
昭和から騒ぎ
シス・カンパニー
世田谷パブリックシアター(東京都)
2025/05/25 (日) ~ 2025/06/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/31 (土) 17:00
シェイクスピアの喜劇を三谷幸喜が翻案して、達者な役者陣での上演。とても面白い。107分。
『から騒ぎ』を戦後すぐの鎌倉に置き換えて翻案しての上演。そもそもの戯曲を観たことがないので、どう変わっているのかは分からないのだが、とにかく笑った。オープニングからテンポの良いセリフの応酬で、とんでもない物語が展開される。軸は、びわこ(宮沢りえ)と木偶太郎(大泉洋),ひろこ(松本穂香)と定九郎(竜崎涼)の恋の成就だが、脇を固める4人もさまざまな活躍をする。宮沢りえの美しさに息を呑むが、舞台は3作目(だと思う)松本穂香の活躍は凄い。

穴熊の戯言は金色の鉄錆
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/28 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/28 (水) 19:00
ハマってしまって3度目の観劇。少し冷静に観たけど、やっぱりスゴイ。(4分押し)100分。
脳腫瘍で入院中の小野(小野ゆたか)は既に認知に問題が出ていて、主治医の見た目を間違えるほど。そこから高校時代に戻って、妻のゆかり(帯金ゆかり)との馴れ初めからのあれこれでのドタバタ。大笑いさせておいて、最終盤での種明かしでドン底に突き落とす展開で驚く。巧妙なセリフで、矛盾なく展開される見事な脚本と、役者陣の巧みな演技で、切なさを感じさせてくれるエンディングへと向かう。いいものを見せてもらった。

穴熊の戯言は金色の鉄錆
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/28 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/26 (月) 19:00
あまりにもいい芝居だったので2度目の観劇。とても切ない切ない切ないラブストーリーなのに笑えてもしまう。(9分押し)100分。
2ステージ目を観てビックリして改めて2度目に観たが、結末を知って観ると、大笑いしたオープニングなどが、とても悲しい物語に見えて、ちょっと泣けてきてしまった。笑わせておいて後で泣かせるというのは櫻井の得意技でもあるのだが、見事な脚本。そして役者陣が丁寧に全力を尽くして演じて、笑って泣ける芝居が見事に立ち上がっている。終盤の「手を握ってもいいですか」で不覚にも泣いてしまった。看護師役の小川夏鈴の存在感を改めて感じた他、コンビニ店員の大石や、旧友の荒波や山川など、無駄な役がないなぁとも思う。櫻井のセリフの選択の見事さは半端ない。

煙が目にしみる(脚本・演出|堤泰之)
ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/23 (金) 19:00
GRチームを観劇。堤泰之の代表作だそうだが実は初見。とても見事な脚本を、しっかりした役者陣が演じて、素晴らしい舞台だった。(2分押し)92分。
堤が1997年に鈴置プロデュースに書き下ろした戯曲で、その後も多くの劇団が何度も上演した作品だが、堤自身による演出は初めてらしい。私も初めて観る作品だが、とにかく脚本の巧さが見事。初めの2シーンで登場人物の個性が分かるし、無駄なエピソードがなく、どの話題も巧みに光る。と同時に、役者陣の配役もピッタリで、しかも確実な演技を見せ、本当に面白い作品に仕上がっていた。最終盤はベタな展開とも言えるが、ベタにはベタなりの、いや、ベタならではの良さがあるということも示して、見事な作品だった。

穴熊の戯言は金色の鉄錆
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/28 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/22 (木) 19:00
お気に入り劇団の新作は、笑って切ないラブストーリー、…かな?(2分押し)102分。
かなり変わったカップル(小野ゆたか・帯金ゆかり)のストーリーだが、ただただ笑っていたら終盤でとんでもない所に連れていかれる。最終盤も、そう来るか、という展開だが、エンディングの美しさが光る。役者陣が皆しっかりと演じているのだが、帯金の逞しさが目立つ。堀は前半はいつもほどの勢いではないな、と思っていると、後半は見事に展開する。久々に見る中川の佇まいが素晴らしく、「いい声」も相変わらずなのが嬉しい。
客はそれなりに入っているものの満席と言うには程遠い。勿体ない。時間がある人は是非観て欲しい。

