I元の観てきた!クチコミ一覧

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廃墟地獄

廃墟地獄

廃墟文藝部

G/Pit(愛知県)

2014/08/29 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

思わずマジにツッコミたくなる意欲作
 まず見た目と演出ですが、舞台装置の代わりにプロジェクターによる投影でほとんどをカバーしているが、それがうまく消化されていて、良い演出効果を生み出していました。実写でアニメを見ているような感じです。

 話の中身の方ですが、雰囲気はものすごく出しています。ただ、観客を納得・共感させるには少し説明不足というか表現不足というか、物足りなさを感じました。ただし、どうやらそれは作・演出としては意図的なようです。理詰めでモノを考える私には、少々不満でしたが、劇団のTwitterでの観客の評判を読む限り、元々、内容的に共感できる素地をもった若者層には「言葉は不要」な感じで受け入れられるようで、興味深いです。

 また、色々と突っ込みたいところはあるものの、それを真剣に言いたくなる良い題材に挑んでいる点は、大変評価したいです。

ネタバレBOX

 短編4作なのですが、内容的に一番印象的だったのは3作目の「冒頭」。
 物語の実質の主体となる女性の奇異な所作や展開に引き込まれました。しかし、なぜそうなったかのかを理解・共感させる深彫りが薄いような気がして、観客を少し置いてきぼりにしているのではないかと思いました。ただ、アフタートークを聞く限り、どうも説明過多の演出を嫌う傾向があるようで、観客に想像させたいのでしょうが、下手をすれば独りよがりに陥るので難しいところですね。分からせた上で唸らせるのが一番だと思うのですが。

 1作目の「24時」はポップな感じで、たぶん一番一般受けするするのではないかと思います。逆に、4作の中では異色になってしまいますが(笑)

 問題は残りの2作。決断を他に委ねたり、問題を他に転嫁する性質の人間の末路を描いているように感じたのですが、救いがあったり無かったり、そういう性質を批判しているとも、擁護しているとも、嘆いているともとれず、本作で何を示したいのかは判然としません。想像はできるのですが、演出が淡白なので迷ってしまうのです。とにかく結論めいたものは敢えて明示したくないらしく、こういうテーマでそれをやられるとモヤモヤしますね。

 ただ、こうやって色々言いたくなるのは、あまり人が触れない、良い分野に切り込んでいっているからで、その意味で大変好感が持てます。
 今後の活躍を期待します。
オープン、ベケット!

オープン、ベケット!

七ツ寺共同スタジオ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/08/15 (金) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

アフタートーク、ありがたし
ベケット作品自体は初めてではないので、ある程度覚悟はして観劇したのですが、やはり難しいの一言につきます。特に短編でブラッシュアップされているが故か、余分な情報がなく、個々の予備知識0の初見では分かったつもりにすらさせてもらえませんでした。そんな体たらくですので、アフタートークでの解説が大変ありがたかったです。演出家の工夫なども聞かせてもらえて、最後にやっと作品を味わえた感じです。本当は公演自体から味わうべきなのは承知していますが、恥ずかしながら、そのぐらいは下駄履かせてもらえないとベケットは消化できませんね・・・

妥協点P

妥協点P

劇団うりんこ

うりんこ劇場(愛知県)

2014/08/10 (日) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★

妥協点を探す旅
 妥協点を探す・・・ ビジネスではごく当たり前の話ですが、議論の過程・交渉・妥協が演劇の題材になっているのは面白いですね。
 ちょっと感じた違和感はネタバレBOXに書くとして、色々考えさせられる良作でした。

ネタバレBOX

 女生徒はほぼひたすら口をつぐみ、書き直されていく台本でしか主張しません。それ故になかなか意図が観客に伝わらないようにしていると思われ、先生たちの会話からミスディレクションを誘う構成になっています。
 最後に口を開くことによって、彼女の関心が既に別のことに移っていることを察することができました。全ては最後のオチのインパクトのため・・・、演出の都合ってやつでしょうか。
 しかしそうなると、彼女は先生達を手の上で転がして実験・観察をしていたかのようにも感じられます。もしそうであるなら、本当は妥協点を探る健全な交渉に必要な「誠実さ」に欠けていたことになり、やや後味が悪いです。そこまで作者の意図なのか、演出の都合で陥った難点なのかは計り知れませんが。
牛乳地獄act.12「冥土ダイバー×明日まで待てない」

牛乳地獄act.12「冥土ダイバー×明日まで待てない」

牛乳地獄

千種文化小劇場(愛知県)

2014/08/09 (土) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

大変充実した二本立て!!! 大満足です。
 だいぶんツボにはまりました。
 二本立てですが両作に共通した感想として・・・、集団というものをかなり効果的に使った 舞台ならではの演出はダイナミックでした。印象的だったのはモブで本来背景となるべき役者さん達の演技。非常に密度濃く生き生きとしていいて、話の渦中の主役たちの演技に集中できないほど(笑)、すんごい目移りして楽しかった!

