コナンの観てきた!クチコミ一覧

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誤解

誤解

アルシェ提携公演

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2017/01/23 (月) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★

よくコメディーではそれぞれの誤解からお笑いの連鎖が展開されますが、本作では悲劇の連鎖が展開。
丁寧に翻訳されているので母・娘・長男とその嫁・召使、全員の性格や思惑の違いが理解しやすく、それぞれの思いの方向がズレまくっているのがよく分かります。
どれか一つの組み合わせでも、うまく合致していれば止められていたかもしれない悲劇はズレを修復できないまま悪い方へと転がっていく・・・。
登場人物の中で、ひと際強い意志を持ち一貫性のある行動をとる娘マルタ。
モンスターの様なキャラクターだが、彼女の「明るく自由な国」をひたすら渇望する気持ちには共感できる部分もあり何ともやり切れない。

ネタバレBOX

マルタが焦がれる明るい国からやって来たマリアは、登場時キラキラ感で溢れていたのに、ラストではマルタの毒牙に飲み込まれボロボロに変わり果てた表情になってしまったのが印象的。
カミサマの恋

カミサマの恋

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/01/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

お見事としか言いようがない人間賛歌。
神に救いを求めにやって来る人達の様子を傍観するのは不思議な気分でしたが、いろんな人生を垣間見る事ができて、とても面白いと思いました。
「神様」の概念については人それぞれだと思いますが、私には神様と人間の正しい関わり方のひとつを今回のカミサマを通じて見せてもらえた気がします。
そして観終わった後、カミサマから幸せを分けてもらった様で何とも爽快な気持になりました。

ネタバレBOX

近所の人に悩みを聞かれてしまっても全く気にしないオープンな付き合いは現代ではとても珍しい光景。
近所のおばあちゃんが、他人の息子の良縁を一緒になって神前でお祈りしている姿は微笑ましくも笑ってしまいます。

お告げの8割くらいはカミサマ本人の人間力から発せられてられている様に映りました。
カミサマであるためには、やはり一家団欒を持てない身でなければならないのかと孤高の哀しみを感じます。
ですが、ほんのひと時でも本物の恋が確実に存在し、それがカミサマとして生きる道へと繋がり、ずっと恋人から見守られていたのならば救われた気持ちになります。
今、此処より、明るい夜をこえて

今、此処より、明るい夜をこえて

演劇企画ハッピー圏外

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★

新兵器で世間を脅かすテロリスト追跡の顛末を描いたサスペンスエンターテイメント。
昨年公演「かえってきた不死身のお兄さん」に続いて2作目の観劇になりますが、前作と同じ劇団とは思えないくらいに振り幅の大きな作品でした。
どちらの方がいいとは一概に言えませんが、相当スケールアップの世界観。
元々は10年前の作品で今回3度目の公演となり、今現在から見た近未来に合わせて全書き直しされたとの事。
わかりやすくスピーディーな展開に加えて、様々な人物が雪だるま式に増えていきますが見事に捌かれており安心して楽しめました。
中盤からも新たに登場人物が増えて「まだニューキャラ出てくるかっ!」と笑えてきます。
犯人像に近づいていく緊迫した演技に時おり緩んだシーン(ここに前作の面影あり)を織り交ぜ、ラストの急展開においては全登場人物が入り乱れてもう必死で観ておりました。
キャラメルボックスが好きな方にはタイプの作品なのではないかと思います。

僕たちは、世界を変えることはできない

僕たちは、世界を変えることはできない

夕暮れ社 弱男ユニット

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2017/01/14 (土) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

