城井が投票した舞台芸術アワード!

2018年度 1-10位と総評
ロスト花婿

1

ロスト花婿

ENG

キャストが手練れしか居ないので、濃密感が高い。
人数多いけど端役は居ないし、芝居に無駄な余白がない。
押し引きの加減が絶妙で、荒らされた土地を一瞬で整地する。
全員好きだし、誉めるとこ多すぎて大変(笑)。しかも、ネタバレしないで書くのは難易度高いぞ(笑)。

その上だからこそ、添田くんと栗生ちゃんのまっすぐさが光る。この二人で良かった。
えっ、そこで?って言われるかも知れないけど冒頭のシーンで泣いた。なんの感情が溢れたのかすら自分で分かってないけど、二人の物語の始まりがこれで良かったんだろうなって思えた。
そこから先は笑い、笑い、泣き、笑いのオンパレード!笑顔になれる結婚式に出席しよう!


のぶさんが“ENG初”が4つある、みたいなことを言ってたんだけど、答え合わせって出た?のかな???
私の見立てだと
マイクを使った生歌ありのダンス(もはやミュージカル)
キーボードの生演奏
舞台上で何かを食べる
ルミファンタジアの青くなるやつ!

TRUSH!

2

TRUSH!

劇団6番シード

前楽観劇。
あー楽しい!まさにお祭り!
25周年の幕開けとして最高の作品。

ダンスはキレッキレだし、ジャグリング等のパフォーマンスも見物。
セットも特殊演出(笑)も力入れてて本気度が伝わる。
一緒に手拍子出来るのも一体感出るよね。
6C大好きだー!

メイカ 魔女と幕末の英雄

3

メイカ 魔女と幕末の英雄

ENG

いい意味で予想を裏切りまくってくれたなぁ。キャストもスタッフもクオリティ高いし、安心して物語に乗っかれる。
ラストで、
メイカは make a もしくは makerなんですよ
ってノブさん(たぶん)が書いてたのをふっと思い出したり。
なるほどなぁ。

石部さんと梅ちゃんがひたすらに人形で素晴らしかった。出てきた瞬間から最高だった…。
OPと真ん中あたりとEDあたりにダンスがあるんだけど、リズさんの振付が映えてて目が足りない!EDのダンスが切なくて温かくて好き。
アクションは手練れ多すぎて目が足りないし、武演隊居るから華やか!

差し入れされたおにぎりもぐもぐのシーン。
太壱が壇上でとても丁寧に『頂きます🍴🙏』の挨拶をしてから食べ始めて、手に付いた最後の一粒まで味わっていた。
あぁ、彼は農民出身だもんね。
なんだかとても胸が温かくなった。

ダンス振付もやっていた言秀/イザナ役のリズさん。中盤で魔術師であることが露呈してからの、母や妹との関係性の変遷にすごく機微があって好き。
一番好きなのはEDのダンス。あのダンス単品では品質が低く思われるけれど、物語を追った上で、あの柔らかで思いに満ちたダンスになるのが最高

二度目目線だからこそリズさんの挙動の意味が分かったり、わくわくしながら褌一丁の高田さんを待ったり、 #メイカ武演隊 の見分けがつきやすかったり。最後だからって遊んじゃうみんなも好き。ちーちゃんと寿里さんの熱量が高くて、ただただ美しい。

私の中で、褌と言えば図師さんだったのだけど(MOSHのせい)、まさかのずんさん仲間入り。
しかし、OPでしっかり軍服着込んでるのに速攻で脱いでるのね(笑)

わたしの、領分

4

わたしの、領分

「わたしの、領分」製作委員会

初日観劇。分かってたど重い。だけど軽さがある。
くれは節だな、マリカちゃんだな、あづささんだな。これ、以前誰が演じてたんだろ。
これ本当に95分?でも、これ以上長いと息できなくて溺れる。

発達障害と呼ばれるものを取り巻く「わたし」と「あなた」の物語。
感じて・考えて、手足を取られて縺れた頭を、落ち着けるには時間が必要だ。
何が正解かなんて、誰にも決められない事象なんて山程ある。
曖昧でいることで救われて、生きていける人もいる。いや、みんなそうだよね。
普通って何だ。みんな、違う人間なのに。
まぁ、ぶっちゃけ、自分にも萩野めいたところはあって。萩野の素というか本質というか特性というか、まぁ、それが見えたときは、フクザツ。心が能面になるし、同族嫌悪もあるし、俯瞰で他人事にもするし、共感めいたものもある。
でも、ワタシはそれをどうにもできない。
まぁ、ぶっちゃけ、自分にも萩野めいたところはあって。萩野の素というか本質というか特性というか、まぁ、それが見えたときは、フクザツ。心が能面になるし、同族嫌悪もあるし、俯瞰で他人事にもするし、共感めいたものもある。
でも、ワタシはそれをどうにもできない。