 ■「冥土ダイバー」は全体としてかなりきれいに纏まった脚本で、良い意味でストレスなく観れました。さすが再演するだけのことはあります。もちろん笑いのツボもしっかり押さえられ、かなりの良作です。楽しい時間を過ごせました。

 ■一方「明日まで待てない」は一転サスペンスで、楽しさという意味では「冥土ダイバー」に遅れをとりますが、今時の漫喫風刺的な描写から一転非現実な漫画的(笑)展開になるのは意表をつかれました。ただ、主役達の感情・思考の流れに付いて行けるほどの描写がやや足りないと感じられ、個人的には感情移入するまでには至らなかったのが僅かの不満です。もしかしたら、これは周りの脇役達の存在感が強くて、相対的に主役の存在感が薄まっているからなのかもしれません。メリットがデメリットにもなる・・・バランスの問題なんですかね。

 ■ただ、充実した楽しい時間を過ごせたのは間違いありません。二作の間の繋ぎも工夫してあり、単に二作見る以上のまとまりを見せたのも好印象です。

ワラドール~7人の勇敢な冒険者たち~

ワラドール~7人の勇敢な冒険者たち~

星の女子さん

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/08/01 (金) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★

遊び心を素直に楽しむべし?
前作、すごくダークな雰囲気が漂っていた印象だったのですが、だいぶん薄まっていて、歌ったり踊ったりのエンターテインメント性が前面に出た感じでした。色々味付け変えられたようですが、元々、色んなベースのお話や時代設定をキメラのように繋ぎあわせているので、正直、世界観を掴み切れておらず、観ていてモヤモヤがぬぐい切れないですが、遊び心はふんだんにあるので、素直にそれを楽しめば良いのかな~というところです。脇を固めるベテランの役者さんの演技が光ってました。

カウラの班長会議 side A

カウラの班長会議 side A

燐光群

ウィルあいち(愛知県女性総合センター) ウィルホール(愛知県)

2014/07/25 (金) ~ 2014/07/25 (金)公演終了

満足度★★★

時空をオーバーラップさせた演出が良い
劇中劇とそれを作る人たちの物語が時間・空間的にオーバーラップしながら話が進む演出が面白く、純粋に演劇の手法として高レベルに楽しめましたし、役者さんたちの演技の質も高かったと思います。しかし、本筋から外れると思われる主義主張が垣間見えてうんざりした点があり、その分、評価下げました。

おとこたち

おとこたち

ハイバイ

長久手市文化の家 風のホール(愛知県)

2014/07/19 (土) ~ 2014/07/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

恐ろしいリアリティ
 ひたすらせつなく、恐ろしい作品でした。特に、思考が混濁していく描写には、シャレにならない恐怖を感じます。
 また、リアリティを突き詰めてるなぁと思っていたら、ほとんど実話の繋ぎ合わせということで、さもありなんです。なんら救いの光をみせずに終わっていくところもまた、リアルです。
 それと、舞台を三段に分けて時間と空間を切り分ける演出は、舞台ならではで、観た甲斐があったなと思わせます。

私が王様になった理由(わけ)

私が王様になった理由(わけ)

試験管ベビー

千種文化小劇場(愛知県)

2014/07/11 (金) ~ 2014/07/13 (日)公演終了

満足度★★★

楽しみましたが、終わらし方に疑問
端々の小ネタは大変面白く、エンターテインメントとしては充分に楽しみました。特にブルースリー・ネタは最高にツボです。
ですが、エンターテインメントに徹しているげ故に、最後の後味の悪さはなんとかならないかな~という気がします。
男たちの業をお約束的にバカバカしく描き上げたとこまでは良いものの、極刑的に断罪して終わる・・・ 許す必要はないんでしょうが、エンターテインメントならもっと他の終わらし方があるんじゃないの?と思うのは、私が男だからなんでしょうか。

