢れ出る説得力は観劇後の大きな満足感となって五体に広がった。
 素晴らしいの一言に尽きる作品。脚本・演出・主演陣の技量、それらのアンサンブルが成し得る完成度の高さは比類なき芸術性として私の心に深く残った。

乱歩の恋文

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乱歩の恋文

てがみ座

 とにかく凄かった! 素敵過ぎるほど素敵だった! 何というセンスの良さ。  長田育恵さんの才能は旗揚げ公演を観て直感的に感じたが、以来、てがみ座以外に脚本提供した作品も含め、私をとりこにしてきた。
 今回は、そのオリジナリティーと人肌の温かさと日本語の情緒を丁寧に紡いでいく脚本本来の魅力で、観ていて鳥肌が立つほどだった。
 そして、演出を受けもった扇田拓也氏(ヒンドゥー五千回)をはじめ、舞台監督、舞台美術、衣装、音楽、そして、やっぱり魅せてくれた西田夏奈子さんら出演陣の熱演、その全ての協働で、これほど魅力に満ち満ちた秀作になったのだろう。

モリー先生との火曜日

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モリー先生との火曜日

加藤健一事務所

 心に沁み入った感動作。無理に作り込むこともせず、本当に自然で素敵な二人芝居だったことを今もよく覚えている。  カトケン芝居は今年も全作観たが、この作品は言葉の一つ一つがとっても生きていた。間合いも秀逸な二人の熱演はもちろん、文学座の高瀬久男氏の演出も流石だった。
 まさに「生」の舞台を観ることの醍醐味を堪能させてもらいました。

HOTEL CALL AT

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HOTEL CALL AT

メガバックスコレクション

 観客に向けたベクトルの強さを感じた舞台セットの見事さはもちろん、よく練り込まれたテキストの秀逸さ、さらには衣装も、音楽も、演出も、出演陣も、総合的な魅力に満ち溢れていた感動作。
 メガバックスコレクションはこの後に観た」「シュシュが見た最後の夢」「メリッサのゆりかご ジルの監獄」もベスト10に入れたいほどの感動作でしたが、私にとっては初見となった本作を代表として入れました。

SUNらいず

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SUNらいず

劇団光希

 「なんて素敵な芝居だったんだろう」と、ただ大感動した本作。
 もちろん細かいところでは、ちょっと気になる点もあったけど、そんなことを吹き飛ばしてしまう温かさ、明るさ、優しさに満ち溢れ、「生の演劇って最高!」と叫びたくなる思いにしてくれました。
 やっぱり私は、感動できる作品が好きなんです。だから、この作品は除外することができませんでした。

化粧 二幕

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化粧 二幕

座・高円寺

 28年間で600回超の上演を全国で重ねてきた名作「化粧」。そのファイナル公演「二幕」を観ることができて本当によかった。 感無量。この言葉しかない。
 作・井上ひさし、演出・木村光一、出演、渡辺美佐子という三拍子が揃い、劇場に足を運ぶ観客に育てられてきたこの名作の魅力が「大衆」の心意気であり、温かさであり、生命力であることが、この場に身を置くことで体感できたことは、私にとっても尊い「無形の糧」となった。

蟹

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劇団桟敷童子

 社会の底辺に埋もれる人々の五体に溢れる人間性の輝き、断じて「生きろー!」と訴えかけてくるパッション、強烈なまでに素晴らしい劇団員手作りの壮大な舞台セットと情感たっぷりの衣装、個性あふれる劇団員の演技の魅力、全員による歌の躍動感……桟敷童子ならではのこれら全ての魅力が凝縮した本作は、まさに桟敷童子の真骨頂といえる一作でした。

「外科室」

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「外科室」

芸術集団れんこんきすた

 泉鏡花の「外科室」は若い頃に読んでいるが、原作の耽美的なロマンチシズムの魅力を真摯に捉え、なおかつ「幻想」「神秘」「狂気」を引き立たせて、とても美しく仕上げた作風に感動した。
 驚くほど美しい奥村千里さんの脚色・演出、貴船夫人を演じた中川朝子さんの静かな迫力に満ちた秀逸な演技と他の出演陣の質感ある安定した演技、そして、「幻想」「神秘」「狂気」を効果的に表現した舞台セットと音楽、そのすべてが魅力的だった。
 今年は発足10周年とか。更なる飛翔に期待し、ベスト10に入れました。

総評

 2010年も約300本の観劇ができたということは、そのこと自体、幸せでした。
 しかし、ベスト10の選定作業は苦しいです。ざっと挙げただけで30本くらいになってしまうからです。
 まず、同じ劇団やシアター主催公演は1本に限りました。そのほか、いろいろ自分なりに条件を設定して選んだ10本です。
 今年もまた、できるだけ「生の舞台芸術」の素晴らしさに触れていきたいと思います。

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