予想を上回る面白さにびっくり。
戦場で戦争絵画(どうやら油絵!)を描きたい欲望を行動にうつす美術女子、モヨコ。
彼女を守るべく戦地に向かう気のいい青年、後藤。
ツッコミどころ満載のカップルですが、この役柄のイメージを役者さんがガッツリ掴んで物語の説得力はかなりUP。
他の役者さんもあの手、この手で好演。
もともと作・演出家が10年前、大学の卒業制作として執筆し、受賞までされていたのに今まで上演されていなかった作品だそうです。
大事に温めていただけあって、大学生が思い描く戦争・大人・責任・恋愛像そして非力の嘆きはそっくりそのままに、時を重ね洗練されプロフェッショナルな形で表現されており、温存していたかいがあったというものでしょう。
学生時代の戯曲としては、めちゃくちゃレベルが高く、含有された若者特有の青臭さ、あざとさがこの作品の大きな魅力のひとつだと思います。
「戦場」をどうやって表現するのかが見どころのひとつでしたが巧みな美術、そして爆音が大迫力の音響等、演劇的手法を駆使して「リアルな戦争」というより「学生のイメージするリアルな戦争」を具現化していた印象です。
ただそこには「おもちゃのナイフなんだけど人を刺せちゃった」みたいな気味悪さが存在します。
観終わった後、学生時代の作者さんの脳内旅行を満喫してきたーッという気分になりました。

今回の公演で大劇場は前の数列をステージでつぶして、ヘタな小劇場よりず~っと好環境で観やすいつくりになっています。
なので空席が本当に本当にもったいない!と思いました。

ビートバン・ゴー!ゴー!

ビートバン・ゴー!ゴー!

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

上野ストアハウス(東京都)

2017/01/11 (水) ~ 2017/01/17 (火)公演終了

満足度★★★★★

全く異なる3つのオムニバス。
金子みすずじゃないけど「みんなちがって、みんないい」
オムニバスで全てが遜色なく面白いのは意外になかなか無い。
作品ごとにセットは素早く入れ替えられ、役者さんの使い回しは一切なく、何とも贅沢に楽しめました。
全ての役者さん各自に、最も得意とするキャラクターが与えられている様子で、生きたキャラクター陣は観ていて心地いいものです。
絶妙なシチュエーションの鉱脈を探し当てているのが3作品の共通点。

ネタバレBOX

第1話 市民プールの事務室
Hな記録手帳の存在が若者の性欲をざわめかせる。
プール監視員のコスチュームが妙に生きる。
淫靡な雰囲気にちょっと気まずいけど、すごく面白い。

第2話 パチンコ店の駐輪場
欠落感ある人達の、いかがわしさ漂う出会いの数々。
ちょっと不幸、でも何だかおバカで平和な空間。

第3話 産婦人科病棟の一室
相部屋ゆえの感動と滑稽の混沌。
昔何かのイベントで加藤鷹がゲストで来ていて、完全なカリスマ的存在として君臨していた妙な空気感を思い出します。
ぬるい体はかたくなる

ぬるい体はかたくなる

深夜ガタンゴトン

王子小劇場(東京都)

2017/01/05 (木) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★

作・演出の方が昔、霊安室でアルバイトをしていた経験を生かした作品だそう。
不謹慎ながら死体を扱うアルバイトは結構時給が高いと聞いた事がありますが、実に淡々としたもので待機がほとんど。
どうやら高収入ではなさそうです。
そこで働く30歳目前の一見悩みなど無さそうなアルバイターの、まだ何者にもなれていない焦燥感。
その焦燥感が仕事を通じて関わる人々や、グズグズ付き合っている彼女とのやり取りを通じて実にリアルに伝わってきました。
彼女を突き放したり、他人を恨んでみたり、肉欲に走ったり、ど~しよーもないなーという感じですが、なぜか憎めないナイスキャラ。
窮地に追い込まれている程ではないが、このままではいられない!でも面倒臭いのはちょっと・・・。
ガッツリ共感できてしまう若者は結構多いのでは。
さりげなく力作だと思います。

幸福のとき

幸福のとき

立花座

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/01/06 (金) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★

盲目の少女を筆頭に子役が大活躍。
中年工員チャオは職人気質の武骨な男をイメージしていたが、とっつきやすそうでお人好しな兄ちゃん。
圧倒的に近所のおっちゃん、おばちゃん、兄ちゃん、姉ちゃんな感じの役者っぽくない役者さんばかりで何ともアットホーム、気を張らなくてもいい雰囲気です。
ひょんな経緯から生まれた、少女を思いやるほんのささやかな「幸せのとき」。
中国の貧困層が舞台でも生命力と優しさに溢れています。
少女を取り巻く家族関係やラストにおいて中国の戯曲らしさが滲み出ており、一概にハートウォーミングな話とは括れない、先々の厳しい哀しみも感じたのでした。

