宝島
Project Nyx
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2014/02/07 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
夢のような美女劇
ザムザ阿佐ヶ谷の「星の王子さま」からのファン。毎回「濃い」芝居に酔っている。今回は未唯mieの主役が話題だが、「もう1人の主役」、佐藤梟のおしゃべりが良い。以前も出演しているが、今回は本領発揮。劇団文化座の小谷佳加、有賀ひろみが脇で支えているのも安心して観られる。そして代表の水島カンナ、いつもの味わい、おいしい役割を演じている。「かもめ…」では4バージョン、最近では3回は観ることにしている。そして私はNyx 版寺山修司になくてはならない音楽担当、黒色すみれの大ファンなのである。
星の王子さま
Project Nyx
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/09/16 (日) ~ 2018/09/21 (金)公演終了
満足度★★★★★
金守珍演出、サン=テグジュペリの原作を大切にしながら、寺山修司の世界を再現。人形劇はとても美しく原作を描いていました。
Project Nyxは、私がひとつの公演を複数回観に行く団体の1つです。「アングラ宝塚」と言うよりも、今回は「エロスのごった煮」という感じ。「白波五人男」をもじった5人の星たちのアンサンブル、芸劇で観ることが出来るパフォーマンスではないでしょう。最近のProject Nyxの傾向は、饒舌な佐藤梟の「狂言回し」が楽しい、傳田圭菜の美しい「人魚」の復活も嬉しい。勿論、黒色すみれ、そのテーマソングとも言える『永久に麗しく、すみれの花よ』、そして数々のオリジナル曲が、この『星の王子さま』の舞台を最高に盛り上げています。
黒色すみれの歌は寺山修司とも、サン=テグジュペリとも無関係な歌詞なのに、この舞台にぴったりはまるのはなぜなのでしょうか。そして終幕の天井から吊された布を使っての若林美保のエアリアルとのコラボが素晴らしい。前回の『奴婢訓』で度肝を抜いた若林美保のパフォーマンスの再現でした。
朝食まで居たら?
劇団青年座
俳優座劇場(東京都)
2016/09/08 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
想像通りの…
青年座の舞台を観たのは久しぶり。ただでさえ増えすぎている舞台。抑えなければ…でも、予想通りの良い舞台だった。津嘉山正種を初めて観たのは、新国立劇場の『野望と夏草』、存在感に圧倒された。今日は全く異なるキャラクターだったが、さすがの俳優。立派な舞台装置の中での卓越した演技の3人芝居、2時間半、十分、楽しめた。
遺産
劇団チョコレートケーキ
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2018/11/07 (水) ~ 2018/11/15 (木)公演終了
満足度★★★★★
戦時中の日本軍、満州で細菌兵器を作った731部隊の話。決して目新しいテーマではないのですが、登場人物の台詞、話の構成が巧みなのです。普通の人間が「組織」や「命令」を理由に凄惨な実験を繰り返した731部隊。しかし研究者としては至福の時だったと回顧する老医師の告白は科学者の性なのか。淡々と語られる中、戦争の闇の部分をこのような形で舞台化することは、とても現代性があると感じました。劇団チョコレートケーキと言えば、浅井伸治、岡本篤、西尾友樹が中心の芝居なのですが、劇団桟敷童子の原口健太郎が客演、とても存在感のある役どころでした。
ありふれた愛、ありふれた世界
雀組ホエールズ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2016/06/08 (水) ~ 2016/06/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
笑って泣けてほっこりする
重いテーマを「笑い」の中で具体的に考えさせてくれました。また単にハッピーに終わらせるのでない終わり方も感心しました。タイトル「ありふれた愛、ありふれた世界」もうまい。テーマ音楽もあり、意欲的な作品に仕上がってます。
イキザマ3
RISU PRODUCE
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/12/05 (水) ~ 2018/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
会場は女性客が多い。それも若い方を含む様々な年代。こんなに男ぽい芝居、女性客の多さに驚きました。ほとんどの人が経験してない応援団の世界の話。でも、ひとつの部活動の出来事と考えれば、誰でも心当たりはあるかも知れません。話が進む中、目頭を押さえる観客が増えていきます。
『イキザマ3』は18歳の青年の成長物語、団員間の心の触れあいを描いています。この芝居、最初の場面と最後の場面の主役の2人は、別人のように人間的に成長した姿を演じていました。そして彼らを支える応援団員の演舞の技量と笑いを誘う真面目すぎる演技の面白さが最高でした。裏返すと、RISU PRODUCE のメンバーを中心に、主演の2人を客演で代えることで、また新たな感動が生まれる作品でもあるのです。次の「再演」の楽しみが出来ました。
明日は風のない日
劇団文化座
文化座アトリエ(東京都)
2014/04/26 (土) ~ 2014/04/30 (水)公演終了
満足度★★★★★
何て素晴らしい舞台なのだろう!
