背後からの観てきた!クチコミ一覧

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さらば、映画よ

さらば、映画よ

池の下

タイニイアリス(東京都)

2013/12/25 (水) ~ 2013/12/28 (土)公演終了

満足度★★★★★

現代を踏まえた形
昨年の印象を少なからず抱きつつ出掛けた公演。
しかし、蓋を開けてみれば何とも心地好いお芝居でした。
寺山修司という人物がどういった人間でとか、そうした事にばかり考えが向かいがちな寺山演劇の中で、初期も初期の作品という事もあってかは分からないが、猥雑さの薄い、心地好い作品であったように思う。

期待するものだったり、テーマや環境を含め、ある種の猥雑さを求める輩も多い中で、作品と真剣に正面から向き合ったのだろうという好印象が残った。

こうしたある意味で伝説級の人の作品は、こうでなけらばならないとか、こうあるべきだみたいなお芝居が求められる傾向にあるように僕は感じてしまっていて、だから寺山と言えば……みたいな万有引力の公演なんかは、作品がと言うよりも客席が気持ち悪くて敬遠してしまうのだが、今回池の下はとても楽しく見る事が出来た。
誤解の無いように付け加えるが、万有引力は、そこに甘んじる事を良しとした一部の雰囲気を外して考えれば、現代と向き合った積極性のある良い劇団だと思います。
アピールの仕方の問題なのかなぁ。
素人には難しいです……


言葉や風俗と同じで、時と共に移り変わるからこそ面白い演劇というものがあると、僕は思うんですが、今回の作品は前時代も現時代も一緒に楽しめて、同時に悩む事が出来る
、ある意味でとても寺山的なお芝居なんじゃないかなとも思いました。

いずれにしても演者さんがとても達者で、ちょっと言い方は変ですが、こんなに安心感をもって不安を感じる世界を体験できることは、なかなか他のお芝居では無い事だと思いました。

役者さんもさることながら、こうした作品作りをするのであれば、この先も足を運びたい劇団に数えていこうと思いました。

すごく良かったです。

盲人書簡ー上海篇ー

盲人書簡ー上海篇ー

月蝕歌劇団

ひつじ座(東京都)

2013/10/10 (木) ~ 2013/10/15 (火)公演終了

満足度★★★

寺山修司という人
寺山修司作品を観に行く事は結構多いのですが、いつも思うのは、会場にいる人が作品や劇団に惹かれているのではないような、寺山が好きだから来てるんだというような独特の拒絶感みたいな雰囲気を出している事が多い気がします。
近しい仲間と仲が良いのは仕方無いのでしょうが、こちらはやはりその雰囲気はある物の、どちらかと言えば寺山よりも劇団自体のファンが多いように感じられて、個人的には好感が持てました。
暗黒の宝塚と書いてあったように、出演者が女性ばかりなのも要因でしょうか。
程良いチープさの中に、ちゃんとお芝居を締めてくれる役者さんもいて、数年前に日暮里の方で同じ作品を観ましたが、僕はこちらの方が好みでした。

ネタバレBOX

全体的に若い印象というか、少々つたない感じの出演者が目立つものの、それが反対に良い味になってるようにも思いました。
ある種の統一感のようなものなのかな。だから、同じように決して上手ではない感じの男性出演者達が、僕にはどうにも邪魔に感じられ……
ボンデージのセクシーな女優さんが出て来た時にも、なんだか一人だけ浮いていて少しなじめませんでしたが、どうやらこの人がトップ?みたいな人なんですね。そういう位置でって思ってみれば、なるほど、暗黒の宝塚と思いましたが、作品の雰囲気としてはもう少し抑えてもらった方が観やすかったかなぁ……
好きだなと思ったのは、チャイナ服の姉妹を演じていた方達で、言い方は悪いですが、今一つお芝居になっていない全体をちゃんとお芝居に引き上げているなぁと感心しました。
あとで気付きましたが、姉妹の片方の人は先日拝見した鬼面組さんの藤原高子の方で、こりっち内でも気になる人に登録したクセに気付かなかった自分に少しヘコみました(笑)
小劇場にこういう役者さんがいると何だか少し安心します。

開場中に出演者が劇団のおみくじを販売していて、当たりくじだと稽古場写真がもらえるとの事で少し興味があったのですが、さすがにちょっと恥ずかしくて買えませんでした。

そうした点も含めてですが、ちょっと手作り感のある学園祭のような雰囲気という感じです。

個人的には、寺山作品はどれだけ寺山の殻から出て来たかが面白味だと考えてるので、劇団の持ってる色にちゃんと染められてるのは好印象でした。
無休電車【本日大千秋楽☆10/21(月)14時開演、当日券若干枚ございます!!!】

無休電車【本日大千秋楽☆10/21(月)14時開演、当日券若干枚ございます!!!】

劇団鹿殺し

青山円形劇場(東京都)