たたかうおとな

たたかうおとな

演劇企画アクタージュ

荻窪小劇場(東京都)

2017/01/06 (金) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★

2組の夫婦が繰り広げる、大人の会話(バトル)劇。
リビングルームの真っ赤な壁紙が、戦いの火蓋が切られるのを暗示するかの様。
やっぱり子供の喧嘩は事情をよく理解しないうちに親が出てきてもロクな事がない。
最初のうちは加害者側の親の態度がふてぶてしいなーと思って観ていたが最終的にはもう誰の味方にもなれねーっ。
織田裕二の「あぁ~醜いっ、醜いっ!」のフレーズが頭をよぎります。

ただ外国の戯曲なので日本人の持つ特性と異なる所が幾つもあり、日本の役者さんが演じ切るには結構ハードルが高い感じを受けました。
観に行く前はかなりヘビーな気持で帰る事を覚悟して向かいましたが、内容的に険悪ながらも陰湿では無いのと、終演後の素になった役者さんの顔を見たのと、受付や主宰さんの人柄等で足取り軽~く帰ってきたのでした。

世界に1人だけの草なぎ

世界に1人だけの草なぎ

宇宙論☆講座

ラ・グロット(東京都)

2016/12/27 (火) ~ 2016/12/30 (金)公演終了

満足度★★★★

巧さと稚拙さ、真剣と悪ふざけ、上がったかと思うとドスンと落とす。
相反するものがゴテゴテに混在し、もはや良いのか悪いのか、面白いのか面白く無いのかすら分からなくなってくる・・・いや面白かったのですけどね。
何をどう感想とすれば正解なのかは解らないが、凡庸でない事は確か。

ネタバレBOX

多分「わが星」の様なリズミカルな公演も可能なんだと思う。
でも美しく仕上げた作品を創る気はサラサラ無い様である。
演劇は「嘘」で出来ているという理論をどこまでも発展させ、隅々まで嘘が張り巡らされている。
それはドジで愚鈍を装い観客をあざ笑わせておいて、引っかかったーと舌を出す屈折さを持ちながらも、今回お金ができたから観劇料金も1円以上でOKだしワインも買ってきたからどうぞー。と観客にとことん自由さを与える優しさも持っている(様に思える。何しろどこまで本当か分からない)
決して要領がいいとは思えないが、その独自性はハンパない。
そして独自性の真意は謎だらけである。
結果、あまり自身を追い込まないで欲しいと心配になってきたりもするが、それすら計算ずくなのかなー。
もし劇団内に知り合いがいたら、それこそ聞いてみたい事がいっぱいである。
痴女を待つ

痴女を待つ

スマッシュルームズ

シアター711(東京都)

2016/12/21 (水) ~ 2016/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

見事なまでのゲスっぷり!清々しさすら感じます。
理想の童貞喪失を痴女に託しながら現実女性にも恋する青年。
不安を感じながらもヤリチンと同棲を続ける薄幸女性。
等々、それぞれの人間描写力は底意地が悪いほど的確で、全ての行動・関係性はまるで定められた運命を辿る様。
クリスマスどきになんですけど「何だか今の恋愛、間違っているかも」という方には特に観に行って頂きたい。
底辺な恋愛模様を客観的に眺めると、案外主観では見えなかった事が見えてくるかも。
男性・女性どちらの観点からも対応していますよ

ネタバレBOX

神様のアドバイスがあり、これがまた達観して良いこと言ってます。
神の御加護があらんことを・・・
モグラ…月夜跡隠し伝…

モグラ…月夜跡隠し伝…

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2016/12/15 (木) ~ 2016/12/27 (火)公演終了

満足度★★★★

同劇団に何回も通う身としては、強力な客演の存在は良い刺激になって大歓迎です。 
松田賢二氏が6年前の公演「蟹」で観た時よりも、随分と箔が付き一回り大きく見えて驚きました。

せみのさなぎ

せみのさなぎ

早稲田大学演劇研究会

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2016/12/15 (木) ~ 2016/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★

