満足度★★★★
私はレイプされた、私は虐待された、私は親に捨てられた、私は愛する者を奪われた、私はこの残酷な世界で傷つき虐げられもがき苦しんでいる。この苦しみを、心の痛みを無かったことにするな。私はここで叫び続ける。
劇団Tremendous Circus が芝居を通して訴えることを短く言い表せば、こういうことになるだろうか?
キワモノで怪奇趣味、闇に追いやられたものたちが世界へ報復するためのグロテスクなカーニバル。それが劇団の芸風で、歌とダンスもある。今回は公演時期がハロウィンと重なっていて、悪魔や亡霊たちが百鬼夜行する闇の祝祭ハロウィンにぴったりの芝居だった。
悪魔もかつては天使だった。闇に生きる者はどうして闇に堕ちたのか? この芝居ではシャルル・ペローの血生臭い童話を下敷きにして、殺人鬼『青髭』を主役に立て、その城に招かれたヒロインがその心の闇に迫っていく。彼はなぜ何人もの女を殺さなければならなかったのか? 次々と開かれる秘密の扉、暴かれる過去、よみがえる亡霊、繰り返される惨劇。どうして殺人鬼はこの世に生まれたの? あなたは殺人鬼を愛せますか?
これは怖い話。観ていて怖くなるけど、登場人物たちは闇に咲く妖花のように美しく艶やかで、また闇の中で出会いたくなる。