天国の東側

天国の東側

劇団あおきりみかん

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2014/06/26 (木) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★

微妙
 奇妙なシチュエーションでの役者さんの軽妙な掛け合いや小ネタは充分に楽しみました。訴えかけんとするテーマも嫌いではないのですが、色々と腑に落ちないところも多いです。奇妙なシチュエーションのオチも肩透かしぎみに感じられました。
 本来、単にエンターテインメントに徹して、細かいことは気にしない類の作品なら、相応に評価は高く出すのですが、作・演出の方の実績から期待していたレベルはそんなものではなかったので、相対的に低い評価になってしまいました。何度も見れば発見もあるかもしれませんが、実質はそんなこともできないので、個人的に消化不良です。

ネタバレBOX


しかし、アレが劇中劇で、作中の作・演出が誰なのかに思いを巡らせば、 「実は合理的なのかも」 と思ったり・・・誰得ですが(笑)
ハハハシル

ハハハシル

劇団アルデンテ

千種文化小劇場(愛知県)

2014/06/28 (土) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★★

情熱と体当たりのエンターテインメント
エンターテインメントとしては非常に頑張ってて、その迸る情熱と体当たりの演技で大変楽しい時間を過ごせました。正直、話の筋立てには古臭さすら感じましたが(むしろ若者向けには新鮮なのかな?)、一挙手一投足に客を楽しませようとする熱意と工夫が込められており、キャストも使い捨てにされず、皆に陽があたるようになっているのが好感が持てました。何より、黒子にこんなに存在感がある演劇ははじめて見ました(笑)

劇玉Ⅱ

劇玉Ⅱ

オイスターズ

損保ジャパン人形劇場ひまわりホール(愛知県)

2014/06/19 (木) ~ 2014/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

粒揃いで満足
同じ作・演出のこれまでの「短編の選りすぐり」+「長編の圧縮版」+「新作」ということで、粒ぞろいの8作を楽しめた一日でした。感想として、脚本・演出・演技のデキの他に「隠し芸的ネタ」があるものは客のへのインパクトが強いな~ということ! 後から考えると、全国ツアーまでした作品の圧縮版である「音」が男女版とも圧勝の準決勝となったのは予定調和的でしたが、新作に隠し芸的なアクションを仕込んだのは、同じく隠し芸的なネタで目を引いた「音」越えを狙った故なんでしょうかね。面白かったので客としては良かったですが、新作が投票で「音」越えをできなかったところで、作・演出の方が舌打ちをしたのが印象的でした。「この企画、誰得?、私が傷つくだけ。」と挨拶で言われた意味が最後に分かりました。

地下室

地下室

サンプル

三重県文化会館(三重県)

2014/06/06 (金) ~ 2014/06/08 (日)公演終了

満足度★★★★

心底、怖かった
極めて短い観劇歴ではありますが、今まで見た中で一番怖いと感じた演劇でした。カルト教団の手口って、こんなんなのかな・・・ 心に拠り所のない人は、こういうのに嵌ってしまうのかな・・・ と、思わず実感させてしまう綿密な脚本と演出と演技でした。正直、決して見心地の良い作品ではありませんが、それでも目が離せない良質の作品でした。それにしても、オチが不気味・・・。

ディラックの花嫁

ディラックの花嫁

劇団ジャブジャブサーキット

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/05/29 (木) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

頭フル回転、でも笑いもギッシリ
まずは、よくぞここまで色々詰め込んだな・・・というのが感想です。登場人物と人間関係や立場、セリフの意味を理解し、話を頭の中で繋ぎ合せていくのに忙しい一時でした。ただ、展開は軽妙な会話と笑いで進んでいくので、楽しく過ごせました。一見、多すぎるとも思えるキャストも多様な演技を見せてくれるので無駄を感じません。脚本が完成していく過程にキャストの振る舞いが大きく影響しているとパンフレットに書かれていましたが、さもありなんです。

ネタバレBOX

ネタバレってほどではないですが・・・ 空想科学芝居を標榜していましたが、筋立ては かなり昔の若者(笑)向けの感性が漂っている気がして、悪い意味ではなく漫画・アニメ的。名場面のオンパレード的な展開が、そういう年齢の私にはことごとくツボでした。
Flower Girl

Flower Girl

劇団オートバイ

市民ギャラリー矢田4階 展示室1(愛知県)

