
こまばサクラの園
笑の内閣
THEATRE E9 KYOTO(京都府)
2025/11/13 (木) ~ 2025/11/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/11/15 (土) 17:15
チェーホフ「桜の園」をモチーフに、現代演劇界の経済的苦境に焦点をあてる。こまばアゴラ劇場の閉館が話題になりタイムリーな芝居だった。東京でも開演すれば話題になっていた気がする。作品と関係なく儲かれば何をしてもいいのか、問題提起を感じる。
作品としては、劇場を去って行く関係者の姿が特に余韻が残った。
第2部、チェーホフ作品は悲劇か喜劇かのプロレス論争は、高間さんの思い入れを感じる。ただ、なかった方が芝居としては良かったように思う。もしくは、暗転の間の時間を長くして1部と2部を完全に切り離す工夫を感じた。

養生
ゆうめい
ロームシアター京都ノースホール(京都府)
2025/11/01 (土) ~ 2025/11/03 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/11/01 (土) 18:00
舞台美術の独創性がすごい。
深夜の職場、学生アルバイト時代と正社員採用数年後を交互にみせ、その対比が興味深い。美大生の作家へのあせり、一般学生の夢からの挫折、特に一人二役した黒澤多生さんの正社員役の傲慢さと、新入社員役のおどおど感、先輩への反発等のその役の落差が面白い。誰でもがどちらの立場にもなり得る可能性を示している。

ハハキのアミュレット
(公財)可児市文化芸術振興財団
吉祥寺シアター(東京都)
2025/10/09 (木) ~ 2025/10/15 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/10/15 (水) 14:00
過疎化した町、町おこし・伝統工芸を支える人、都会から有能な若い女性が伝統技能の習得を目指す姿、町から都会に出て悩む若者たち、それぞれの思いが交錯し物語は展開する。横山拓也氏の作品はいつも楽しみに観劇している。地元ホテル経営者(緒方晋)が町の有力者の雰囲気、娘の行動に悩む姿等のその存在感がすごい。神主(福本伸一)の笑いを誘う行動、都会の若い女性(橋爪未萠里・神戸出身)のガチガチの関西弁の迫力等が印象に残る。伝統工芸四代目(南果歩)は内に秘めた魂の叫びがもっと出ていればなお良かった気がした。

ギャンブラー
地点
京都府立文化芸術会館(京都府)
2025/08/29 (金) ~ 2025/08/30 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/08/29 (金) 19:00
ネオンが煌めき、動くテーブルがギャンブル会場を盛り上げ、ギャンブラーの登場人物がうごめく。ライブ演奏も効果をあげ、華やかな舞台空間は素晴らしい。明日になれば…予感する、賭博にかける男と女の不適な笑いが印象に残る。ただ、会話があまり耳に入らず、外国では視覚効果がよりインパクトを感じ、ストーリーの大まかな内容はパンフレットで理解できるので、より評価が高いような気がする。

りすん 2025 edition
ナビロフト
AI・HALL(兵庫県)
2025/08/02 (土) ~ 2025/08/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/08/02 (土) 18:30
現実と意識の中の世界を行き来する演出とプロジェクトを使った光の幻影、会話の繰り返しは天野天街の世界、また夕沈のダンス、嬉しさと懐かしさを感じ、また原作のシリアスな物語が上手く噛み合いいい芝居でした。

はぐらかしたり、もてなしたり
iaku
吹田市文化会館 メイシアター・中ホール(大阪府)
2025/07/12 (土) ~ 2025/07/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/07/12 (土) 14:00
最初はそれぞれのプロットがつながらずどういう展開になるのかと思っていたが物語が進むにつれそれぞれが絡んでいく。近藤フクさんの空気を読まない会話に圧倒された。夫婦の気持ちのすれ違い、そして新たな発展。若い男女の会話がいきいきしていて面白い。