満員御礼
数ある学生演劇の中でも頭いくつか分抜きん出ている事がうかがい知れる集団。 
実直な作品づくりの姿勢が好印象。 
内容的には被害者少女と加害者青年の13年間に渡る生活(2人の心理的やりとり)について、もう少し具体的に描かれていれば、後に向かう結末に対して細かい部分を気にせずに説得力を感じられたのかなーと思います。 
今後の公演も楽しみです。

天使の決断

天使の決断

ザレ×ゴト

劇場MOMO(東京都)

2016/12/16 (金) ~ 2016/12/19 (月)公演終了

満足度★★★★

発想の自由さが心地良い
ルックス偏差値高っ!・・・まず目に入ってくる事なので。 
ファンタジーのフィルターを通すことで、ちょっとメルヘンで不思議な社会が、細かい疑問を感じる事なく機能しています。 
劇団代表さんの説明ではギリギリファンタジー作品(こんな世界がギリギリあるんじゃないか?的な作品)だそうです。 
本来は若い人向けなのかもしれませんが、かなりしっかりと作り込まれているので、大人でも充分に楽しめる作品になっていました。 
そして、あらすじ通り 地上へと落ちていく天使の決断に、がっつり心を揺さぶられてしまうのでした。

執事達は沈黙

執事達は沈黙

劇団ピンクメロンパン

シアター風姿花伝(東京都)

2016/12/14 (水) ~ 2016/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★

海外ミステリー風ブラックユーモア添え
出だしから西洋のいわくありげな雰囲気をまとった イイ感じの舞台。 
ただ中盤において少しピントがぼやけてしまい序盤と終盤が面白かった。というちょっと変わった感想となりました。 
女性らしい気品と聡明さが特徴的。 
ハムレットを彷彿させる遊び心もとても良い。

ネタバレBOX

最初の姦しい観光シーンから本編への転換が見事で、女性だらけの執事達がこれからどんな物語を繰り広げてくれるのか期待感が高まります。 
翻訳モノコメディーさながらの展開、7人の執事達の人となりが分かっていく中、障害を感じたのは、そのキャラクターの味付けでしょうか。 
リーダー格の執事さん以外は、もっと日本人好みの家政婦さん的な親近感と湿り気のある人物像の方が、より強く引き付けられた様に思いました。 
とは言え、それぞれに特徴的で覚えやすい配慮を感じます。
キャラクターの波に乗れてしまえば、それこそ一気に楽しみまくれてしまう作品だと思います。 
ラストにおいては「あー なるほどっ、ここに向かっていたんだ!」と色んな事が腑に落ちる、なかなかのラストシーンでした。 
何だかとても良い空気感をもった劇団さんなので、これからも頑張って欲しいと願っております。
雪女ー密室の行軍ー

雪女ー密室の行軍ー

鬼の居ぬ間に

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2016/12/14 (水) ~ 2016/12/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

身じろぎもできない・・・
「え~っ雪女がでてくんの?こわ~い。でもフフッちょっと観てみようかなっ」なんていう人はとんでもない事になると思う。 
自分は今まで、これほどまでに追い込まれた人間の本性を赤裸々に描いた作品を観たことが無い。 
「死」そのものより、死を覚悟出来ずに正気を失ってしまう人の弱さこそがまさに恐怖である。 
終演後しばらくは「すごい、・・すごい」という言葉が、ただただ頭の中をグルグル駆け巡っていた。 
あの現場の様な状況ではさすがに正気を保つ自信など無いし、まず小屋まで辿り着くのすら無理だろうが、自分なりに倫理や道徳とか言う以前のもっと原始的なところの「死」について見つめ直す機会となりました。 

私は演者をやった事がないので分からないのだが、役者さんは公演後、感情を引きずったりしないのだろうか。 
打ち上げ等で切り替えて最後まで乗り切ってほしい。 
とは言え私は観客サイド。初日よりさらに演技の深みを増していくであろう明日以降の公演を観劇する人達がうらやましかったりする。

