
1
草創記「金鶏 一番花」
あやめ十八番
日本のテレビ黎明期を描いた連作2本のうちの1本。テレビジョンを開発した科学者と戦地に赴いた歌舞伎役者、それぞれを軸に物語が進む。事前にあらすじを読んだとき(話の軸が複数だと散漫になってしまわないか?)などと思ったがまったくの杞憂だった。複数の物語が絡み合い解けぬ糸のような運命が人々を翻弄する。その姿をさまざまな仕掛けで描き出し、惚れ惚れするほどの傑作群像劇となった。連作のもう一方である「音楽劇「金鶏 二番花」」も見事だったが、個人的な好みでこちらを挙げた。

2
再生ミセスフィクションズ3
Mrs.fictions
再演作品に未発表作を含む短編5本。笑いは多めだけど単純なハッピーエンドなんてたぶんひとつもない。なのに、観終わると幸せによく似た何かがじんわりと込み上げてくる。気の遠くなるような未来への約束やもう決して届かないあの人への思いなどが細やかに綴られて美しかった。

3
『幻書奇譚』
ロデオ★座★ヘヴン
面白かった!めちゃ面白かった!(大事なことなので2度言いました)
いやもう眠くなるどころじゃなかったし、自分はやっぱり会話劇……というか会議劇好きなんだな、と思った。キャストもそれぞれ絶妙で、駆け引きも思惑もたっぷり堪能した。
帰りについつい台本を購入。満足して帰路についた。

4
秋田は何もない
わらび座
インパクトのあるタイトルだが、実は「何もない」と自嘲しがちな故郷へのさまざまな想いを描くミュージカル。ある事情から強烈な郷土愛を抱く主人公ばっけ(蕗子)を中心に、家族や友人やそれらを取り巻く周囲まで含め、それぞれの寄って立つべき根っ子を探す物語。わかりやすい答えや解決を示すのでなく、人と人とのつながりの温かさを感じさせる誠実な作品と感じられた。

5
舞台「近松心中物語」
CCCreation
時代物の戯曲を現代風のビジュアルで演じるのがこんなに面白いなんて。現代と江戸の風俗が重なり合い、馴染みの薄い言い回しや語彙も妙にしっくりとわかりやすく感じられた。
それを成立させる手だれ揃いのキャスト陣に見惚れるとともに、多彩な場面作りや台詞の発し方にも感じられる細やかな配慮によって戯曲の面白さを見事に昇華させた演出の手腕に惚れ惚れした。

6
悠遠のNight Wedding
ムケイチョウコク
実際のホテルの結婚式場を用いて、さまざまな形の愛を描くイマーシブシアター。それぞれの事情を抱えてあるナイトウェディングに集まった人々。ルーツとして彼らを見守ったり、自ら登場人物として物語に参加したりしつつ、多面的な物語を自分だけの目線で味わう。たくさんの美しい場面を間近で観る贅沢な時間でした。

7
焼肉ドラゴン
新国立劇場
気になっていた『焼肉ドラゴン』をようやく観ることができて、本当によかった。高い評判も納得の作品だった。思うようにはいかない人生を、それでも精一杯生きる人々の息遣いが胸にしみる。カーテンコールでじわじわと立ち上がる客席の切実さも舞台上から客席やスタッフに向けて拍手を返すキャスト陣も充足感に満ちて美しかった。

8
Downstate
稲葉賀恵 一川華 ポウジュ
先に観た友人から強めにオススメいただいて急遽予定を調整しチケットを確保した。人気の舞台らしく壁際にも席を増設しての千秋楽。重い内容らしいのでじっくり拝見したいと思い、眠くなったりしないよう昼食は観劇後に摂ることにした。が、そんな心配は不要だった。満腹で観たって眠くなる余地なんかなかっただろう。繊細で緊張感に満ちた時間。それぞれの言葉、関係、記憶、思い、感情。もどかしく苛立たしくやるせなく、それでもどこか愛おしい人々。さりげないユーモアとキャスト陣の魅力。観られてよかった。

9
シホウドウセキ
日本のラジオ
抗争を続ける4組のヤクザとそれぞれ担当の刑事、警察庁のキャリア、政治家、民間人も同席する中、手打ちに向けての話し合いが始まる……。緊張感と独特のユーモア、登場人物たちの強烈な個性と魅力など、この団体らしい会話劇の醍醐味を堪能した。

10
TEXAS KILLERS FOURTEEN
大統領師匠
なるほどこれが家電ウエスタン?
壮大な荒唐無稽とベタなカッコよさ、そしてその奥に潜む人間のエゴと。たくさんの笑いやハラハラやある種のダークさがキッチリこの団体らしくて素敵だった。