別役実のいる宇宙 =新旧書き下ろし連続上演=
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2007/06/15 (金) ~ 2007/07/05 (木)公演終了
満足度★★★★★
数字で書かれた物語
昨日とはうってかわって最前列の席。粗が見えるときは耐えられない席だが、そんなことはなく、話と演技に引き込まれた。こんな作品、いいんじゃないかな?丁寧に演出されていたし、演技もしっかり嘘つかずにやっていたし。
別役実のいる宇宙 =新旧書き下ろし連続上演=
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2007/06/15 (金) ~ 2007/07/05 (木)公演終了
満足度★★★
犬が西むきゃ尾は東
深く考えさせるという意味で興味深いものだった。
隣の席に作家がいてその隣が演出家だったので、こちらも気合を入れて観た。
中途半端に笑うのは嫌だし、かといって眠くなるのを我慢するのも嫌で、緊張を保ちながら観ることができ、だからこそ、戯曲の本質をつかもうと努力した。が、やはり分からなかった。自分なりにはこんな世界だといえても、はたしてあたっているか?隣の別役さんに質問したいくらいだった。
役者の演技は普通。感心するほどではない。ということは、ダメな演技だったかな?断定はしないけど。
毒と音楽
あひるなんちゃら
王子小劇場(東京都)
2007/06/20 (水) ~ 2007/06/25 (月)公演終了
満足度★★★★
ふむふむ
友人が出演していたので、観ました。
タイトルが遠藤周作の『海と毒薬』を連想させるなあ、とずっと思いながら観ました。
劇団の名前は聞いていたし、友人がそれに出演を繰り返していることもとちらと知っていたので、興味がありました。
はじめの場面と次の場面と流れていくうちに、あるスタイルというか、ある意志を感じたので、無目的な上演ではないことを見て取れました。
おおむね良い印象なのですが、娯楽的な領域の範囲内のど真ん中の演劇で、この印象がどれだけ記憶に残るかは確証はもてません。
いい印象というのは、音楽と効果の使い方に一貫性と演出があったからです。音のはずれた音楽、多くの場面にはいるボッという効果音、バーの場面での音楽が、どこかはずれた人間たちと奇妙にマッチしていて、物語のドラマトゥルギーの直線的な進行を、右に左に揺るがしていて、心地よく揺さぶってくれたことでしょうか。
俳優の演技は宙ぶらりんの具合が、よくもあり、また難点をいうと、戯曲の枠からはみ出ない安全すぎるところがあり、人間的な姿が感じ取れなく物足りない、つまり上演時間だけに印象に残るものであったと思います。
おおむねいい印象を受けたのは、ことば遊びや、ギャグや、つっこみ・ぼけといった装飾的なものでなく、不条理な行動をしたり、せざるをえない人間の姿が写し出されていて、それを過不足なく表現できていたからだと思います。ま、先ほども言ったとおり、それ以上の不条理、まったく謎になってしまうほどの不可解な姿はなかったので、物足りなくはありますが。
客入れの制作さんの仕事の印象はあまりよくありませんでした。こちらは平均以下かな。
自分のブログでもこの公演の音のことを考察してみます。よかったらのぞいてください。
西部の娘
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2007/04/15 (日) ~ 2007/04/27 (金)公演終了
満足度★★★
うーむ。。。
まず、演出家のホモキが持ち出したテーマ、移住者の心、祖国を失った者のテーマは、パンフレットを読むまでもなく、理解でき、また常にそこを底辺とした物語になっていて、しかも明確に描き出されていた点は感心する。終始一貫、根無し草的な人間が、ある仕事、ある事情で集うこと。移住の国。放浪が大いに許容される国。終幕に合唱で「もうあのふたりは戻って来ない」というところでは、テーマの対するひとつの回答が提出されていた。
この、テーマに基づき、その文法で物語を語るという、演出家の手法は、常套であり、また正統でもあるのだが、この上演のように、単純明快に提出されている事例に出会うことは、あまり多いとはいえない。今回の上演がまるで底の浅いものと勘違いしてしまうくらいだ。
ただし、ダンボールの舞台装置、なにが詰まっているのか最後まで分からなかったカートの荷物、多国籍を説明しすぎて無国籍になった衣装は、まったくの失敗だとぼくは思う。
物語の主題を抽出するときのホモキは、明快で思い切っているのだが、それを視覚で語るときの手法は説明過多であり、本質の抽出は見当たらなかった。舞台装置、小道具、衣装のなにかひとつのものが、移民の悲しみを語るものとして特権化してはじめて、舞台上に存在できるものなのに・・・字幕によって、ああ、あの場面は酒場だったのね、ああ、原本ではドアがあったのねとわかるようでは、興ざめしてしまう。