エーデ国記
Project Öde
萬劇場(東京都)
2025/05/07 (水) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/08 (木) 19:00
『#明星のアリア』を観劇。世界観芝居を得意とする2劇団コラボだが、壮大な設定には圧倒される。(5分押し)109分。
独特の世界観に基いた芝居を得意とする荒井ミサ(演劇企画ヱウレーカ)と平安咲貴(route.©️)が同じ設定で2作品を書いて交互上演する企画で、エーデと呼ばれる国で人間とアンフィビオなる架空の生命体の関わりを描く。設定も壮大だが物語の展開も巧妙で多くの登場人物の描き分けもできている。役者陣も丁寧な演技だが、殺陣シーンの迫力が今一つの場面があったのは惜しい。顔馴染みの女優も数多く出演だが、推しの岡本麻妃呂は本作でもヴィジュアルどストライクだった。

あるアルル
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/01 (木) 19:00
お気に入り劇団の新作は奇妙で独特の味。125分。
「あるある」を語れ、というシーンから始まり、数々の「あるある」を扱いつつ、不思議な展開の物語。いろいろな登場人物が抱える問題を明らかにするが、軸になるのは6年前に妻を亡くした「あるある仙人」。いつも通りの「アタマおかしい」(誉めています)笠浦だが、役者陣も役割を熱演して、独特の感触を残す。劇団員の加藤はアンカー、常連のさんなぎが飛び道具的ポジションだが、ベテランの川田希が渋い。

逆光が聞こえる
かるがも団地
新宿シアタートップス(東京都)
2025/04/24 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/04/27 (日) 17:00
お気に入り劇団の新作。少しテイストが変わって、さまざまな形でのハラスメントを扱う。面白い。(3分押し、2分ほどの前説込み)121分。
若手劇作家・演出家の不破は、高校時代の同級生・仙田と出会うが、仙田をいじめていたことを思いだし…、から始まる物語。さまざまなハラスメントが出てきて、良い意味なのだけれど、「後味」が悪い。劇団員・宮野が前説を語りつつ芝居に入る展開はいつもの通りだが、前半はテンポよく展開される物語は徐々にリアルになり、痛々しいシーンもあったりして、終わり方も納得できるというエンディングではないということで、「後味が悪い」。あえてその後味の悪さを追求したあたりが、ちょっとテイストが違うということ。とても楽しませてもらった気がする。
本劇団は『意味なしサチコ、三度目の朝』を観て以来、7作連続で星5つを付けているのだが、星5つは1/10の私としては稀な劇団。本作品は同作品とちょっとテイストが似てる気がする。次回作が『意味なし…』の再演と言うのは非常に興味深い。
手慣れた役者陣が多い中で、百瀬葉という逸材を発見。このあたりが、「女優系」の醍醐味だな。

鎌塚氏、震えあがる
森崎事務所M&Oplays
世田谷パブリックシアター(東京都)
2025/03/30 (日) ~ 2025/04/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/15 (火) 18:00
2011年に始まったシリーズも3年ぶり7作目。お馴染みの笑いと、ちょっとのコワサで楽しむ。(3分押し)136分。
完璧なる執事を目指す鎌塚氏シリーズで、全作品を観ているけどオカルトが入ったところは珍しいか。アカシ(三宅弘城)・ケシキ(ともさかりえ)・スエキチ(玉置孝匡)の常連3人は相変わらずのペースで、ゲストでもベテランのカグラ(天海祐希)・ナオツグ(藤井隆)・ユラコ(池谷のぶえ)の活躍ぶりは予想通りだが、若手のアガサ(羽瀬川なぎ)がデリケートな役をしっかり演じて見事だった。シリーズ前作を観ていなくても楽しめる舞台。

