二人芝居「2+α」
デラシネ
かえるかふぇ(東京都)
2015/12/18 (金) ~ 2015/12/19 (土)公演終了
満足度★★★★
新劇団
4月に上演された広山詞葉さんの一人芝居のアンケート用紙のコメントに、今後もこういう芝居の機会を作っていきたいと書かれていて、次はどうなる?と思っていたら、広山詞葉さんを座長に演劇ユニットを結成しての旗揚げ公演。前回の詞葉さんの一人芝居では、今回の会場と同じ「かえるかふぇ」というカフェをそのまま活かし、観客がお店に居合わせたお客として、詞葉さん演じる女性の人質になってしまう巻き込まれ型のお芝居でしたが、今回は客席を設けての二人芝居。男は自尊心の低さから、詞葉さん演じる女性を自分より汚れた存在にしようと責め続け、やがて二人の諍いは泥沼化。そんな光明のなさそうな先行きを案じながらも前向きに生きようとする男女の物語。終演後、今作「2+α」は次回作「DONOR HUNT」のスピンオフ作品だったと発表があり、次回公演への期待度が高まる展開。前回に続き、映像作品でも活躍されている女優さんの演技が間近で観れるという貴重な時間でした。次作は別会場ですが、今後もかえるかふぇで観劇できる機会があるといいなぁ
ミキシング・レディオ
OIL AGE OSAKA
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2015/11/26 (木) ~ 2015/11/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
星が足りない
ストーリー、セリフ、キャスト、テンポ。すべてが噛み合い相乗効果MAXの1本。笑いとハプニングのてんこ盛りでお得感満載。
これから観劇される方、体調は万全に。笑いで体力奪われます。★5more。
舞台「攻殻機動隊ARISE:GHOST is ALIVE」
㈱NEGA
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2015/11/05 (木) ~ 2015/11/15 (日)公演終了
満足度★★
足りないものが多すぎる
アニメ「ARISE」全4話の総集編的ストーリー。舞台の上演時間では、やや詰め込み過ぎで、「攻殻」予備知識のない人には分かりづらい内容だったのでは。日本初の3D映像との融合は、所々に差し込まれる3D効果を目新しく感じましたが、見慣れてくると映像デザインの未来感のなさが気になりました。劇中の兵器使用も同じで、銃に詳しくはありませんが、アクション映画などで見慣れているM16系のアサルトライフルでは未来感ゼロです。銃声も重々しさがなく、武器の暴力感、ミリタリー感もゼロ。義体によるアクロバティックな縦横のアクションも再現されることはなく、横移動の平凡な殺陣となっており、アニメを舞台で再現という試みは伝わるのですが、丁寧に再現しようとしすぎて、逆に「攻殻」という世界観を生かしきれていない、芝居として中途半端な仕上がりに思えました。個人的には3Dメガネ使用は、視野が狭まり、色がくすんで見えるので、劇後半はほとんど外して観劇していましたが、支障なしでした。
融解
白猫屋企画
ART THEATER かもめ座(東京都)
2015/11/07 (土) ~ 2015/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
二人芝居だけれども
聾唖の妹が新人作家として文学賞を受賞したことから、その続編の執筆へとつながり、妹の秘密が明らかになっていく。受賞式の姉の行動の真意は? 妹の告白の真実は? 世間はどう反応するのか? 二人の行く末は? 劇中で語られるよりも多くのドラマを想像させる奥深い展開にどハマり。脚本もさることながら、今村美乃さんの語らずとも雄弁な演技と共に、この演目には、さらなる高みを目指せそうな可能性を感じつつ50分ほどの上演が終了。この世界にもっと浸っていたい! もっと続きが観たい! と思わせる、終演が惜しまれる舞台でした。今後のうえのやまさおり脚本に期待大。劇中に使われたビョーク主演の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の主題歌「I've Seen It All」という選曲も、個人的にツボ。公演自体は二人芝居という形態でしたが、音響、照明と公演スッタフを激バスメンバーが務めていたという、多才な方たち。
四谷怪談
ジェイ.クリップ
俳優座劇場(東京都)
2015/10/18 (日) ~ 2015/10/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
ホラーではなく人間ドラマ
四谷怪談といえば、中川信夫監督の「東海道四谷怪談」のスチル写真のイメージが強烈過ぎて、自分にとって日本の怪談物は忌避対象の一つでしたが、同時に何らかのメディアで一度は、その物語を知りたいと思っていました。「東京裁判」のチラシで四谷怪談の公演を知り、そろそろ怪談話にも鈍感な年頃になり、これをいい機会とキャストも演出も気にする事のない安易な観劇決定をしました(制作に関わった全ての方に失礼だ〜)。あらすじは鶴屋南北の歌舞伎に沿った展開らしく(詳しい事は分かりません)、セリフは歌舞伎調です。同時通訳のように所々自分の理解が遅れる箇所もありましたが、ピタリとハマった配役のキャスト陣が舞台へグイグイ引き込んでいきます。一般に思われる心霊要素はなく、語られるのは、現代の自分達と同じように情報によって振り回される、人間の欲望、愛憎、純愛の物語であり、今までの無知により四谷怪談に、どれだけ間違ったイメージを持っていたか気づかされました。自分と同じように誤解してる方にこそ、この完成度の高い舞台を観ていただきたいが公演期間があまりにも短い。観劇の機会に恵まれた自分の幸運を喜ぶばかりです。