松田正隆作「明日は風のない日」劇団文化座アトリエ公演。
本公演でなくても決して手を抜かない劇団。舞台のセットもしっかりしている。
地味な俳優が多い中、最近、Project Nyx「宝島」に客演した小谷佳加がいる。「宝島」では海坊主キムで、個性的というか、美人さんにはもったいない。
この舞台では原爆症の不安で結婚を躊躇う難しい役どころ。とても同一人物には思えない演技力。小さな舞台だが、心に響く芝居だった。劇団文化座、佐々木愛さんだけでなく、素晴らしいアーティストがたくさんいる劇団です。
ミュージカル『高松心中』
片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/08/09 (水) ~ 2017/08/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
久々によく出来た和製ミュージカル。最初の15分で引き込まれました。何より、7人のダンサーが生きている。たまに見かける「ラジオ体操」のような振り付けで全員で踊るのは勘弁してほしい。今日は歌もダンスも上手いし、「本」もしっかりしていた。「人は幸せになるために生まれてきた」「終わりの無い旅」など、説得力ある台詞も多く、笑わせるだけで無く、考えさせる芝居であることも良かった。
さよなら、先生
おおのの
シアター711(東京都)
2016/04/20 (水) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
お薦めです!
「さよなら、先生」とは、未完の小説『グッド・バイ』の話と太宰治の生き方を重ね合わせた舞台です。個性溢れる俳優を、90分の中で生き生きと活躍させる演出も見事。「I Love ダザイ」と言うか、「I miss you, ダザイ」というか、太宰「愛」を感じる作品でした。
パラベルプルプリナ
PINK DRUNK
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2019/08/29 (木) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
前半はこの芝居の世界に入り損ない何だか分からない。しかしポップコーンジョッキーが出てくるあたりから面白くなりました。舞台美術やユニークな衣装に、私が戸惑ったのかも知れません。前半は、歌が終わっても反応が今ひとつ、客席を巻き込んだパフォーマンスや「客いじり」以降がぐっと盛り上がってきました。女性だけの舞台、その良さが出ているような。個性的な登場人物、男の会話には無いガールズトークの面白さと迫力を感じました。
『ラクゴ萌エ』
ラチェットレンチ
d-倉庫(東京都)
2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
『ラクゴ萌エ』、タイトルから「落語家を志す少女の面白可笑しい話」程度に考えて観に行きました。前説で、普段はサスペンスをやる劇団、ふと不安が…、落語を上手く出来るのかなあ? いや不安に反して、面白かった。内容もあった。話の落ちは述べませんが、最後の桜舞うエンディングまで十分楽しませてもらいました。落語のしゃべりをすべて落語としてやるのでは無く、複数の役者が立体的に演じるのが上手くいった理由の1つだと思います。勿論その場合も、扇子と手拭いを小道具として使ってました。それにしても俳優さんが良い。特に、「だんまり」役の井上賢吏さんの身体を張った熱演が印象に残りました。
糸瓜咲け
URAZARU
上野ストアハウス(東京都)
2019/10/02 (水) ~ 2019/10/08 (火)公演終了
満足度★★★★★
真面目な芝居、俳優陣の熱演が嬉しい。子規の妹、律が案内役を兼ね、分かりやすい導入。登場人物に個性があり、125 分、飽きさせない展開でした。敢えて言うと、ラストは引っ張りすぎ、もう少しあっさり終わって欲しいと思いましたが、あくまでも私の印象。2017年文学座で正岡子規の青春を描いた『食いしん坊万歳!』が印象的な良い舞台でしたが、今日の作品、演劇に真摯に取り組む姿勢に心が打たれました。
morning sun 晩夏/初春
第27班
テアトルBONBON(東京都)
2017/05/10 (水) ~ 2017/05/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
大学4年の春。まもなく卒業。色々なことがあった。様々な大学生の生活を描いた恋愛群像劇でした。先ずは舞台セットが面白い。それほど大きいとは言えない舞台に、いろいろな「場所」が丁寧に作られている。従って場面転換が速い。数カ所の出来事がライトの当て方で替わる。上手い、上手すぎる。話は非現実的ものもあるが、面白い。2時間を超える舞台だが、中間部の擬人化した動植物の話、脚本のバランス感覚が素晴らしい。
燦々
劇団BLUESTAXI
テアトルBONBON(東京都)
2019/11/26 (火) ~ 2019/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
大劇場では感じることが出来ない、小劇場だからこその繊細な芝居。1997年結成から第33回、丁寧に積み重ねてきた良い舞台でした。脚本、キャスト、とても良い。