大事故物件
同じ釜のムジナ
新宿眼科画廊(東京都)
2025/04/11 (金) ~ 2025/04/15 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/15 (火) 16:00
2年ぶり2度目の公演のユニット。作・演出の烏丸棗の巧妙さが楽しい。(3分押し)53分。
死体が発見された工事中の店舗に集まる、刑事・鑑識・オーナー・不動産業者・借主・工事者ほかが展開する、一種バカバカしい物語だが、途中からオカルト風味になり、面白くもちょっとコワク終わる。久々に観る烏丸の作品だが、手慣れた役者陣を集めて楽しく作ってる感じが良い。作・演出だけでなく、簡単なものだが、音響と照明を一人でやる烏丸が見事。

「ブカブカ〜分不相応な豊かさに気づくまでの46億年か46年、あるいは約60分〜」
tea for two
アトリエ第Q藝術(東京都)
2025/04/04 (金) ~ 2025/04/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/05 (土) 18:00
20年以上の長い付き合いの劇団だが、唯一観ていなかった作品の再演。ストレートな寓話。(事情により6分押し)63分。
2人芝居を得意とする同劇団のソロ企画シリーズだが、主宰・作・演出の大根健一により2014年に初演された作品の再演。とある山に囲まれた町の物語だが、展開が唐突だったりして「寓話」だと気づく。大根による、無茶な話に説得力を持たせる語り口が印象的で、テーマはハッキリ伝わる。パーカッションによる「伴奏」も効果的。
上階でダンスの公演が行なわれていて音が響くので、ちょっと時間をずらそうとして6分ほど待って開演した。前説で「噛みますので」と宣言するあたりは…(^_^;)。

右往左往
猿博打
OFF OFFシアター(東京都)
2025/03/20 (木) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/23 (日) 17:00
お気に入り劇団が、「かわいいコンビニ店員飯田さん」の池内風の脚本で演じる、半分社会派の物語。とても面白い。(前説を兼ねての放送4分を含み)96分。
とある大学の演劇部の部室で展開される、ダメダメ部員と社会運動女子とダメダメ演劇部OBによる、社会運動のメッセージが届かないので演劇部にヒントをもらいに来るが…、の物語。演劇部あるあるな展開に笑わされるのだけれど、「パヨク」と「ネトウヨ」のあたりから単に笑っていられない感じもあって、穏やかに終わるけれど問題提起はしてるんだろうなと思う。村上弦のメガネ女子はヴィジュアルも大ヒットだが、メッセージの伝わり方を何段階にも演じる見事さも感じた。

ここは住むとこではありません
TEAM FLY FLAT
雑遊(東京都)
2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/23 (日) 13:00
つついきえ・大石ヨウコ2人のユニットの旗揚げ。日本のラジオの屋代秀樹が書いたドタバタとオカルトの物語。(4分押し)99分。
冒頭、つついきえ演じる「スフィンクス神田」なる霊媒師が登場し語り始める、とある幽霊の出るマンションの物語…、なんだけど、癖のあるマトモじゃない人々が次々と登場し、次々に起こるアレコレ。そこそこ演劇歴の長い役者陣が、楽しんで演じてる感じが面白く、マトモな人が出てきたかなと思うとトンデモなかったり、と、展開も楽しい。

やなぎにツバメは
シス・カンパニー
紀伊國屋ホール(東京都)
2025/03/07 (金) ~ 2025/03/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/22 (土) 17:00
2度目の観劇。やはりよくできている。切ないエンタメ。(3分押し)98分。
2度目だが、役者陣のコンビネーションが素晴らしい。アラ古稀の4人と若い2人が、抜群のタイミングでセリフを交わす。丁寧な演出と充分な稽古が想像できる。良質の芝居。

もびいる
らなうぇい
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2025/03/22 (土) 13:00
2回目の公演だそうだが初見。兄弟として暮らす他人の7人と、物語を書く男と…。何が言いたいのか、何故男は物語を書くのか。133分。