照明担当が、静の照明の中で最高にセンスのあるLICHT-ERの阿部さんなので、開演前から光に引き込まれるし、物語に寄り添うし、案内してくれるから、とてもとても柔らかい優しい空間でした。
舞台美術も、生きてる舞台美術込みで、大層美しかったです。

ある日、ぼくらは夢の中で出会う

5

ある日、ぼくらは夢の中で出会う

劇団6番シード

4人芝居って割と珍しいと思うのよね。ひとり、ふたり、は有るけど。
戯曲本読んでから見てるからストーリーは知ってるけど、どうやって生身の人間が舞台として立ち上げるのか、読んだだけではさっぱり分からなかった。それが見事に成立していて、松本さんの手腕に感服するばかり。
2回目。ガヤを聴きたくて前の席を選ぶ、それも楽し(笑)。意識しないとメインに耳を持ってかれるから、やはり力加減が上手い。テンポが上がるというかワクワク感が上がってた。とても不条理で、理不尽なのに引き込まれる。

これは仮説。
今回の #あるぼく6C といつもの松本作演は、微分積分の関係にあるのではないか?
カンノの普通→打ち砕く3人

いくつかの不可思議な要素→集めたら筋が通った出来事
なんだか、逆再生みたいなんだよね。

めっちゃ細かいけど、
美樹さんのジャケットの裏地がかわいい。

あと、『ブチンッッッ』が好き。


6C劇団員3人の見事な連携プレーと、鬼の松本演出と、謎の台本に
果敢に喰らい付いた菅野英樹くんがとにかくかっこよかった。
いつかまた”主演”出来る時が来るのを楽しみしよう。

劇作家と小説家とシナリオライター

6

劇作家と小説家とシナリオライター

劇団6番シード

Aチーム。
myルールを破って、初回なのにサイドの1列目に陣取った。当たりも外れもあったけれど、構造的な理解も平行させつつ、マスクの下でニヤニヤ出来た。
劇作家とtwoのエピソードのリアルさ、小説家の優しさ、シナリオライターのやり場の無い不安と苛立ち、どれも良いなぁ。
いやしかし、これは3チーム全然違う色が出るなぁ。それぞれの余白の埋め方の比較も楽しそう。
そもそも、ゼロ/マイナス/プラスは性別すら変わるからな…。
久しぶりに、そっち側の図師さん観られて嬉しいなぁ。それこそ、ゼロで白な図師さんかも。

舞台美術の時点で好き!青木さんすげー。
全ての物語は、ロジックと叙述と計算だなってなんども思ったけど、根底では“物語は世界を変えられる”と思ってるのが、物書きの愛だよね。
この作品は、演劇とか文学とか関係なしに、大なり小なりの創作やものづくりをしているひとに見てもらいたい。写真もアクセも料理も。

Bチーム観劇。全く同じ台本なのに色が全然違う。損なってないし、増しすぎてもいない。パスワークが達者な感じ。リズさんのマイナスもいいなぁ。
か~ら~の~、終演後“ロングラン折り返し!乾杯イベント”まで参加。温かいカオス!(笑)

Cチーム初日観劇。
これは結構変えてきたぞ(笑)。特色がよく出てる。そしてやっぱりあすぴーの演技が最高!!!
今日は狙ったエリアのサイド席に座れた。偶然だけど、4の銃口がこっち向いた。それだけで、陥落するには充分だ。

死旗

7

死旗

鵺的(ぬえてき)

tsumazuki no ishi×鵺的『死旗』千秋楽観劇。
高木さん寺さんの作品ならば例え表現が過激であっても、現実と地続きな幻想であると信じて向き合えるので、劇場で息を飲みながらも見続けられる。
どうしてこんなに非現実なのに役者達は生々しく演じられるのだろうか。称賛しかない。誰々が演じてるから、じゃなくてそこに居る。
とんでもなくファンタジーなのに、とてもリアル。
混沌として、融合して、逆転すらして、それでもぼくらは生きていく。その姿は美しい。
蝋燭の裸火、雨や川の本水、生命の液体すらも水で表現。スズナリの空間を存分に使い切っていて、狭さではなく密度を感じさせる。
基本的に明かりは暗い、けど、それは時と場所を考えたら当たり前。むしろ、それにプラスしてるから明るいんだろう。加減が舞台美術と合間って美しくて見惚れる。

鵺的というブランドを高く買っている上で、マリカちゃんと祁答院くんが出るなら、と
(予定の読みにくい)私にしては珍しく先行でチケットを買った。引きセンターという要望通りの席で楽しめたことも、ありがたかった。ロビーや客席内の案内も的確だし、安心して見られるって嬉しいこと。

もしかしたら、役者以上に大変だった音効さん。
⚡☔🍃🔫👣
お疲れ様でした。
残美が残美で居れたのは、貴方のおかげです。

クロッシング・クリスマス・クリアランス(完全版)

8

クロッシング・クリスマス・クリアランス(完全版)

