jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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岬のマヨイガ

岬のマヨイガ

特定非営利活動法人 いわてアートサポートセンター

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2021/03/17 (水) ~ 2021/03/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/03/20 (土) 13:00

東日本大震災を題材に、岩手の民話も含めたファンタジー的作品。面白いし見事。
 柏葉幸子による同名の児童小説をベースにして、serial number の詩森ろばが上演台本・演出を担当した作品だが、小説は読んでいない。「マヨイガ」とは「迷い家」のこと。
 物語は、震災の直後にある事情から「家族」として一緒に住むことになった山名キワ(竹下景子)・結(栗田桃子)・ひより(井上向日葵)と、彼女らを迎える村の人々、そして、なぜかキワが会話できる座敷童や河童などが展開する物語。ファンタジーで、歌や踊りなども入れエンターテインメントとしても素晴らしい作品だった。影絵を使ったプロジェクトマッピング、素速い転換でダイナミックに変化する舞台美術、生演奏と効果音を舞台上手脇で演奏し続ける鈴木光介も含め、総合的な舞台ができ上がっていた。メンタルな理由で口がきけない9歳の設定ながら、ストーリーテラーとしてほぼ出突っ張りの井上が見事。

おおかみますく

おおかみますく

ひみつまたたき

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2021/03/18 (木) ~ 2021/03/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/03/19 (金) 19:00

初見のユニットだが、主宰の「さんなぎ」は、やみ・あがりシアターほかで何度か観ている。面白かった(^_^)v。
 開演すると、姉が「遭難した」弟を探してほしいと探偵に頼みに来るシーン。しばらくして、それが作家の物語の一部だと、黒い服の女(さんなぎ)と作家の会話で分かるが、徐々に現実と物語は交錯し、……、な話。途中から、かなり哲学的なテーマも含んできたりして、興味深く観ていられる60分ほどの小品だった。

俺たちはどう生きるか

俺たちはどう生きるか

人間の条件

王子小劇場(東京都)

2021/03/13 (土) ~ 2021/03/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2021/03/13 (土) 14:00

何をめざしているのか、よく分からん芝居だった。熱は分かるが…。
 劇団を舞台にした芝居は、しばしば自己弁護的になりがちだが、そうなっていないのは良かった。しかし、主人公であるケンの葛藤を描くのか、メンタルに傷んだマヒロの苦悩を描くのか、はたまた劇団のメインである2人を描くのか、明確になっていない部分が惜しい。つかこうへいの蒲田行進曲を一つの武器にして痛みを想起させるのは悪くはないが、あまり必然性は感じない。「青い影」(プロコル・ハルム)に意味を持たせようとしているのが何故か?
 場面転換時をはじめとする、いくつかの演出に疑問を感じる。

熱海殺人事件

熱海殺人事件

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/03/10 (水) ~ 2021/03/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/03/12 (金) 19:00

つかこうへいの代表作の一つを、青年団系列の劇団・役者陣が演じる。実は本戯曲をじっくり観るのは初めてで、つか作品は今まで私にはあんまりヒットしなかったのだが、本作は面白かった。見事なキャスティングだと思う。

ほんとうのハウンド警部

ほんとうのハウンド警部

シス・カンパニー

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2021/03/05 (金) ~ 2021/03/31 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/03/06 (土) 14:00

不条理コメディとでも言おうか。不思議な芝居だった。面白い。
 開演すると舞台奥が観客席になっていて、そこに若手の演劇評論家であるムーン(生田斗馬)が、そしてベテラン評論家のバードブート(吉原光夫)がやってきて、程なくステージ上で芝居が始まる。それは、かなりチープな芝居だが、休憩に入ると、芝居と現実の区別がなくなって…、という展開。劇中劇がいかにも「お芝居」という風に演じられるのだが、それに巻き込まれる2人という作りは面白い。それにもまして、劇中劇が相当笑わせるものなのだが、客席の「準備」が足りないのか、笑いがあんまり起きないのが勿体ない。池谷さんなんか、セリフを言っていないときの方が面白い演技をしている。
 不思議な感触の芝居だが、エンディングも不思議な終わり方をして面白い。
 原題は "The Real Inspecter Hound" だが、この "Real"の翻訳に「ほんとうの」としたのはどうだろうか

