ハムレットQ1
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2024/05/11 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/18 (土) 18:30
有名な「ハムレット」を吉田羊がやるというので観に行った。面白い。71分(20分休み)87分。
Q1というのは最初期のバージョンということらしく、短いらしいのだが、そもそも「標準的な」ハムレットというのもよく分からないので、比較はできない。それよりも、シェイクスピアの時代には男優だけでやっていた舞台に女優を使うというところが特徴なのかとも思う。吉田羊はすぐ気が変わるハムレットを熱演、その他の役者陣も見事に演じて、熱の入った舞台になっていた。特に何か、というのではなく、普通に楽しめる舞台だった。なお、結婚報道直後の飯豊まりえだが、オフィーリアを普通に演じつつ、狂気のオフィーリアに観るべきところがあったように思う。
物語ほどうまくはいかない物語
wag.
小劇場 楽園(東京都)
2024/05/18 (土) ~ 2024/05/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/05/18 (土) 13:00
Route 4 を観た。須貝英の作・演出作品は久々で、2019年に上演された作品を別ユニットで上演。とてもよくできた、いい話。ちょっとばかりホッコリする。(4分押し)107分。
新人賞を取ったばかりの小説家の卵・紗那(井上みなみ)の所に、失跡してた父が戻って来るが…、の物語。よくできた物語で、ちょっと展開が急過ぎる気はするけど、次々に起こる出来事には興味を引かれちゃうし、登場人物達のキャラが濃くて、見入ってしまう。終盤はちょっと切なくなるけど、それも予想の範囲で、須貝らしい話を達者な役者陣が演じて、とてもよくできた芝居になっていた。
こどもの一生
あるいはエナメルの目をもつ乙女
王子小劇場(東京都)
2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/05/17 (金) 19:00
中島らも1990年作品の世界観を王子小劇場で見事に再現した。面白い。観るべし!観るべし!!観るべし!!!115分。
1990年の初演から、いろいろな所で何回か再演されているが、元々がTOPSで上演された作品。これを王子で上演して、世界観を再現しクウォリティも高い作品にしたキャスト・スタッフがスゴイ。元々の話は笑わせておいてオドロオドロしい展開というG2っぽい流れだが、それとはちょっと違うテイストで笑わせて驚かせてくれる。役者陣が実に見事だが、ムトコウヨウの不気味さは夢に出て来そうな気がする。
略式:ハワイ
劇団スポーツ
OFF OFFシアター(東京都)
2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/16 (木) 19:00
観るのが3度目のユニット。2017年作品の再演で、一種のタイムスリップものだけど面白い。(10分押し)92分。
初演は観てない。悩み多き高校生活を送る山戸(内田倭史)の前に現われたのは10年後の自分(田島実紘)で、山戸がしようとしている決断を「後悔するから」と言ってやめさせようとするが…、の物語。時間軸を何回も戻ってやりなおしができる、という無茶な設定が巧くて、笑って観ていられるのだが、終盤の切ない展開が急でちょっと驚く。いい話、になりきれない所が勿体ない。ただし、教師が暴力で部活を強くする、って、10年前だとしても、いつの話だよ、とかは思う。
入場のハンドリングで手間取り、ダダ漏れ的に10分押し。このままでは帰りのバスに間に合わない、というのが気になってしまい舞台に集中できなかったのが悔しい。
ファンタスマゴリ3
ガラ劇
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/15 (水) 19:00
Aチーム『#ガラ版銀河鉄道の夜』を観た。ちょっと驚くダークファンタジーだが面白かった。101分。
風雷紡の吉水雪乃が出るので観に行ったのだが、タイトルから予想される寓話的な物語ではなかった。歌舞伎町の雑居ビルの屋上に集まる不良少女達の物語で、「銀河鉄道の夜」と似通った部分はないのだが、寓話的な感触は似ているかも。ちょっと心が痛くなる台詞が不穏な感じを醸し出すが、興味深く観て、ちょっとだけホッとした。期待の吉水は、あまりやらない役だと思ったが、しっかり演じ、っていうか、役者陣は皆しっかりしてた。面白い作品だと思った。
深い森のほとりで
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場
紀伊國屋ホール(東京都)
2024/05/10 (金) ~ 2024/05/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/14 (火) 19:00
日本の科学研究状況を丁寧に描いた佳作。とても面白い。60分(15分休み)59分。
あるウィルス研究室の4年ほどを描く。日本の科学研究の困難さが主たるテーマだとは思うが、さまざまな問題を取り込んだ脚本が実に巧い。展開に都合の良過ぎるところはあるが、それはドラマなのでしょうがないとして、儲かる研究、とか、女性が不利、とか、実に多くの題材をバランス良く点在させて、しかも笑いもあるというのは見事としか言いようがない。演じる役者陣も巧いが、研究者の卵役を演じた五嶋佑菜が印象に残った。
セリフフェチの私としては、「少数民族」という言葉にリアリティが少なく、架空でもいいから「○○族」と表現した方がリアリティがあるように思った。
『阿房列車』『思い出せない夢のいくつか』
