15万ヘルツの告白
ロマングラス
荻窪小劇場(東京都)
2022/03/25 (金) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
観終わった刹那と言うか、観終わる前にまた観たいと感じたの初めてかも
まったく脳内の問答無用で戯曲集を買ったのも初めてかも
語彙力ひねりひねってめちゃくちゃ好きです
綺麗事が嫌いな、でも綺麗事を信じたい優しき人が書いた
確かに確かに耽美な悲劇
ちりばめたエピソードはそれぞれにドラマ/示唆的になるのだけど
終盤シンプルに綺麗に悲劇に収束する美しさがたまらんです
舞台もセットも照明も音楽も、役者さんも、台詞も動き
所作も何もかもが美しい のだけど、それだけでは無くて気取りの無い
少しの笑いや、やり取りが自然に織り交ぜられていてそこがまた好きです
台詞のところで特にグっと来たのが「~だのに」と言う言い回しの所で
あえて組み込んだような文学的な言い回しがとても心地よかったのです
役者さんは染谷桃香さん以外は皆さん初めて観させて頂きましたが
本当に本音から皆さん素敵・最適でした...ミズヨ役の飯尾朋花さん
カナエ役の伊藤真瞳さん、人魚役の光岡紗良さん、幻聴役の安岡諒さん
皆川役の樋屋梨奈さん、そしてサチ役の染谷桃香さん
まったくそれぞれの人物たちそのものとして...劇中の演出に数度出てくる
スロウモーションの見事さや、なんて言うのか分からないですが
声を揃える、揃えてささやく様がこれまた見事見事で
ミズヨとカナエのそれはとても美しく官能的でもあり
幻想的な劇を耽美なものにしていてとても引き込まれました
本当に本当に本当に大好きです
また観たいし、願わくば配信だとかでも観られたら嬉しいなぁ...
それは、レモンと白昼夢
ロマングラス
北千住BUoY(東京都)
2022/10/06 (木) ~ 2022/10/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
あれだけの人間、やった事があって
なおしかし彼女をただ抱き締めてあげたい
そう思いました
ただいま、おかえり
そんな事が渇望していたことだった
守りたいものだった
誰も彼も不足することなく
時間を使うに値する
大変素晴らしい劇を
見させて貰いました
感謝 (‐人‐)
半魚人たちの戯れ
ダダ・センプチータ
王子小劇場(東京都)
2023/04/13 (木) ~ 2023/04/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
雰囲気は好み
舞台演劇では稀な「誤魔化さずSFな要素」にも手をつけているのは好感
一方で、良く言えば幻想的、悪く言えば滅裂の度が濃い演劇作品にしては
テンポがいまひとつまどろっこしく感じて、より滑らかであればと感じました
「劇」としての重要度はさておき、セリフ上は大半を占め、執着を見せる
《音楽/活動/関係性/葛藤》、また《母親》の部分に本物を感じる要素が薄く
そこを繰り返す事で窮屈、停滞の印象も強く
出掃けの度の物語への前のめり感、好奇心がいまいっぽ溢れず
「半魚人たちの戯れ」、そういった停滞感も意図的なのかなと思いますが
少なくとも昨夜の私はもっと気持ちの良い形を求めていたのかなと思います
シーラカンスに鳴き声を
ロマングラス
レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)
2023/04/29 (土) ~ 2023/04/29 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
良いね。やっぱり好き
40分尺と短い中で心地の良い濃厚な会話劇
モノローグ、美しいテンポの表現
音楽、音響、効果的な照明、セット
物語の人として少しの違和も無く
そこに居る、振る舞う役者、演技
どれもがとても上手いと言うか
体感の質がとてもとても良くて
うんうん、俺はこれが
これが好きなんだと嬉しいお気持ち
ボタンの掛け違いしても
もっかい外して、もっかいやって
もっかい、もっかいと
そういうもんじゃない?