テンダーシング-ロミオとジュリエットより-

テンダーシング-ロミオとジュリエットより-

幻都

東演パラータ(東京都)

2021/02/24 (水) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2021/02/26 (金) 18:00

土居裕子と大森博史による2人芝居。いいモノを観せてもらった。観るべし!
 『ロミオとジュリエット』のセリフを解体・再構成して別のラブ・ストーリーを作り上げるというベン・パワーの作品を、松岡和子により改変・調整し、若手演出家の荒井遼の演出で日本での初演。熟年の夫婦、「ロミオ」と「ジュリエット」の日常やら回想やらを、原作のセリフで構成する80分。ロミジュリのセリフを全て覚えているわけではないが、おそらく変えていないんだろうな、と思わせる古い言い回しが、改めて「夫婦の愛情」を際立たせる。若い観客も少なくないが、ロミジュリを何回か観たことがある方が楽しめる気がする。「A Tender Thing」というタイトルもいい。印象的なダンスシーンが挟まれるが、あえて巧く踊り過ぎないという演出が、そして役者がいい。大森の生ギター伴奏による土居の歌という「プレゼント」もある。エンディングのダンスシーンは本当に美しい。
 アフタートークで、大森がまず名乗りを上げ、後から土居が入ったと知る。昨年9月に上演する予定がコロナで延びたそうだが、そのことで「熟成」されたような気がした。
 2004年の『タン・ビエットの唄』で凄い女優だと思った土居だが、アフタートークの風情がとにかく可愛くて、惚れ直してしまった(^_^;)。

マシーン日記【2月3日~6日13:30の公演中止】

マシーン日記【2月3日~6日13:30の公演中止】

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2021/02/03 (水) ~ 2021/02/27 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/02/19 (金) 13:30

松尾スズキ96年の作品だが、大根仁の演出、そしてカメレオン女優として知られる森川葵の2度目の舞台作品ということで観に行った。面白い、という表現が適切か分からないが、面白い。1996年に片桐はいりにアテ書きした作品で、松尾自身が2001年に再演、2013年に片桐の演じた役を峯村リエに変えて三演したが、私は三演を観ているし、他の団体でもしばしば上演され、それも一部観ている。
 弟のミチオ(横山裕)と一緒に電気工場を経営するアキトシ(大倉孝二)だが、ミチオがサチコ(森川)を強姦したことから、ミチオをプレハブ小屋に鎖で繋ぎ、自身はサチコと結婚する。そんな中、サチコの元担任のケイコ(秋山菜津子)がパート工員として働くことになり…、という展開。みんな常識の枠から外れているが、その人々が狂気を発動させつつ、いわゆるマウントを取り合う展開が面白い。95分(休憩20分)55分の計170分だが、長く感じさせない展開は巧い。

堕ち潮

堕ち潮

TRASHMASTERS

座・高円寺1(東京都)

2021/02/04 (木) ~ 2021/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2021/02/04 (木) 17:00

主宰で作・演出の中津留が、自身の「家族」を題材にした骨太の劇作をしている。観るべし!
 大分の旧家である西島家・岡本家は祖父母の代が兄妹で、その息子・娘の家族、その子ども、と3世代が同居する。その岡本家の3室が座・高円寺の舞台いっぱいに作り込まれたセットが、まず目をひく。そこで展開される総勢15人(17役)の群像劇で、最初は細かいエピソードの展開で始まるが、岡本家の10歳の優人が、小学校で南京大虐殺の授業を受けたことから物語が大きく動く。以前何かのアフタートークで、中津留の祖父が南京で従軍していたことを小学校の授業で紹介された、という話を聞いていたので、これは中津留の家族の物語なのだということが分かり、興味を持って観ていた。
 80年代初頭、その2年後、の1幕(50分/45分)、休憩15分を挟んで、さらに10年後、またそのさらに10年後を描く(50分/40分)、壮大なドラマである。休憩込み3時間20分が長く感じない(体は確かにキツイが…)。設定は一応は実在の家族を模しているように思われるものの、出来事のどこまで実話ベースなのかはさすがに分からないが、いかにも地方の都市でありそうな現実と理想の対立やら何やらが描かれる。何かを訴える、というのではなく、自身の家族を舞台に壮大な物語を展開されることに腐心したように思われる。
 特には、岡本家の事実上の当主である祖母世代の千恵子を演じた、みやなおこ、の存在感と、その嫁で姑に使われる佳那子を演じた川崎初夏の演技が興味深いが、何と言っても注目したのは、2012年以来の出演となった劇団員の、ひわだこういち、である。ひわだは以前の作品では劇中のキモとなるセリフを語る重要な役割を演じることが多かったのだが、8年半ぶりの出演でも数々の重要なセリフで見事な存在感を示してくれた。古いファンとしては、うれしい限りだ。