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2024/05/08 (水) ~ 2024/05/15 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/05/10 (金) 19:00
『想い出せない…』を観た。静かな演劇だが、起伏はある。(3分押し)72分。
1994年に緑魔子を迎えて書き下ろした作品。「芸能人」の由子(兵藤久美)と古株マネージャーの安井(大竹直)と若い付け人の貴和子(南風盛もえ)が列車で旅する間のさまざまな会話。由子の芸能人というキャラクターのせいもあって、会話の起伏は『阿房列車』より大きいが、エンディングの美しさはまた一味ある。
『阿房列車』『思い出せない夢のいくつか』
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2024/05/08 (水) ~ 2024/05/15 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/09 (木) 19:00
『阿房列車』を観た。何も起こらない静かな演劇の典型と言おうか。(3分押し)66分。
内田百閒の紀行文をベースに、平田オリザが1991年に書き下ろし、何度か上演されていた戯曲。旅に出た夫婦が列車で出会う若い女性と、とりとももない会話を続ける。夢を見たかのようなエンディングが美しい。
ブルーアイデンティティ
X-QUEST
王子小劇場(東京都)
2024/05/03 (金) ~ 2024/05/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/07 (火) 19:00
ベテラン劇団のダンス&アクション作品。カッコイイ。73分(+フォトタイム10分程度)。
何回か同じテーマの作品を上演しているが、不老不死のベニクラゲマンと彼の能力を奪おうとする何人かの闘い、と、一応は物語があるようだけど、そういうことを気にせず、彼らのダンス&アクションを楽しむ芝居だと思う。カーテンコールで主宰のトクナガも話していたように、嫌なことを忘れて楽しめばよい作品だと思う。同劇団を初めて観たのが2003年なので20年以上も経っているのだが、劇団員も同じだけ歳を取っているわけで、それでも動くのが非常にカッコイイ。久々に男優のみの作品だが、私が女優の出ない芝居を観るのも久しぶり(-_-;)。
パレードを待ちながら
劇団未来
こまばアゴラ劇場(東京都)
2024/05/03 (金) ~ 2024/05/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/05/04 (土) 18:00
関西の初見の劇団で、戯曲も有名だが観るのは初めて。73分(6分休み)54分。
第2次大戦下のカナダを舞台に、いわゆる「銃後の妻」たち5人の物語。5人の個性も巧く描き分ける戯曲も見事だし、演じる女優陣も巧いが、ちょっと古い印象がある。1962年創設の関西の劇団が、60年ぶり2度目の東京公演と言うことだそうだが、ファンが多いらしくて、いつものアゴラとはちょっと違った雰囲気がある。
フィクショナル香港IBM
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2024/05/01 (水) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/05/04 (土) 13:00
あまりにも面白かったので、2度目の観劇。ストーリーを知っていても面白いし、エンディングの感動もまた…。121分。
繰り返しを多用しつつ、少しずつ違う展開から、最後のまとめで泣く。2度目でも泣く。2つのマグカップにこそ泣く。作・演出の笠浦の頭もスゴイが、タイミング重視の演技を全うする役者陣も見事。
デカローグ1~4
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/04/13 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/02 (木) 18:30
B(2・4)を観た。Aと同じく淡々と人生を描くが、ちょっとだけ激しい場面がある。50分(20分休み)56分。
2「ある選択に関する物語」は重病の夫を持つ妻と、内科医の会話をベースにするが、ある種の奇跡が起こり…、の物語。極めて淡々とした物語だが、前田亜季がそう見えなかったことに驚いた。益岡徹の渋さがとてもよい。
4「ある父と娘に関する物語」は、父と娘の物語。今まで観た4話の中でも、ちょっとした事件が起こるのだが、それでも終わり方は落ち着いたものになる。娘役の夏子は何回か観てるはずだが、その中でも鮮烈なイメージ。
原作が映像作品だったのだと思うと、極めて納得できる。どうして舞台化することを決めたんだろう。
フィクショナル香港IBM
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2024/05/01 (水) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/05/01 (水) 19:00
頭オカシイとしか思えない(褒めています)傑作。観るべし!観るべし!!観るべし!!!120分。
何を書いてもネタバレになるのだが、「IBMが作ったフィクショナルな香港の話」くらいなら書いてもいいかな、の感じ。とにかくスゴイ。見事。繰り返しや断片的なシーンの連絡が最後にまとまると泣く。
STAR GAZER
High-Card RERISE
王子小劇場(東京都)
2024/04/24 (水) ~ 2024/04/29 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/04/28 (日) 17:00
Aを観た。独特の世界観を持つ西洋風チャンバラ芝居だが、見応えはあった。161分。