2014/05/24 (土) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

多重世界に身を置くような不思議な体験
 今まで見たことがないような舞台配置/美術だったので、かなりビックリしました。「総合芸術として空間を作り上げる劇団」との謳い文句は、それだけでも伊達ではなかったです。
 それに加えて、作中での現実世界と虚構世界が交互に現れ、役者の役割が入れ替わったりハモったりするので、一時に多重世界に身を置くような不思議な感覚を味わえ、見た目だけではない空間芸術(?)を楽しみました。
 何度も味わうと深い楽しみが得られそうですが、この劇団は本公演で活動終了とのことで残念です。

わたしの焦げた眼球/遠視

わたしの焦げた眼球/遠視

下鴨車窓

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/05/10 (土) ~ 2014/05/11 (日)公演終了

満足度★★★★

不条理がだんだん不条理でないと分かってくるミステリー
 不条理演劇と伺っていたので、解釈するためのあらゆる情報を見逃さないように、かなり身構えて観ました。結果、あらゆるセリフ・間が全て意味ありげ、伏線のように見えてしまい、それはそれで面白い一時でした。
 私の印象は「不条理がだんだん不条理でないと分かってくるミステリー」といったところです。
 こういう演目は、アフタートークがあるとありがたいですね。アフタートークがある回で観れてラッキーでした。

ネタバレBOX

話の筋として不条理オチに持っていく意図は無かったようですね。その人の人生や繋がりの少し深いところが分かっていないと、一見、不条理的に見えるだけで、話が繋がっていくにつれて、それが分かっていく展開は、少しミステリーっぽいと感じました。あくまで、その人が積み重ねた人生に裏打ちされた日常なんですね。
厭劇入門

厭劇入門

劇団「放電家族」

ナンジャーレ(愛知県)

2014/05/03 (土) ~ 2014/05/05 (月)公演終了

満足度★★★★★

内輪ウケと一般人ウケの絶妙なバランス
舞台演劇を観るようになって日が浅いですが、薄々感じていたこの業界(?)への印象が見事にネタになって現れた、私にとってはタイムリーな作品でした。内輪ウケかと思いきや、工夫を凝らした演出や役者さんのノリで、部外者(?)にも大変楽しめる作りになっていましたね。

部外者の観察眼もちゃんとお持ちの感性と、包み隠さぬ当事者の本音が、うまくバランスしてまし、勢いだけで良しとしない、また勢いを逆手にとった演出(脚本?)にも好感が持てました。

楽しかったです。こちらの劇団、また観にきたいと思いました。

ネタバレBOX

当事者の方たちにはきっと切実な話なのだろうな~と思いつつ、最後(最期?)に救いが無かった点のみ微妙。
笑いに昇華しきれなかったのは、現実を見据えた意図したものなのですかね・・・
76をめぐる暴言

76をめぐる暴言

刈馬演劇設計社

ユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ) (愛知県)

2014/03/20 (木) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

なんて緻密な脚本
(ちょっと遅くなった感想ですが・・・)
 突如、観劇にハマって、ここ1ヶ月で10本以上の演劇を観ましたが、今のところ、この作品が一番面白かったです。劇中のあらゆる所作が伏線となり、無関係そうな登場人物が隈なく紐付いている・・・ちょっとやりすぎなんじゃと思えるくらい無駄なく話が構成されていて、よく練られた脚本だなと感じました。
 今後もこの方の作品を見ていきたいと思わせる作品でした。

零年

零年

空宙空地

損保ジャパン人形劇場ひまわりホール(愛知県)

2014/04/18 (金) ~ 2014/04/21 (月)公演終了

満足度★★★★★

一粒で二度美味しいというか、思わず二粒食べてしまうというか・・・
結局、長編2回、短編4回見てしまう、魔の構成が楽しかったです。2回見れば安くしてくれるし。

【アルジャーノン・・・】 
 Wキャストどころか、主役・準主役を入れ替えるってのは大胆な編成ですね。両方観ましたが、絡むシーンで妙な錯覚を起こして面白いです。両方、うまい役者さんで、人が変わっていく演技は見事でしたが、両方観るとどうしても比べちゃうので、引き受けたお二人は度胸あるな~と感心します。

【ウィザードリーマン・・・】
 長編を喰ってしまう、危険な短編でしたね。特に、「アルジャーノン・・・」の後に、"Z"を持ってくる日曜日の構成は冒険だな~と思いました(笑) スベリとウケの狭間の絶妙なノリを堪能しました。

【アナログ・・・】
 密かに怖い背景世界に背筋が凍りました。

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