眠れない夜なんてない

眠れない夜なんてない

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2021/01/15 (金) ~ 2021/02/01 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/01/30 (土) 13:00

2008年初演を書き換えての再演だが、初演は観てない。面白い。
 マレーシアの日本人定住リゾートを舞台に、日本にこだわる人・日本に帰らないと決めてる人などの葛藤を描く。時期を昭和の終わりに設定し、天皇崩御直前の「自粛」を新たに書き加えたとのことだが、今の時期にはフィットしているように思う。丁寧な会話劇だが、どのように終わらせるのかと思っていたら、終盤の山内健司・猪股俊明等の存在感が締めた。

モンテンルパ

モンテンルパ

トム・プロジェクト

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2021/01/23 (土) ~ 2021/01/30 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/01/29 (金)

温泉ドラゴンのシライケイタがトム・プロジェクトに書き下ろした新作で、実話ベースの作品だが、私は知らなかった物語で面白い。観るべし!
 戦前から終戦後に活躍した渡辺はま子(島田歌穂)が1999年の大晦日に横浜の公園で少女と話しているシーンから始まり、人生を回想して最も印象に残ったこととして語るモンテンルパへの関わり、という話を始める。モンテンルパとは、フィリピンのマニラ近郊の都市で、戦後、日本人の戦犯が100名以上入れられた刑務所があるという。教悔師としてモンテンルパにいた多賀尾(大和田獏)が戦犯に寄り添う。そこでの戦犯の生活や冤罪疑惑を聞いた渡辺が、減刑や帰還に向けて努力する。この2人を軸にして、さまざまな人々の努力と苦難を一定程度史実に基いて展開されるのだが、シライは物語に普遍性を持たせることも忘れていないあたりが見事だ。淡々と事実を積み上げる形の芝居だが、終盤の展開は見事でエンディングは美しい。後でいろいろと調べて分かったことがいろいろあり、興味深い作品だと思った。

シェアの法則

シェアの法則

劇団青年座

ザ・ポケット(東京都)

2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2021/01/28 (木) 18:00

シェアハウスを舞台にした「いい話」だった。観るべし!
 劇団「日穏」の主宰である岩瀬晶子が青年座に書き下ろした新作。日穏は私のお気に入り劇団の一つだが、岩瀬の書く脚本は緻密で無駄がない良さがあると思っている。本作もその特徴が発揮されている。
 とある町にあるシェアハウス「トゥルペンハウス」は、大家のキヨコ(登場しない)の意向で周辺の同業よりかなり安い家賃で、ワケアリ系の入居者が多い感じ。今日も朝から住人たちが細かい「あるある」事件を起こすが、実はそのキヨコが骨折し入院し、夫の秀夫が乗り込んで来たため、会計士の秀夫(山本龍二)は儲けにならないシェアハウスを儲かる状況にするために家賃の値上げを言い出す…、というような展開。序盤で細かいエピソードを提示し、家賃の値上げという事件を通して、さまざまな展開を経て、伏線を回収してエンディング、という岩瀬の脚本がまず良い。加えて、青年座のような伝統のある劇団の特徴として幅広い年齢の役者が出演できるという利点も活きて山本・岩井富子らのベテランから高校生役まで、役に見合った役者が生き生きと演じる様子は観ていて安心できる。
 おそらく観ている観客のほとんどが、こうなってほしい、と思うエンディングにほぼなるというあたり、ベタと言えばベタである。だが、ベタであることで安心できる舞台というものもあるということを改めて確認できる芝居もあるのだと思う。ベタにはベタなりの良さがあるのである。また、カーテンコールでの岩井の喜びようを観ていて、演じる側も嬉しい舞台がある、という当たり前のことにも気づかされたのも収穫だった。