と言うようなそんな懸命で
純情なお話にも感じた
綺麗事では済まされない世界だけど
誠実に綺麗事を尊重して生きたい
そんな作家さんのお気持ちを感じた
勝手に感じた気がする
『音のない川』
avenir'e
新宿眼科画廊(東京都)
2023/04/30 (日) ~ 2023/05/16 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
モノローグが占める割合が大きく
ひたすらに静かな演劇
照明がとても心地よく
それを浴びる役者さん達が
手前、奥に重なり見えるところも
とても綺麗で絵面、演技が映える
半径100メートル程度に
意外で現実的な人のつながりがあって
ぽんぽんぽんと軽快につながる面白さ
そう半径100メートルが自然に見えた
江藤みなみさん演じる女2
明瞭にかわいらしい女性であり
相応しい性格、エピソードを持ち
それでなおの境遇、対応する姿勢
その描かれた方がとても良い
人が居なくなると言う威力は
それほどに凄いんだという事
それ故に、居なくなることを
消費するんじゃないよ
と言うような事を感じたりも
爆発的なものではない
しっとりとした良いものを
観させて頂きました
良い余韻
真っ直ぐ見てMAEDA
パ萬
下北沢 スターダスト(東京都)
2023/05/04 (木) ~ 2023/05/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
めちゃくちゃで笑えるんだけど
ちょっぴりちょこちょこ
小市民の心にもつんつんしていて
最後はなんだかぁ〜晴れ晴れした気持ち
楽しかった!!!激しかった!
『おもいだすまでまっていて』を観て
とても素晴らしい役者さんと感じた
江原パジャマさんと
『われらの狂気を生き延びる道を教えてください』
を観てインパクト大で気になったてっぺい右利きさん
細井じゅんさんの3人が集った《定期ユニット》との事で
訪れてみたけど、満足!
おまおまいういう
綾門優季+三橋亮太
アトリエ春風舎(東京都)
2023/05/04 (木) ~ 2023/05/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
1.『え待って?他感作用あるん知らなくて草』
いまひとつ解せないものの、なんだかふんわりと旅をしたような感覚
ふむん。絵面と空気は良いなと思いました
2.『蹂躙を蹂躙』
一人芝居。踊る。鳴る。喋る。
30〜40分止まることなく、踊り喋り叫び演じる群司さんの表現と
効果的過ぎる音楽があって、それ自体は気持ちの良いもので
ただ、どうにもこうにも話が入ってこなくて
上等なダンスパフォーマンスを観ていた感覚
話が入ってこない関係上、目を見張るパフォーマンスであっても
一人芝居でもあるので延々と繰り返しているように見えてしまった印象
ふた作品とも視覚、聴覚、ぼんやりとした感覚には美しい
心地よいものだったのだけど、言動のロジック、筋がいまひとつ解せなくて
またそして概して《セリフが速い》のだけど、聴き取り憎い場面が多く
主に物語に重きを置いている気がする自分にはうーん
とは言え、体感として小竹向原に赴いた価値は感じたのです
あたらしい朝
うさぎストライプ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/05/03 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ただただ素晴らしかったです
その日求めていた快適もそこにあり
その日の私には完璧な演劇時間でした
入り組んで混ざって遷移して
ここは?あなたは?いつ?なに?と
一見して難解になりそうなのに
包み込みような滑らかな流れ
健気でラブリーな夫婦が愛おしい
ラブリーなひとびとが流れてゆく
最初の歌唱シーンからなんか
泣きそうになっちゃったよ
なんだろこれ
多幸感に包まれて
余韻が心地良かったです
心が洗われた感じ
良い洗濯機でした
素晴らしい演劇をありがとう
「なんもできない」「チキン南蛮の夜」
くによし組
OFF OFFシアター(東京都)
2023/05/16 (火) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
【なんもできない のみ観劇】