Case5 ~天使と悪魔~
劇団HIT!STAGE
サブテレニアン(東京都)
2015/10/03 (土) ~ 2015/10/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
こんな演劇が観たかった
佐世保発の二人芝居。エンターテインメントではありません。美しい歌声も、抱腹絶倒もダンスもありませんが、普段の観劇で少々の退屈、物足りなさを感じているのなら、濃密な時間を過ごす事ができます。2回しか公演されませんが、その貴重な公演を観れたという、こういう劇に出会える瞬間を求めて、小劇場の観劇をしているのだと再認識しました。今後も要注目の劇団の一つです。
パイドパイパー と、千年のセピラ
劇団ショウダウン
あうるすぽっと(東京都)
2015/09/04 (金) ~ 2015/09/06 (日)公演終了
満足度★★★
笛吹き祭りの終わり
マナナン上演中に、まだジャガーノートという仮題のチラシを手にした時から、この瞬間を楽しみにしていましたが、自分の望んだ大満足の演目とはなりませんでした。自分がセリフを聞き逃したのか、理解が足りないのか、多数のキーワードが、絵柄のないパズルを作っているかのように、ピースがピッタリはまることはなく、それぞれのキャラの行動の動機の説明が弱く、人間性の不在を感じました。誰もが知るあのSF映画だって、光る剣で戦うばかりではなく人間ドラマが根底にあります。決しておろそかにはできない要素です。パイドパイパーの世界観の壮大さのために、前作のベラミー少年の喪失体験の苦痛が、物語の原動力となっていたマナナンのような繊細さが犠牲になっていたように思います。それでも、パイドパイパー2回、セピラ2回と、この3日間は大いにショウダウンを満喫した幸せな時間でした。
パイドパイパー と、千年のセピラ
劇団ショウダウン
あうるすぽっと(東京都)
2015/09/04 (金) ~ 2015/09/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
林遊眠一人芝居の魅力
千年のセピラの二回目。今回はやや後方、首を動かさずに全体を見渡せる位置での観劇。劇が始まってみると、危惧していたほど会場の大きさは気にならず、BASE THEATERにはBASE THEATER用の、あうるすぽっとにはあうるすぽっと用のギアチェンジをされていました。セリフの多さと活劇シーンでのテンポを落とさぬよう、やや早口気味になる口調でも、見事に声量をコントロールされていたと感じました。今回は舞台の広さを考え、衣装を膨張色の白に選択したのかどうかは推測となってしまいますが、それでも、舞台上の遊眠さんは大きく見えるのが不思議です。
昨夜の一回目より、一晩という短時間でクオリティを上げてきたセピラ。通常の一人芝居では、文字通り一人の視点によって展開される物語に対し、遊眠さんの一人芝居の特徴である複数人物の演じ分けによる、多様な視点から語れる物語が、ラストへ向けて集約されていく過程に伴う高揚感は、その場でしか得られない特別な時間として記憶に残ります。公演が続けば、今後ますます磨きがかかるであろう千年のセピラが公演二回で終わってしまうのは残念でなりません。しかも、遊眠さんご本人のブログでは、今後の一人芝居への積極的な意欲を語っておらず、観客のわがままを言えば、封印されることなく、今後も観劇できる機会がある事を願うばかりです。
パイドパイパー と、千年のセピラ
劇団ショウダウン
あうるすぽっと(東京都)
2015/09/04 (金) ~ 2015/09/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
千年のセピラ観劇
東京での本番ということで準備期間も足りず、あの広い舞台での一人芝居は強烈な不安と孤独感を伴い、満足に追い込めていないであろう状況の中で、それを振り払うかのように臆することなく舞台を動き回る姿に、今回も林遊眠という役者に魅せられました。
パイドパイパー と、千年のセピラ
劇団ショウダウン
あうるすぽっと(東京都)
2015/09/04 (金) ~ 2015/09/06 (日)公演終了
満足度★★★★
笛吹き祭の始まり
役者の力量に驚かされます。通常の2時間超え舞台の倍以上のセリフ量ではないかと思われる言葉を語り、殺陣も早変わりも、と盛りだくさん。この数カ月で稽古をして創りあげたとは思えない、長年この座組で公演を行っているかのような風格が漂う舞台です。すべてを良しとできない点もありますが、ここまでの大作を魅せてくれる出演者の意識の高さに感服。関西演劇人を観られる、良い機会を得られました。同時期に公演しているハッピー圏外の「双子のフロイライン」も観劇。同じ伝説をベースにしながら、それぞれの劇団色が反映された物語が展開されます。