ザ・空気 ver. 3

ザ・空気 ver. 3

ニ兎社

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/01/08 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/01/22 (金) 19:00

マスコミの自粛の状況を扱うシリーズの第3弾で最終作。面白い!
 第1弾は放送局、第2弾は新聞社を舞台にしていたが、第3弾は放送局に戻った。元新聞記者で現在はフリーの政治評論家の横松(佐藤B作)は、記者時代には政権に批判的な発言をしていたが、今は政権ベッタリの発言で知られている。ある報道番組のチーフプロデューサー(神野三鈴)が担当を外れるという日に、ゲストの1人である横松が37.4度の熱を出したことから、とある部屋に通されるところから芝居は始まる。独特の意味を持つ部屋で待つ内に横松は異変をきたし…、という展開は、いつもながらの永井流である。
 学術会議任命問題など最新の事象を扱いつつ、こんなことはあるのか、的なエピソードを含むものの、どう終わらせるのか、という興味を持って100分を過ごすことができた。2人のベテランの存在感がスゴイことは言うまでもないが、他の3人の若手も役割をしっかり演じて、楽しめる舞台を作っていたが、笑っていると、その笑っていることが恐ろしくなるというような舞台だった。

東京原子核クラブ

東京原子核クラブ

アイオーン / ぴあ / オフィス・マキノ

本多劇場(東京都)

2021/01/10 (日) ~ 2021/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/01/11 (月) 18:00

マキノノゾミの代表作だが、実は観るのは初めての作品。優れた丁寧な戯曲を、しっかりした役者陣がしっかり演じてて、気持ちよく帰れる作品だった。
 朝永新一郎(劇中は友田)が理化学研究所の仁科芳雄(劇中は西田)の研究室に入る昭和7年から、戦争を経た21年までの、友田が住んだ下宿「平和館」での出来事を描く群像劇。中心は友田だが、それぞれの役にそれなりの物語があり、丁寧に描かれているのが観ていて楽しい。第1幕ではバカらしい出来事ばかり描いているが、時折出てくる戦争の色が、第2幕では軸となるというあたり、マキノの筆が冴える。役者陣は若い人が多いが、それぞれしっかりしたものを持ってて、しっかり演じているのも好感。古くから観ている小須田のアンカー的ポジションや、宝塚出身の霧野の華やかさなど、観るべきところはいっぱいある気がする。

シャーロック・ホームズ ~特別なあのひと~

シャーロック・ホームズ ~特別なあのひと~

株式会社MAパブリッシング/株式会社東京音協 

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/01/05 (火) ~ 2021/01/11 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/01/10 (日) 20:00

シャーロック・ホームズの小説をベースに作られた朗読劇。ミステリ・ファンとして面白く感じる舞台だった。
 ホームズとワトソンの出会いから、有名な3つの短篇を、ある意味で原作に忠実に朗読劇に潤色し、日替わりのキャストでの上演。他の日は、主に声優のキャストが多いようだが、この日は貴城けい・岡田浩暉といった演劇でのビッグネームが並ぶ。動きはあまりないが、セリフに表情があり、楽しく観せてもらった。

『コントロールオフィサー』+『百メートル』二本立て公演

『コントロールオフィサー』+『百メートル』二本立て公演

青年団

アトリエ春風舎(東京都)

2020/12/31 (木) ~ 2021/01/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/01/04 (月) 19:30

