山月記の夜
劇団SOFT GEAR
岡山禁酒會舘 中庭(岡山県)
2013/10/25 (金) ~ 2013/10/27 (日)公演終了
満足度★★★★
壱組:「これがソフトギアの実力だ!」
脚本・演出の福井女史もブログでおっしゃられてたのですが、企画・・・というか、この公演自体がとても斬新で興味深かったです。
まず「野外劇」の会場。大正時代に建てられたこの木造建築を、中庭の客席から見上げると、木造アパートの階段や通路の如き光景が広がっているのです。そう、なんと予算も手間も労せずして、2階建てのセットをちゃっかり調達しちゃってるんです。これはアイデアの勝利ですね。
「朗読劇」というのは、元ネタである「山月記」の内容と、台詞以外の“ト書き”をまんま読み上げてストレートに観客に伝える為の方法。だけど不思議な事に、整理された文語体っていうのは案外すんなり頭に入ってくるのです。
そして「トリプルキャスト」!!! 4人×3組、代役を除けばダブリ無し。しかも稽古は別々、他所のチームがどうなっているのか、知っているのは演出(1人で3通り!なワケだ)の福井女史と裏方だけ。このミステリアスさに、ギアファンは「全チーム制覇!」を決めたのです。
・・・で、壱組です。
スター赤木による“男”と大女優ゾエンヌ様による“女”。「ハズレ無し」のこの二人が飾る千秋楽(初演は初演で、嵐を呼んで大雨警報まで出してまさかのホール上演となりましたとさ。)は超満員。新人の友森さんは、はきはきとした語り口。重さんも淡々とした朗読。最もストレートな剛速球的「山月記の夜」・・・のハズなのだが、スターのアドリブや台詞のプチ変更が結構多かったのが、この“チームドラゴン”。流石、遊び心は忘れない。ちなみに、「男が今迄に聞いた事の無い声」については、一番凄みがあったのが(それ以外は一番明るい女なのに・・・)ゾエンヌ様でした。
Hanger Boy
おぼんろ
ルネスホール(岡山県)
2013/10/20 (日) ~ 2013/10/20 (日)公演終了
満足度★★★★
来年はウマ年だし。
脚本演出主演全て末原拓馬、末原100%!な「ハンガーボーイ」。初めて観させて頂いた末原さんの舞台が、この作品です。まずはその「機会」に巡り逢えた事に、とても感謝しております。
舞台への評価は、満点でもいいという向きもあるのですが、でっかい「大志」を抱いている彼には、まだまだ伸び代がある筈なので星1コ保留しときます。上手く説明出来ないけど、何かが足りない、・・・そんなカンジです。
でも、「おぼんろ」の本公演が岡山に来たら、絶対に行きます。もちろん独り芝居でもトークショーでも大歓迎です。来年の飛躍に期待しております。
letter〜アンドロイドが紡ぐ歌〜
EN劇集団さんたばっぐ
倉敷公民館(岡山県)
2013/10/05 (土) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
良い舞台だったと思います
演劇のみならず、映画・アニメ・ゲームといったエンターテイメント全般に精通しておられるA井氏のシナリオは、ものすごくち密で急テンポで構成されていて、私の様な回転の鈍い人間に「展開についてゆけない」感を抱かせる事があったりしました。でも今回はパラレルやパラドックスも無しの、(飛び飛びではあるが)時間軸に沿ったストレートな進行で、観ていて「世界に入って行き易い」お話でした。
特筆すべきは主役(!?)の植田氏。微動だにせずただ立っている時間の、なんと長い事か。台詞は無くても、立派な「演技」ですよ、これは。更に、随所で散りばめられる彼の「歌」が、絶妙なタイミングの「インターバル」になっていて、殺伐とした展開の途中でも、こちらの気分をかなりゆったりさせてくれました。
“お約束”を裏切るラストも、「その先」を予感させる、余韻を残したと云えばそれまでかな。人間もアンドロイドも、いっぱい死んで、無茶苦茶暗い話だったはずなのに、とても軽やかな気分でホールを後にする事が出来ました。
『Lunch Time Jam!』
(劇)アリクイロケット
上之町會舘(岡山県)
2013/07/04 (木) ~ 2013/07/07 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しい作品でした。
ドタバタじゃなく、話の展開や会話のテンポで笑わせる、というのが「シチュエーションコメディ」、なのかな・・・勉強不足で恐縮ですが。
役者の個性がうまく生かされたひと癖もふた癖もあるキャラクター達の賑やかな8時間を、途中の「修行&お掃除」を超端折って(カツゼツしてるのかと思った~)、1時間に纏めています。ありきたりなネタかもしれませんが、絶妙のタイミングで飛び出す「意外性」でついつい笑ってしまいます。
この回は終演後「アフタートーク」があって、観客からの質問に、演出のタゴさんが答えて下さいました。ちょっと得した気分です。最終公演の後もアフタートークがあるそうですので、タゴさんのファンと、質問好きの方にはお勧めかもしれません。2回目以降は500円で入場出来るというのもリピーターには嬉しい企画です
社長、帰ってきたってよ。
劇団SOFT GEAR
奉還町りぶら(岡山県)
2013/06/01 (土) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
シュールバージョン・・・?
“1週目と2週目で、演出が異なります” と聞いて、リピートを即決。かつて「いるじおん」という、“全回どっかが違う”作品があったから、今回は “キャストとシナリオが同じで、間合いや演技がブラックぽく変わるのか?” なあんて勝手に予想してたのですが・・・ごめんなさい、違いが良く解りませんでした。確かにメイクが不気味に濃かったり、ネタがちょこちょこ変わってたのは気付いたのですが・・・あれっ?
まぁ、笑えたのは笑えたから・・・やっぱ面白かったのは面白かったんですけどね。
社長、帰ってきたってよ。
劇団SOFT GEAR
奉還町りぶら(岡山県)
2013/06/01 (土) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
「どうぞ笑いに来てください」ってカンジ。
前回の「花笑み」の号泣イメージを故意にブチ壊そうとするかの如きドタバタコメディ。ソフトギアはコメディも素晴らしいのを、知らない人も多いかもしれませんものね。
一寸失礼な言い方かもしれませんが、人間の生き様だの、機微だの、小難しいテーマは今回一切窺われません。ただただ、ギアメンによる濃~いキャラ達の馬鹿馬鹿しい競合と、インプロとも取れるなりきり芝居に大笑いして終った90分。ストーリィ性が希薄なのでやや物足りなさも感じましたが、もうこれはこれとして「笑えた者勝ち」、かもしれません。
「やっちもねぇ~。でも涙出る程笑ったからいぃっか。」・・・そんな一本です。