2013/09/27 (金) ~ 2013/10/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

初見ですが良い
観賞後の帰り道でも既に書き込まれている方達のような話しを耳にしました。
きっと以前から観ている人達にはそういう事なのかもしれません。
ただ僕はとても満足しました。
粗雑な感じの中に気取らずに放り込まれる浪花節。
愛情ある平手打ちとでも言いましょうか、やりたい事がはっきりしていて、作り手の皆さんがどれだけ真剣にそれと向かい合っているのかが伺える。
役者さんが集中して舞台にちゃんと立っているので、2時間観続けていてもダレない。
言い方は悪いですが、とても切なく暖かい全力の悪ふざけと言った感じでしょうか。
この公演以降の1年間は本公演をお休みされるとの事。その前に観に行けて良かったです。

「隠形の袖」(おんぎょうのそで)

「隠形の袖」(おんぎょうのそで)

鬼面組

シアターシャイン(東京都)

2013/09/26 (木) ~ 2013/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

絶対支援です!
こりっちは参考程度に覗いてて、他の人の意見なんかも、同じ物をどういう風に見たのかなって程度で見てたんですけど、何だかあんまりな書き方されててびっくりしました。
好き嫌いがあるのは当然なので、僕が好きと思うのと反対に厳しい意見が出るのも当然だけど、今回書いてる人のは厳しいじゃなくて貶めるに近いと感じちゃって、僕はものすごく楽しかったのにって、軽い憤りを感じて、そんな人ばかりじゃないんだって知ってもらいたくて初めて感想を書きました。
悪い事書きたい人達は必ず書くけど、良いと思った人達ってあまりこういう所に書き込まないですから、知らないで見た人達には悪い書き込みだけが情報に残ってしまう。それはすごく残念です。
こういう人達の片寄った物言いが、力のある集団の前途を閉ざしていくんだなぁって思います。
だから、僕は全面的に支援します!

確かに万人受けって感じのお芝居ではないと思いますけど、万人受けするお芝居って存在するものですかって思います。
存在したとして、それって毒にも薬にもならないつまらないお芝居の事なのではないかとも思います。
自己満足や自慰という表現を使う人が多くいますが、そうじゃない芸術作品なんて、どこに面白味があるんでしょうか。
少なくとも、作る人達が満足していないものを見せられたら、それこそつまらないしバカにしてますよね。
だから僕は、自分が楽しいと思った気持ちに従います。
自分の趣味に対して、久々の大ヒットだったのは確かです。
だから他の意見に少し腹が立ったのかも知れません。すみません。
きっと僕の書いた事に反発したり、気を悪くする人もいるんだと思います。
でも、僕も同じように感じたからこれを書いたんです。
子供のケンカをしてるような行為だとも思います。だから、ほんとうにすみません。
鬼面組さんの事を書く場で、言い合いみたいな事をして、その事もすみません。

もう終了している公演ですが、僕の感想はネタバレに書きます。

ネタバレBOX

場内に入ると、すでに舞台上で舞っている人が。
物語の序曲的な構成なのか、でしゃばらない程度の緩やかな導入に引き込まれる。
物語が始まってから分かったが、この人が在原業平の役だった。
開演前の30分を、ずっと一人で舞い続けて、そのまま本編の主役もとか、どれだけ高い集中力なんだと脱帽。
本編が始まると言葉がどうにも難しくて戸惑いはしたものの、音楽を聴くのと同じで、耳に心地好いリズムとか、フレーズのつながりとか、意味の分からない言葉なのにちゃんと意味が伝わってくるので、ただ座っていれば良いのだなとすぐに気が付く。
視覚的にもきれいなフォーメーションが展開されてたり、衣装もきれいで、それらが緩急自在の演出で見事に描かれていると思いました。
ただ、そんな舞台だから、もっと大きな場所で見たいなぁって思いました。

平安時代の形見への考え方みたいな事から、在原業平と藤原高子が離ればなれになっても、仲を裂かれても、最後には一つの気持ちの中に結ばれていくようなお話し。
物語が始まってすぐくらいで、ダンス?みたいなシーンがあって、そこで藤原高子役の人が短い舞を見せるのだが、これが開場中の在原業平の舞とリンクしていて、二人の未来を予感させる。
そうした細かな気配りが、物語のあちこちにさりげなく配置されていて、たぶん気付けなかったものもたくさんあるんじゃないかなぁ。

設定資料というのが配布されていて、個人的にはそうした資料が必要な舞台ってどうなんだと思う方なので、読まずに見ました。
終って少ししてから、そういえばと思って目を通してみたら、そこに色々と発見があり、これは始まる前の予備知識を与える為のものではなくて、終ってから更に楽しむ為のオマケだったんだなって思いました。

ジャンルが何かとか、そういうのは無関係に楽しめる作品。
というか、ジャンルが分からないと楽しめないとかおかしいです。

広い範囲で受けるものではないって、きっと分かって作ってるんだと思います。
でも、外から身を閉ざすような作品ではないので、片意地張らなければ誰でもすんなり入れるんじゃいかって思いました。
何にしても大ヒットです。
次回以降も期待します。

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