なんだか不思議だったけど
なんだか観終わってほっこり
一夜の邂逅と出来事と
おもしろせつなめ
てっぺい右利きさんの
一挙手一投足がおもしろい
この観劇の2週間前にも
てっぺいさん居ました
いつもどこでもてっぺいさん
遍在するてっぺいさん
始発まで
ハトノス
現代座会館(東京都)
2023/05/20 (土) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
広島の被爆電車に纏わる物語
ただひたすらに真摯で質高く
丁寧に熱を持った歴史の演劇
戦争モノと言うよりも歴史の劇
素晴らしい作品でビックリ仰天
思い掛けず傑作に出会えた
これがあるからやめられない
ほとんど全て完璧に良い
作品の描く事柄、精神と並べるのもあれだけれど
人生の思い出の地でこの作品に出会えたのは
増幅される僥倖
一般のお客さんから
一部演じて読んでもらうという
試みも素晴らしい上に試みがちゃんと成立している
カンパ箱に漱石が沢山なのも納得
トンネルに咲く花
演劇集団イルカボーイズ
シアター711(東京都)
2023/05/25 (木) ~ 2023/05/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初演はDVDで観て再演は何回も観た作品
そして今回
分かりやすくまたとっつき易い内容で
演劇らしい演劇としていいもんだなぁと
またおばちゃんに会えた
おばちゃんに関して言うと
マイレボは初演スタイルがいいなぁ
とは思うところもあり|д゚)チラッ
あの絵面の破壊力が懐かしい
でもま本懐が本懐なので
そこまで弾けないのもありかしら
あとやっぱりキバの慟哭が良いね
もう少しおばちゃんと息子その辺を観たい欲望もありつつ
1時間45分と小劇場演劇ではまぁまぁ長い方の割に
スムージーに感じたなぁとか思ったんです
キューちゃんは僕を探さない
projecttiyo
元映画館(東京都)
2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ゲネプロ回を拝見
今作は個人的にかなり珍しいケースで
序盤から中盤あたりまではややピンと来なくて
悪くは無いと感じるのだけど…だったのだけども
中盤からグワングワンと面白くなった!
大抵が入りでピンと来ないと自分の心も閉鎖して
サヨウナラコースになるのに、戻ってきたよ!
話が面白く興味深く在って幻想的でありつつ
現実的な様でもあるし、ふんわりお伽話なようで
不穏な面も顔を出したりと変遷も面白いですね
極めて部分的に映画ミストを連想したりも 笑
あとねあとね塚井を演じる春日紗矢子さんの
素晴しい歌声にほわわわんですほわわわん
自然に歌が馴染んで良かったなぁ
流石に声楽科卒なんだろうかって調べましたら
流石にそうだった流石です、素晴らしい👏
登場人物の出方の按排も良いなぁ
あとあと照明凄く良いですね
ああいう照明初めて観たような
元映画館そのものを
気持ちよく使っていて
とても好印象でもありました
帰り道、にんまり笑顔
最初はうーんだったキューちゃん
終盤はとても愛おしかった
良い演劇でした👏👏👏
『大人の付き合い』/『紙風船』
avenir'e
新宿眼科画廊(東京都)
2023/06/17 (土) ~ 2023/07/04 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白かったなぁ!!前回の音のない川の時も
ほえーって思うレイアウトだったのだけど
今回もまた面白い舞台、客席のレイアウト
形式も二本立てと言うかなんと言うか
「大人の付き合い」は面白可笑しくが強くて
あぁ、あー、はい、俺ですねはい…はい…って
楽しみながらも身につまされる
カナエに畳み込まれるフミヤが
滑稽だけど染み入るリアル
なるほど
応援上演が好評なのも分かる 笑
家入健都さんはこうなんか
レアですね、ちょうどあんまり居ない感じの
男性の役者さんって、そんな感じがします
「紙風船」は賞に名を遺す
岸田國士さんの原作なんだそうで
空想旅行、面白かったな
昭和2~30年代の感じなのかな
ふた昔前の昭和中期の感じがジトジトと湿気強めに
大人の付き合いとは違って瞬間的な高まりは無いけれど
なんだかキリリとしていて観劇後の満足感とても高し
二作品とも質の高い演劇に感じ