「大崩海」により4つの海に分かれた世界で、「平和を求めて戦う」人々の物語。申し訳ないのだが、世界観に入り込めず充分に楽しめたとは言えないのだが、王子で殺陣を見事に見せるというのはなかなか凄いと思う。王子では珍しく指定席で最後列(5列目)だったのだが、客席の傾斜が緩く、座り芝居・寝芝居が全く見えないというのが問題。しかも場面転換がほぼ全て暗転なので、寝たシーンから起き上がってセリフを言うとか、もう無理、な感じが残念。150分と予告して161分という長さもどうなのかなとは思うが…。
前髪(あなたに全て捧げるけど前髪だけは触るな)
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2024/04/24 (水) ~ 2024/04/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/28 (日) 13:00
櫻井らしい、毒のある「いい芝居」だった。(2分押し)121分。
海里(みさと・若月海里)・みのり(徳橋みのり)はヤクザの櫻井(櫻井智也)の車に追突するが、警察をよばないでほしいと言い出し…、から意外な展開の物語へと向かう。いつも通りの毒ある物語だが、ちょっといいハナシ的な部分もあり、MCRっぽい作品とは思う。いつもよりインパクトは少ないけれど、堀靖明の頑張りと軸になる女性2人の佇まいや細かい演技は見応えがあった。
どうでもいいことだが、徳橋が真新しいアディダスを履いていたのが印象に残る。
カラカラ天気と五人の紳士
シス・カンパニー
シアタートラム(東京都)
2024/04/06 (土) ~ 2024/04/26 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/04/25 (木) 18:00
楽前に2度目の観劇。やはり訳が分からないけど、不思議な面白さ。72分。
大分こなれてきていて役者に「遊び」が出てきているように思った。小手伸也が役割をよりしっかりと演じているように感じる。
夜会行
動物自殺倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2024/04/24 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/04/24 (水) 19:00
鵺的で2021年の9月に上演された作品を、別名義の団体で、演出・役者を変えて上演。初演も観てるが、また違った感触が面白い。観るべし!観るべし!!観るべし!!!82分。
4人のレズビアンと1人のクエスチョニングの緻密な会話劇。どの人物にも同意できる部分と同意できない部分がある会話は、何でもないものから徐々にヒリヒリする展開へと移る。初演に比べると、間を大事にした演出になっているように思うし、飛び道具的に使ったモノは効いてる。初演もいい芝居だと思ったが、再演は少し違った意味でとてもいい芝居。「レズビアン」というのは分かりやすいマイノリティの象徴で、全ての人にとっての意味があるのではないかと思う。
朝日に願え 春公演
朝劇三軒茶屋1年ロングラン公演
三軒茶屋orbit(東京都)
2024/04/17 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/24 (水) 11:30
続いて、オールシーズンチームを観た。驚いた。役者が変わることで、こんなにも芝居が変わる!57分。
物語のスタートや展開は同じだが、冒頭から雰囲気が違う。決断から逃げた愛理(春 やまうちせりな/オ 守谷菜々江)を追って他の3人が来るのだが、春では冒頭でも攻撃的だった香織(増田有華)がオールでは浩司(世良佑樹)に変わったことで攻撃的には入らなくなった。恐らく男女の違いによるものだと思うが、それに合わせて春では唯一の男性だった島崎(佐瀬弘幸)のテイストが大きく変わった。これを演じ分ける佐瀬が見事。夏では島崎を堤千穂が演じ、4人全て女性となるので、これも観に行かなくては…、と、役者の違い、男女の違いで大きくテイストが変わる芝居を楽しんだ。
朝日に願え 春公演
朝劇三軒茶屋1年ロングラン公演
三軒茶屋orbit(東京都)
2024/04/17 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/24 (水)
9時開演の春チームを観た。巧妙な会話劇だが、朝から観る話じゃないってとこも…笑。いい芝居です。(5分押し)55分。
突然、始まる。4人の登場人物がほどなく揃い、「せっぱ詰まった」感にあふれた会話を始めるのだが、4人の関係が(説明がないのに)徐々に分かる展開は見事。扱われているのはシリアスな話題で、時に深刻にもなるが、4人の立ち位置の違いや、年齢や経験の差から来る思いの違いが現われ、最後は余韻を残して終わる。よくできた芝居だし、ちっちゃいカフェでの公演なので臨場感がある。場所を活かした演出も巧い。
演劇を考察してみよう!
無限のネコ定理
王子小劇場(東京都)
2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/18 (木) 18:00
初見のユニット。演劇を続けることの苦しさと楽しさ、ということか。(前説3分)75分(16分休み)74分。
とある学生上がりの男4人と女1人の劇団。辞めるという劇団員が出るが、…の物語。いくつかの「演劇は○○に勝てない」というタイトルで章立てするのだが、演劇を続けることへの若い世代の感触を綴っていると思う。苦しさもあるが、楽しさもある、という感じかと。劇団が演劇の芝居をすると自己肯定的になるという傾向があるのだが、ややそれは見られるものの嫌な感じではない。ただし長い。思いの丈をひたすら綴ったということだろうか。桐朋の卒業生の劇団だそうだが、登場人物全てが若い。「メタ演劇」という評もあったが、メタとは思わない。