ネタバレBOX

唯一の生存者の記憶から描かれるため、最初は何かモヤモヤしており、何だか薄気味悪いのだが、そのハッキリしない気味悪さはは生存者自身の気持ちそのものであろう。 
徐々にクリアになっていく、仲間達の身と心を蝕んでいった魔のとき。 
そして鍵をにぎる、ある「モノ」 
薄々そうじゃないかとイヤな予感がしてきたが、やっぱりかーっ!
人が獣に成り下がる時、それでも正当性とか語ってしまう姿が悲しい。
裏の泪と表の雨

裏の泪と表の雨

BuzzFestTheater

ウッディシアター中目黒(東京都)

2016/12/08 (木) ~ 2016/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

生き生きとした人物像
体臭や安物の香水が臭ってきそうな程、人物がリアル。 
実際、舞台であるお好み焼き屋はお好み焼きの匂いが漂い、場末感も含めて完璧だし飲食や喫煙は全て本物。 
細部にわたってリアルを追求していた様に思えます。 
そして人物。方言効果もあり人間味溢れる人物達。 
そもそも役者さんそのものに味のある人が多いのではないかと思いました。 
今まで人の表層から「それは間違っている」「そんな事をする奴は悪人だ」と言い切ってしまえたものまでもが、そう単純ではない事を思い知らされました。 
あいりん地区の不器用な人生模様、深いなーっ。

ネタバレBOX

自分だけが家族の業を背負い、自分を犠牲にしてきたと思い詰めていた兄が、数十年ぶりに再会できた弟の人生を知る。 
両親が離れ離れとなる時、子供に課せられる運命の選択。 
父親について行った弟の幼く単純な想いがあまりにも哀しい。 
それでも十分に希望の残るラストで良かったと思います。 

子供はいる「設定」かと思いきや、ちゃんと子供も登場し感服しました。
東京のぺいん

東京のぺいん

ぐりむの法則

新宿村LIVE(東京都)

2016/12/07 (水) ~ 2016/12/11 (日)公演終了

満足度★★★★

深夜バス、大人の事情
外は東京タワーをバックに降りしきる雪。
そこは深夜バスの待合室。
三十路にして夢敗れ田舎に帰るバンドマン、見送りの元バンドメンバー、そして訳ありの人々。 
希望溢れた頃のフラッシュバックが東京ラストDAYの感慨を深めます。 
SHOGO(175R)さんもミュージシャンでありながら好演。
終始安心して観る事ができる鉄板のハートウォーミングコメディーでしたが、もう少しチケット代が安ければ良かったのに。

償い

償い

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2016/12/01 (木) ~ 2016/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

想像力を駆使させる恐怖
悪ガキだった頃の名残がある元同級生たち。 
それぞれが好きなように生きており、各自の生活のピースが小気味よく繋がっていきます。 
どの演出効果がそうさせているのか分からないのだが、そのピースのひとつひとつに邪悪な「何か」が息を潜めているような気がしてなりません。 
結局、その正体を知りたいが為に集中力が高まり、どんどん舞台にのめり込んでいってしまう感覚が新鮮でした。 
若者の爽やかさとミステリーのコントラストも魅力的です。 
表現手段として暴力的なシーンを露骨に観せる事は無いのですが、確かに存在する残酷さの輪郭がハッキリと頭の中で形を成していき得も言われぬ恐怖がジワ~ッと襲ってきます。 
何だかすごく償いの度合いが不平等で理不尽だなーと思いながらも、ラストに向けては鳥肌が立ちまくりでした。 
観終わった後には心地良い疲労感。 
舞台ならではのサスペンス、こわ面白かったです。

ネタバレBOX

追記 
後々まで残るモヤモヤっとしたものが前記タッキーさんのネタバレ文章で解明できスッキリしました。 
もしも舞台セットがリアルなものであったら細部の「?」な部分に囚われ、ともすれば入り込みにくかったのかもしれない。 
しかし今作品の不安定でとりとめのないセットが何か時空の歪みを連想させ、全体的に悪夢を観ている様な感覚になっていたのだなーと。 
リアルタイプの物語でありながら何か地に足がつかない感じの不安感。 
どうしようもなくこの作品に魅了される理由がわかってスッキリしました。 
感謝です。
匣~家族と死んだ恋人~