パズル
A.R.P
小劇場B1(東京都)
2020/01/28 (火) ~ 2020/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白かった。数多くの古い絵画が飾られた喫茶店。結婚詐欺師、刑事、探偵、マスター、YOUTUBER、くたびれた夫婦など、前半でそれぞれの背景をちゃんと描いている所が良い。私は、コメディというのは演じるのにとても難しいと思っています。変な服装や動作、下ネタなどで笑いをとるのは好きではありません。その点、今日の舞台、感心しました。前半の布石が生きている。そして、一見解決したような雰囲気で終演かと思っていましたが、きちんと登場人物のこれからも整理して終えました。「お笑い」で終わらない、芝居のレベルの高さを感じました。
モスクワ 1980
昭和芸能舎
赤坂RED/THEATER(東京都)
2020/07/18 (土) ~ 2020/07/24 (金)公演終了
満足度★★★★★
物語をテンポ良く進める羽原大介の脚本、演出が良い。笑わせ、そして泣かせます。1980年を描いているようで、2020年の日本の姿と重なります、スポーツ選手の頑張り、一方、政治とスポーツとの関係。メディアの役割。薄っぺらな政治、社会批判で終わることなく、熱い家族愛に支えられた上質の人間ドラマ。劇団員の方、ここに参加した俳優陣、素晴らしい。今、芝居が出来る彼らの喜びが伝わりました。ラストは男子シンクロチームが舞台上「水無し」で演技をします。前回の女性陣のフラダンスに負けず劣らず、今回の男性陣のパフォーマンス、必見です。昭和芸能舎としての最後の集大成、目撃しましたよ。
第73回「a・la・ALA・Live」
a・la・ALA・Live
座・高円寺2(東京都)
2022/04/07 (木) ~ 2022/04/07 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
これは芝居ではありません。様々なジャンルのパフォーマンスが一堂に会するアラカルト、大道芸です。色々な芸が、4人のパフォーマーよって演じられました。
・Spring has come・・荒山昌子《一人芝居》
・みま1・・みま《オペラ座の道化師》
・Dancing generation・・荒山昌子
・いま、~improvisation 女生徒~・・バーバラ村田とアラライズ《パントマイム》
<休憩>
・講談・・神田織音《講談》
・みま2・・みま
・Refresh season・・荒山昌子
・みま3・・みま
・Reborn・・荒山昌子
「みま」の3回のパフォーマンスに感動。曲目は、「乾杯の歌」『椿姫』より、「オー・ソレ・ミオ」、「夢やぶれて」『レ・ミゼラブル』より。「聖者の行進」、「トルコ行進曲」。「誰も寝てはならぬ」『トゥーランドット』より、「夜の女王のアリア」『魔笛』より。「乾杯の歌」の1人二重唱に驚き、「夢やぶれて」では自身の人生に重ね、持参の新聞紙を破きます。しかし、それはマジック、破れていない、「自分の夢」は破れていないのです。上手い! 難曲と言われる「誰も寝てはならぬ」、「夜の女王のアリア・復しゅうの心は地獄のように胸に燃え」、歌が巧いだけで無く、十分演技で笑わせるのでした。
LADYBIRD,LADYBIRD
アリー・エンターテイメント
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2016/05/06 (金) ~ 2016/05/08 (日)公演終了
満足度★★★★
来年に続きます
虫かごの中のムシたち話。単なる子供向けの作品では無い。ミュージカルだからこそ幅広い年齢の観客を楽しませることが出来るのでしょう。私は「大人になってわかったこと」が印象に残った。出演者全員が一生懸命、特に今日は楽日、熱気が伝わりました。
出張診療所
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2016/11/30 (水) ~ 2016/12/04 (日)公演終了
満足度★★★★
良い芝居なのだが…
劇団芝居屋の舞台は『ラバウル食堂』から観ている。特別な事件が起こるわけではなく、日常を丁寧に描く芝居、私の好きな部類に入る舞台である。今回の話は、大学病院に勤めている主人公の女医が、病気の父の代わりに僻地医療をする中で、医者の仕事の意味を再認識し成長していく姿を描いている。確かに良い話ではあるのだが、若干、先が読めてしまう点がもったいない。俳優も上手く、安心して観ていられるのだが、もう1つ何かを期待するのは欲張りすぎなのかなあ。
「15」
雀組ホエールズ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2017/11/15 (水) ~ 2017/11/26 (日)公演終了
満足度★★★★
タイトルが「15」、確かに、いろいろ「15」がありました。先ず、15人の役者のキャラが良い。喜劇に登場する人物らしく存在感抜群。でも私は、最初で引っかかってしまいました。銀行強盗の犯行動機。喜劇とは言え、私は未消化のまま、ついて行けなくなりました。嘘でも「リアリティ」がほしい。いろいろ工夫している展開や構成、評価はできます。面白い! うん、もう一皮むければ。。。