ハッピーケーキ・イン・ザ・スカイ
あまい洋々
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/03/13 (木) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2025/03/14 (金) 19:00
初見のユニット。一種の「社会派」で、悪くはないけど何だか付いて行けなかった。(客入れで?5分押し)111分。
高1の時に行方不明になり、8年後に高校の使われていない倉庫で白骨死体で発見された千波の元同級生達と周辺の人々と、その死の謎を解き明かそうとするライターのあれこれ。実際にありそうな事件を回想を交えて展開するのだが、題材や物語は嫌いじゃないけど、台詞の選択が私にフィットしなかったり、ちょっとありえない展開も一部あって、ちょっと何だかなぁ、の気持になってしまった。役者陣は力があり、シッカリ演じていたし、美術や照明も含めて、丁寧に作られてはいると思うが…。

Lovely wife
劇団青年座
本多劇場(東京都)
2025/03/06 (木) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/13 (木) 18:30
根本宗子が初の青年座。同劇団としては冒険と思えるチャレンジが劇団の底力を見せる。(5分押し)110分。
編集者の秋江(高畑淳子)は夫で作家の晋太郎(岩松了)が、文学賞の発表パーティをきっかけに過去を回想する、…の物語なんだけど、そう簡単に言えない、興味深い作品。ちょっと奇矯な人々が登場し、回想と現在を交錯させる作りも含め、ねもしゅーらしい作品になっている。その奇矯な人々を淡々と演じるあたりは青年座の底力。岩松初め客演の役者陣もシッカリ演じているし、舞台美術もねもしゅーらしさを見せて秀逸。

やなぎにツバメは
シス・カンパニー
紀伊國屋ホール(東京都)
2025/03/07 (金) ~ 2025/03/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/09 (日) 13:00
横山拓也が初のシス・カンパニー。達者な役者陣を得て、笑いの後味に切なさを残す巧みな舞台。(3分押し)103分。
とある元カラオケスナックのママが亡くなり、葬儀の後に集まるママの娘・美栄子(大竹しのぶ)と常連たち洋輝(段田安則)・佑美(木野花)と、美栄子の娘・花恋(松岡茉優)と洋輝の息子・修斗(林謙都)、そして美栄子の元夫・賢吾(浅野和之)。そこで起こる数々のエピソードと、過去の回想は、思わぬ方向に向かって…、という物語。笑いの多い舞台だが、横山らしく最後はどうしようもなく切ないエンディングに向かう。アラ古稀の4人も勿論見事だが、それに伍して若手の2人の活躍も目覚ましい。特に松岡のキャラが印象に残る。それにしても巧い話だ。

女歌舞伎「新雪之丞変化」
Project Nyx
ザ・スズナリ(東京都)
2025/03/04 (火) ~ 2025/03/13 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/04 (火) 19:00
有名な「新雪之丞変化」を再演だが、グレードアップしてる感じもあって見応えアリ。118分。
2020年に「女歌舞伎」を謳って初演した作品の再演で、初演も観ている。物語はある意味で古典的なものだが、初演と同じくBUCK-TICKの音楽を使って現代的な感触も持たせる。アングラテイストもあるし、歌舞伎っぽいケレンもあるが、何と言っても舞台美術の見事さに驚く。初演でも思ったが寺田結美がカッコいい。そして、こういった舞台を作る努力を20年近くやっている水嶋カンナがスゴイと思う。

Nevaeh Land
劇団フェリーちゃん
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/02/27 (木) ~ 2025/03/02 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2025/03/01 (土) 19:30
王子で何度か観た、独特の世界観を持つ芝居を上演するユニット。久々の公演の本作も独自の世界観で展開するが、以前の作品とは微妙に違ってて、個人的には完全に置いていかれてしまった(-_-;)。
開演3分前から役者陣が登場し、緩やかに前説を5分ほど語り、開演時間を3分ほど過ぎた頃から本格的に芝居に入る。その後。108分。