La Barbe Bleue-青髭-
TremendousCircus
シアターシャイン(東京都)
2018/10/31 (水) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★
私はレイプされた、私は虐待された、私は親に捨てられた、私は愛する者を奪われた、私はこの残酷な世界で傷つき虐げられもがき苦しんでいる。この苦しみを、心の痛みを無かったことにするな。私はここで叫び続ける。
劇団Tremendous Circus が芝居を通して訴えることを短く言い表せば、こういうことになるだろうか?
キワモノで怪奇趣味、闇に追いやられたものたちが世界へ報復するためのグロテスクなカーニバル。それが劇団の芸風で、歌とダンスもある。今回は公演時期がハロウィンと重なっていて、悪魔や亡霊たちが百鬼夜行する闇の祝祭ハロウィンにぴったりの芝居だった。
悪魔もかつては天使だった。闇に生きる者はどうして闇に堕ちたのか? この芝居ではシャルル・ペローの血生臭い童話を下敷きにして、殺人鬼『青髭』を主役に立て、その城に招かれたヒロインがその心の闇に迫っていく。彼はなぜ何人もの女を殺さなければならなかったのか? 次々と開かれる秘密の扉、暴かれる過去、よみがえる亡霊、繰り返される惨劇。どうして殺人鬼はこの世に生まれたの? あなたは殺人鬼を愛せますか?
これは怖い話。観ていて怖くなるけど、登場人物たちは闇に咲く妖花のように美しく艶やかで、また闇の中で出会いたくなる。
サロメ
TremendousCircus
シアターシャイン(東京都)
2018/02/10 (土) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/02/11 (日) 14:00
これは愛に飢え渇き、光を望みながらも闇を選ぶしかなかった者たちの物語。見せたいもの、訴えたいこと、叫びたい思い、それは確かにこの芝居にはある。ただ残念なのは、芝居にかける情熱はあるのに、それが芝居を見せるテクニックとしてうまく実っていないことだ。単に芝居として見れば、派手なポーズと大声のセリフで頑張っている姿ばかりが目について、全体的に大味な仕上がりになっている。絶望の闇の深さを知らしめるならむしろ闇の中で彫像のように動かず沈黙すべき時もあるのだが、そういう芝居の見せ方の深みには欠けている。
ただしファッションのセンスは良く、衣装で見せるカーニバル的な楽しさは有り余るほど。凝りまくったコスチュームを見に行くだけでも劇場に足を運ぶ価値はあるし、私は十分に楽しんだ。劇団名が示すようにサーカスのような華やかな雰囲気があるのだから、もっと音楽性を高めて劇中歌のシーンを入れるなどしても良かったと思う。