バンタムクラスステージ

初日観劇。
物語が、言葉が、気持ちが、芝居が、音響が、照明が、美術が、場転が、美しい。誰かを想う心はいろんな形をしてて、顕著に出るのがクリスマスなんだろう。

『crossing Christmas clearance.』を見る前の私。
crossing→十字架とか、思いが交差するとかでしょ?分かる。
Christmas→クリスマス時期の話よね。分かる。
clearance→片付けとか排除とか…?わ か ら ん

見た後の私。
ほ っ そ ん す げ ぇ 。(心の声につき敬称略)

レニー/福地教光
バンタムの看板役者。緩急の付け方、芝居の緻密さと深さが今回も光ってた。
ヒューズ/結束友哉
いかついギャング役がハマリすぎ。骨太で懐の深い役は、本人が滲み出てるんだろな。
カルロ/平野勳人
イケオジの頂点!渋さと強かさと柔和さの引き出しを即座に開け閉め出来るからこそ、上に君臨できるんだろな。
レンツオ/佐藤修幸
とにかくレンツオの最後のシーンを見て!!悪い人やってるノブさん、結構好き。
カレンダー/高田淳
血が流れてないか青い血が流れてるかの二択みたいな、文武両道の殺し屋。台詞が無くても板の上に居るだけで冷酷さ(と零れるエロス)を感じる。
そして、はっちゃけていいよって言われた瞬間に最大級のギャップを見せつける中の人。そーゆーとこ、好き。
機関車コーエン/沖田幸平
人魚姫ジェシカ/宮島小百合
飛行機リリエンタール/星璃
おもちゃ達可愛い‼️衣装最高‼️
3人の中での関係性も、主人公アルとの関係性もコミカルで楽しい。アル以外の人には動いてるのが見えないから、時折ピタッと止まるのも見所
子供チーム♀♂♂
主人公アルフレッド(アル)/楠世蓮
大人になるって?正義って?大事なものは?主題を提示しつつ成長していくのが130分で分かる!
マット/斉藤有希、コットン/有澤睦生
友情は大事、恋心も大切にしたい、そんな子供あるあるが沢山。
ルポライターのクーリッジ/土田卓
飄々としてるのに核心は外さない、クーリッジの文体はそんななんだろう。白くてズルい人←
そのままパルクールしてくんないかなぁ(※白スーツっていうと石動さんが出てきちゃうw)
メガネ👓のパパ、フランツハイネ/Hiroka Denzy
厳格な父は愛する家族の為にどんな生き方をしてきたか。だんだん紐解かれるにつれて、バンタムだから出てくる独特の人間味が立ち上がる。
兼ね役の老アルフレッドとの演じ分けが、境が有るような無いような絶妙さ。
ブルーノ/五十嵐啓輔
実はフォトセッションの視線の指示を出して仕切っていたのは彼。しかもオネエ気味で(笑)
劇中でも、賢そうなギャングから壮大なギャップ(萌え)を繰り出してくるから油断ならない存在。
これまでに見てる彼の役、全部系統違うな。オールラウンド。


二度目目線の #バンタムccc
知ってるから分かること、一度目と違った意味で捉えることがたくさん。
そして、ずんさんの目力とオーラに殺られて温泉へダイブ。 #バンタム銃 を撃つ(演技)人も撃たれる人も撃つ(音照)人もかっこいいな。
リピート特典は、ラストの結束さんに。今日もかっこいい背中でした。
細川作品は、場面転換が好き、と言い続けているんだけど今回も秀逸な場転だったなぁ。おもちゃチームがやる転換はゼンマイがカチカチなるような軽い音が聞こえてきそうだし、山下・太立両氏の動きはスマート。太立くんがレニーとの掛け合いの台詞言いながら転換してたの、シビれる。

Brand new OZAWA mermaid!

9

Brand new OZAWA mermaid!

EPOCH MAN〈エポックマン〉

THEおもちゃ箱。一人芝居なんだけど総勢何人出てきた!?その全員に愛嬌がある。物語は現代人魚姫なんだけど、
Coccoの強く儚い者たちを思い出したり。○△□の美術と照明が素敵。何よりドラムとjamってたのが最高にかっこいい。あと、パンフ買わないと損。

死神の精度

10

死神の精度

石井光三オフィス

過去にこの伊坂作品を“一人芝居の短編集”として演じたものを観ていたので、一連にしたもの、ちゃんと四人いるとどうなるのか、が楽しみだった。
これは演者の精神力がかなり重要。特に阿久津の植田くんは感情の起伏が忙しくて大変そう。それを演じ切ってるからやっぱ凄い。

総評

ここに選ばなかったけれど、この10演目の上に
「プリステEp5」と「PARAMUSHIR」が鎮座してるのが本音。
大劇場作品も、小劇場作品も、どっちも好きだなぁ。

Edinburgh行けたのも面白かった。

このページのQRコードです。

拡大