スポーツに関する30分弱の短篇を2作上演するが、2作とも短篇という特徴を活かした巧妙な作品で、面白かった。
 『コントロールオフィサー』は旧作。水泳選手の競技会の後の、ドーピング検査場での会話。4人の選手同士の関係が徐々に分かる会話の積み上げも巧みだが、それぞれに付く4人のドーピング検査員(コントロールオフィサー)という「異質」な存在がいることで生じる微妙な感触の違いが特に面白く、客席からの苦笑が絶えなかった(時に爆笑)。さすが平田オリザだと思った。
 『百メートル』は陸上競技の控室での扱った新作。こちらも、4人の競技者と2人のコーチの関係などが徐々に明らかになる展開が巧みだが、1人だけ場を認識していない存在がいて、その人の気づかなさ具合が面白い。
 両作とも、スポーツ選手がそのような会話をするのか、という疑問はあるが、いや、するかもしれない、という微妙な線を巧く作り上げている。新年最初の観劇として、いいものを観せてもらった。観て損はない。30分弱-休憩10分-30分弱。

老いは煙の森を駆ける

老いは煙の森を駆ける

女の子には内緒

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/12/28 (月) ~ 2021/01/06 (水)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/12/28 (月) 18:00

初見のユニットだが、本作後にユニット名を変えると言う。抽象的な作品だった。
 謎の力を持った生き物・ケモノ(高山玲子)に息子を殺された漁師(洪雄大)が追い続ける40年に、地球の自転に動かされているナキアミ(渡邊まな実)が絡み、3人の独白で展開される。感触の芝居だが私のテイストではないなぁ。

世別レ心中

世別レ心中

ハコボレ

王子小劇場(東京都)

2020/12/26 (土) ~ 2020/12/27 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/12/27 (日) 14:00

初見のユニットで、関西を中心に活動しているらしいが、見応えはあった。
 落語を一席やった後で、関連する一人芝居をするというスタイルらしい。演目は「鰍沢」だが、前半の落語は安定した上演で一定のレベルを保つ。後半の演劇は、鰍沢の物語をノケモノの観点から描いたものだが創作として面白味があり、一人語りで演じる演じ方は、落語と言うより講談の手法に近いと感じた。いくらか中途半端な印象が残る。

今はやることじゃない

今はやることじゃない

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2020/12/24 (木) ~ 2020/12/30 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/12/26 (土) 19:30

箱庭2年ぶりの公演は劇団員だけの公演だが、箱庭らしい巧妙な会話劇だった。
 とあるラーメン屋を舞台に、店主(林和義)・その娘(白瀬未生)・常連客(鈴木ハルニ)・卸商の社員(依乃王里)・地上不動産会社の社員(嶋村亜華里)らが、店の興亡に関していろいろと話す。微妙なタイミングで時間軸が動いたり、ダブル・ミーニング的な話法は古川らしい作りで、劇団員も充分に理解して演じていると思った。タイトルが意外に活きていなかったのが残念。

23階の笑い

23階の笑い

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2020/12/05 (土) ~ 2020/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/12/25 (金) 18:30

千秋楽の2日前に2度目の観劇。2日目に観た時より、こなれている印象だった。
 笑いも多く、役者陣が笑いのツボを探ってきたような感じだが、赤狩りを笑い飛ばしてきたコメディアン(大将:マックス・プリンス/小手伸也)や作家達を襲う悲哀を知っているだけに、笑ってばかりもいられない、という気もする。役者陣の巧さが光るが、松岡茉優の存在を改めて重く感じる。女性という観点で評価しないで、という主張するシーンなどは特にいい。

「女がつらいよ」「パンダが降る日」

「女がつらいよ」「パンダが降る日」

MCR

OFF OFFシアター(東京都)

2020/12/02 (水) ~ 2020/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/12/13 (日) 18:00

『パンダが降る日』を観た。2017年に初演された作品を改作しての再演だが、初演は観てない。ただただシンプルに面白かった。
 劇団の主宰のトモが恋人を振り切って稽古に行くと、遅れて来たヒロから、外はカナブンがいっぱい飛んでると言われる。稽古と言うのでもなくグダグダして、外と連絡を取ると、魚が空から降って来たり、奇妙なパンダが人間を喰っていると言われ、そのうちに外と連絡が取れなくなる…、という物語。奇妙な話だが、妙な説得力がある一方で、グダグダ話が妙にリアルで笑いながら観ていて、やや切ないエンディングを迎える。MCRらしいと言えば、そんな作品だが、何かが残るというわけではない、感触系の芝居だった。今の時代には合ってるような気がした。

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