骨と肉
JACROW
シアタートラム(東京都)
2025/06/19 (木) ~ 2025/06/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/06/20 (金) 14:00
大塚家具の会長(父)と社長(娘)との経営上の対立をモデルにしている。家具屋姫といわれ父に愛された娘が思いがけなく社長になり会社を改革して立て直して行こうとする。現会長(父)はカリスマ社長時代に会社を大きくしてきたが、時代の変化に対応できず売上が落ち、ある不祥事で社長を退き会長になる。社長(娘)と会長(父)が会社経営で対立し闘いがエスカレートしていく。父娘の頑固で相手の意見を聞き入れない性格が悲劇をよぶ。舞台セットのリング、三味線の音楽、これからの闘いを予感させる。テンポもよく芝居に引き込まれ楽しく観劇しました。谷仲恵輔さんはパラドックス定数「ズベズダ」の時も感じたが、いつも存在感があり印象に残る役を演じていて、今回も、意見に反対しつつも娘を思いやる気持ちが伝わってきました。 川田希さんはコリツチ舞台芸術チャンネルで永田紗茅さんと番組MCとして仲の良い二人で司会進行され、いつも楽しく見ていました。川田さんが社長(娘)・家具屋姫を熱演され、役の育ちの良さがでていて良かったです。

蒙古が襲来
パルコ・プロデュース
京都劇場(京都府)
2025/03/13 (木) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/15 (土) 18:00
かっての東京サンシャインボーイズがやってくる。当時の華々しい活躍を知っているので期待が大きかった。懐かしい俳優たち。対馬に蒙古が襲来してくるといいながらやってこず、島民は日常の生活に戻る。

『フォルモサ ! 』
Pカンパニー
吉祥寺シアター(東京都)
2025/03/13 (木) ~ 2025/03/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/14 (金) 13:30
フォルモサ、ポルトガル語で「美しい」、台湾の別称。美しい島台湾が日本の植民地になり、原住民が弾圧されていく。日本の人類学者(実在の人物がモデル)が原住民を理解し文明を記録する過程で、日本政府の討伐に反対し苦悩する姿は感動を呼び、心に深く記憶に残る。いい作品でした。
キャストとスタッフが自費で台湾にいき理解を深めた力強さが作品に伝わってきます。原住民の血をひく歌手エリ・リャオさんの歌は魂の叫びのように聞こえた。
日本が台湾の原住民にこのような事をしていた現実に驚き心が痛む。

幕末
劇団そとばこまち
箕面市立文化芸能劇場・大ホール(大阪府)
2025/02/28 (金) ~ 2025/03/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/01 (土) 18:00
男は志に、女は愛に生きる。幕末の動乱に幕府(新撰組・見廻組)と尊皇攘夷派、そして坂本龍馬が火花を散らす。そとばこまちのエンタメ時代劇楽しく観劇。志と愛に生きた沖田総司が病に倒れ志し半ばの無念が心に響く。いつも輝いていた南園みちなさんの存在が今回は薄かったのは心残り。見廻組役の新谷佳士さんの不気味さに存在感が光った。定説となった見廻組が坂本龍馬を倒す場面が最後にあってもよかった気がした。

ズベズダ
パラドックス定数
ザ・ポケット(東京都)
2025/02/20 (木) ~ 2025/03/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/27 (木) 14:00
三部作全て観劇しました。ソビエト連邦からみたロケット・宇宙開発。第一部は黎明期から成長期、第二部は絶頂期、第三部は衰退期。国家の思惑に翻弄されながらアメリカNASAに立ち向かうソ連の科学者達の純粋な魂。月の石持ち帰り計画の失敗直後アメリカの月面着陸成功を祈る心に科学者の矜持を感じる。科学者・政治家達の活気がある第二部がもっとも迫力があり面白かった。

デマゴギージャズ
MONO
ABCホール (大阪府)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
MONOは一幕ものの作品に慣れていたため、今回は同じ舞台セットで時代が令和と明治を行き来しながら展開するので、少し戸惑いながら観劇しました。小さなイタズラが後に伝説となる。都合の良い事しか受け入れない人達。今の偏ったSNS情報収集につながる。笑いの中で芝居は展開。楽しくも考えさせられる時間でした。