匣~家族と死んだ恋人~

smimal (スマイマル)

プロト・シアター(東京都)

2016/11/30 (水) ~ 2016/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★

アイデア満載の公演
高田馬場、大学とは反対方向の早稲田通りは印象がガラッと変わり、外国人が多くて雑多な雰囲気に驚いた。脇に入る道を間違え、しばしさまよった住宅街も独特の風情があり不思議な感じ。 
そしてようやく見つけた劇場、プロト・シアター。 
怪しいっ!群を抜いて怪しい建物! 
劇場内の舞台はシンメトリーの部屋が分厚い壁で仕切られており、入場時に青い席(男性バージョン)に座る様指示を受けていたので、そちら側に着席。 
案内では公演の事を「実験」と表現しており、怪しさが増してきます。 
白く無機質な内装、亀裂の入ったコンクリート床、独特の建築臭。 
駅を降りてからの一連で、飲みの席で言えば「もう出来上がった状態」。
すでに非日常の空間に身を置いている気分です。
開演とほぼ同時に座席間にカーテンが引かれ完全に男女各バージョンは視覚的に分離されます。 
男性バージョンの主役男性は、見た目は悪くないのに童貞のコミュ障。 
彼に託された実験目標は壁向うの女性とお互い会話のみで恋愛をして、更には結婚を決断できるか?

ネタバレBOX

破談になったとしても3千円のペナルティー代を支払うだけ。 
結婚達成の場合、莫大な賞金が。ただし生涯「浮気」「離婚」すれば即刻「死」のペナルティー付。 
男性、女性それぞれに4名のサポーターがつきます。 
壁を介しての男女の会話シーンよりも、このサポーター達とのやり取りが結構な割合を占めます。 
全て同時進行ですが音声調整がされている様で隣部屋の会話がこちらの邪魔になる感じはしませんでした。 
が、たまに不穏な状況が感じ取れ、あちらでは何が起こっているんだと関心が傾きます。 
個人的には、この あれっ隣ではいったい何を?という感じをもっとガンガンやって欲しいと思いました。 
「家族と死んだ恋人」というサブテーマが、ちょっと足カセになっていた気がします。 
丁寧な背景説明が、かえって単調な時間を作り出してしまいます。
お互いのルックスについて、ほぼ触れなかったのも不自然かと思いました。 
サポーターが男性の気持ちをかき乱してしまう一連が面白いです。 
女性の方もかなりかき乱されていたのでしょうか。
全体的に企画性が高く、視覚面で印象に強く残るシーンが随所に散りばめられた公演でした。 
位置について

位置について

かわいいコンビニ店員 飯田さん

シアターノルン(東京都)

2016/11/30 (水) ~ 2016/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

保育の“生”現場
全員の保育士が出揃った頃には、既に意識は劇中の真ん中に引きずり込まれていた。 
彼女らと共に笑い、悩み、憤慨し、また笑って、そして考えた。 
何だか保育という仕事の厳しさを身をもって体感した気分です。 
疲労と経済的生活苦に抗い、笑いあえる程に保たれているチームの和も、不意に吹き付ける突風にバタバタとバランスを崩していく。 
能力の差や教育方針の違いこそあれ誰も悪くなんかない。 
それぞれに素晴らしい人間力だと思う。 
がんばれ保育士さん。 
舞台が終わっても自然と見えてくる、これから先の彼女らの生活と別れを告げるのが、とても名残惜しい気持ちで帰路についたのでした。

ネタバレBOX

ちょっとキツめの九条先生が自分に一番近い性格かなと感じたが終盤では体調を崩してしまっていた。さもありなん。 
それにしても8人が8人とも見事に人物像がリアルで巧く劇中を動き回っている。

これだけ別人格の人物達を丁寧に描き分け演じる事ができたのは、きっとワークショップ等で演者全員が与えられた役柄をそれぞれに自己プロデュースし再結集するような何か大掛かりな事でもやっているに違いないと思ったのだが、帰って当日パンフを見ると、脚本・演出家ひとりで作成された様である。 
ってよく見たら出演もされていた!
天才だと思う。

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