たいへん大満足な日曜の日
avenir'e第三弾も楽しみ
幾度の群青に溺れ
キ上の空論
紀伊國屋ホール(東京都)
2023/07/05 (水) ~ 2023/07/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
極めて快適で心地の良い
ストレスフリーな観劇体験
2時間15分と演劇としては
比較的長い上演時間ながら
ひたすらに滑らかに心地よく
作演出、役者、照明、美術、音響
どれもが確かなものなんでしょう
度々挟まれる
ごく短いモノローグ的なものも
ひとつ滑らかの秘訣なのかな
あの教団、あの凶悪事件の数々
その中でもさらりとながら
比較的知名度の低い
VXガス襲撃事件を織り込むのは
扱う上での真剣を感じられ
リアリティの補強になっていて◎
他方どうしてもあの教団であり
あの一連の事件である=既知だからなのか
狂気や熱量、衝撃の天井を感じてしまう
或いは自ら作っているのか
実際の教団、事件の数々
更にはカメラの面前での暗殺事件
住民による教団施設の追放運動
機動隊による強制捜査
破壊活動防止法の是非等々
見聞きしていた世代と
そうではない若い世代だとかなり
感じ方の根底が違いそうかな
ともあれ見事な演劇でした👏
終盤の漫画家の憤懣の吐露や
唾液、口腔、なぜといった話など
細かく示唆に富ん部分も面白かった
また過去作「朱の人」の
撤収!に比するシャンパンコール
文脈はさておき体感として
やはり良いですね
授業
セツコの豪遊
Ito・M・Studio(東京都)
2023/07/15 (土) ~ 2023/07/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
白かった!企画等身大の面白さでとても満足!
不条理劇と言う事で構えてみたけれど
混沌としたダーク風味のおかしなコメディ劇として楽しく観られた!
クレイジーティーチャーミーツバスターガール&ミステリアス女中
終始、良い苦笑いなのか含み笑いなのか。ニヤニヤ 笑 だんご!
しかし最後の方の描写とフランスなのかな?と言う点と
ガールの様子からするとナチスドイツのT4計画もチラリ?
フランスでナチスだからヴィシー政権下なのかなと思ったら
原作のイヨネスコさんはかつて
在ヴィシーフランスルーマニア大使館職員だったとな
時代の暗部が根底にあるのかなと思いつつ
劇自体楽しいうえでホスピタリティも心地良くて足を運んで良かった
(実はこの心地良さ、ホスピタリティさえも計算ずくの...!)
あ、首都がってそれか!そーかそーかパリ、ヴィシー
なるほど人の感想を見て〆のアハ体験
ミステリアス女中わかまどかさんは
キャラクタに自然に寄ってて良き良きと思ったら、教授の宮村さんは
逆にゴリゴリ力技(凄い声の出し方だ×60分)で面白く
不可思議生徒の倉里晴さんはランドセルの似合い具合から始まる
危なさが段々と教授と逆転する印象になってゆきました。
カメレオンラプソディー
えのもとぐりむプロデュース
シアター711(東京都)
2023/01/11 (水) ~ 2023/01/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
観終わって、いい演劇だったなぁよりも先に『よかったなぁ』って思った。
起きる事柄、仕草、ビジュアルは激しい部分もありながら、実は起伏は控えめのお話で、でもその控えめの起伏の描かれ方が何ともいとおしい。そうだよね。うん。それでいいんだよ。そして、大切な人達が今いるじゃないか、しっかりとって。優しいお話。平易な表現に過ぎないけど、本当に。家族。仲間。いちばんの仲間。味方。
帰り道、ふらーりふらり
じーんわりしながら歩きました
あったかい余韻
昨年からえのもとぐりむさんの手掛けるお芝居を観るようになって、多分以降は全部観ているかなと思うのですが、今回の舞台セット、小道具がかなり新鮮に見えて。とても落ち着いた家屋の一室に、どこにでもあるような小物だとか諸々がある暖かみのある場所で、こんな感じにもなるのかと同時に、逆にここの為に作品があったのかと思うほどとても素晴らしい空間だったと思います。楽しく、笑えるし、悲しいし、哀しさもあるけれど、あたたかいとても良い演劇でした。配役、演技も素晴らしくいい風景、家族の模様を見させてもらいました。