おどる葉牡丹
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2025/02/05 (水) ~ 2025/02/12 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/12 (水) 14:00
前半の昭和的な政治家の妻の役割・陰の力。一心同体の活動の大変さが伝わる。夫政治家の浮気が発覚しても妻の黙認が理解できてしまう。後半女性が光となるべきメッセージ。興味深く面白く観劇しました。

『リビングルームのメタモルフォーシス』
神戸文化ホール
神戸文化ホール(兵庫県)
2025/02/01 (土) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2025/02/02 (日) 14:00
岡田利規氏は音楽劇と言っている。演奏者が前方にいて、力の強い役者が後方にしている演出。役者の動きが見づらく効果を下げている。後方でいいのだが段を高くして演者の動作が見えることで演奏者と対等になる気がした。雨の音を楽器で表現している等面白い試みもあった。個人的には作品の物語性、演奏者の静と役者の動等ありうまくアンサンブルになっていないように思えた。初期の作品「三月の五日間」は単純に面白かったが最近の作品は観念的になっている気がする。

ドードーが落下する
劇団た組
近鉄アート館(大阪府)
2025/01/25 (土) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/01/25 (土) 17:00
壁の上から見つめ、上から降りて来る仲間。ベッドが左右に動く舞台。一人二役の女性の登場。全て夏目(平原テツ)の妄想か。統合失調症に悩み苦しむ夏目。見守る仲間。作者の意図が理解できる。信也(秋元龍太朗)の胸に常に名札がぶら下っている、この意味するもの…。
2022年初演が国際交流基金からユーチューブでアップされている。初演の岸田國士戯曲賞受賞作品と今回の改訂版と見比べるのも興味深い。

こんばんは、父さん
ニ兎社
兵庫県立芸術文化センター 中ホール(兵庫県)
2025/01/18 (土) ~ 2025/01/18 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/01/18 (土) 13:00
多くの人々が借金をしている状況なか、闇金融から金を借り追い立てられる初老の男そして偶然出会い同じように借金地獄から逃げる息子、また、追い立て人もノルマに苦しみ悩む姿は、闇バイトを思わせ普通の若者が犯罪に手を出す状況にもにている。もっと底辺の人達に眼をむけて社会を変える必要があるメッセージか。物語ではその先は見えてこない。

PLAY ULTRA -GrandTournament2024-
PLAYULTRA
AiiA 2.5 Theater Kobe(兵庫県)
2024/12/07 (土) ~ 2024/12/07 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/07 (土) 16:00
スクリーンに示されたお題に二人の役者がどのように想像し演じるのか、わくわくしながら観劇。優勝者大倉梓さんに決定、物語の解釈・展開に適応力・演技力を感じ、なっとくの受賞でした。来年もあるようですが、出場者メンバーに新たな魅力ある演者がどのくらい加味されるかが今後の課題だと思いました。

現代韓国演劇2作品上演「最後の面会」「少年Bが住む家」
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2024/10/04 (金) ~ 2024/10/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/10/19 (土) 14:00
「少年Bが住む家」を観劇。少年殺人事件を起こした加害者家族の苦悩と少年の闇。家族がいくら悩んでも問題は解決しない。少年本人が苦しみ悩み、そこから光が見えてくる。姉が済州島へ行くよう進めることにすべてがある。暗転が多く時間が長く感じたが余韻を残すためか。

ジャガーの眼
新宿梁山泊
赤坂サカス広場 特設紫テント(東京都)
2024/10/14 (月) ~ 2024/10/23 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/10/18 (金) 18:30
若衆公演を観劇。迫力ある中堅役者達の演劇でした。前説で金守珍氏が故寺山修司を追悼し唐十郎が書いた作品でサンダル等のエピソードを話され理解がより深まった。ジャガーの眼は寺山修司が形を変え生き続けるメッセージか?

来てけつかるべき新世界
ヨーロッパ企画
京都府立文化芸術会館(京都府)
2024/09/05 (木) ~ 2024/09/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/05 (木) 18:30
ドローン・AI等が進化した未来社会、大阪新世界の住民が新しい機械を取り込みながら取り込まれ、機械に降り回わされるおかしさが笑いを誘う。永野宗典さんのいじられキャラは相変わらず面白い。ヨーロッパ企画の代表作に納得。