kanameの観てきた!クチコミ一覧

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柘榴ノ森

柘榴ノ森

演劇ユニット 金の蜥蜴

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2007/08/31 (金) ~ 2007/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

「柘榴の森」
本日は久々の観劇。
ということで、演劇ユニット金の蜥蜴公演「柘榴ノ森(ざくろの
もり)」を観てきました。(2007.9.2 at 神楽坂die platz)

ネタバレBOX

今回は、ざっくりといえばテイストとしては二回目の公演の「赤
月夜」、展開としては三回目公演の「うなさかのうた」という感
じで、プラス、夏らしくホラーというかテラーっぽい感じな作品
でした。

最初、今までの公演の刷り込みがあったせいか現代劇(近代劇?)
な始まり方に軽い驚き。(おお、そう来たかという感じの。)
ただ、時代設定が本当に現代なのかそれともある程度昔の話なのか
服装コードでとまどってしまった感あり。
回想がたぶんある程度少し昔であろう事は、台詞の一部(メイン
の話に「車の中にアンパンが」のくだりがあるのに対し「米国」
という言い方を回想ではしているので)から想像できたのだけれ
ど、ここらへんも服装コードを明確に分けることでもう少しはっ
きりしたのかなと。
もしくはいっそのこと回想も同じ時制の圏内(例えば現代)にし
てしまったほうが都市伝説的な雰囲気が出て良かったかも。
もしくは50年以上の単位での時間差が。
まぁわざと曖昧にしたのかもしれないけれど、あくまでも個人的な
好みという事で。

後は、「能」的な部分が(全体が短いという意味では比率として
は同じくらいなのかもしれないが)今までと比べてインパクトが
少なかったのが少し残念か。


とはいいつつも、ハーフスクリーンの使い方や生琵琶などは良かっ
たし、話の構成、展開、というよりは脚本としてとても気に入り
ました。
暗転ークライマックスー暗転のくだりは、それまでの展開で予想は
できていたも鳥肌ものでしたし、ここに落としたかという意味で
もうまいなと思いました。
惜しむらくは、芝居としての練り込みが足りないように見えた事。
もっと練り込んでいけば、もっと面白いものになりそうなものが
見えているだけに。


そういう意味で再演希望ですな。
朧の森に棲む鬼

朧の森に棲む鬼

松竹

新橋演舞場(東京都)

2006/12/29 (金) ~ 2007/01/27 (土)公演終了

満足度★★★★

最後が少し残念
「朧の森に棲む鬼」を観てきました。
(2006/01/06 at 新橋演舞場)

(以降、いきなりネタばれでグダグダなので要注意)

ネタバレBOX

敵の敵は味方という感じで集まるパートはやはり真骨頂。

一方で残念だったのは、最後の台詞がマイクにかかった水のせい
で聴き取り不可能になってしまったこと。
最後の大見得が意味不明になってしまった。


新感線の芝居ももう何度か観てきたせいか、伏線の張り方も分か
ってきて、振られた時点で、あとはこれをどの時点でどういう風
にして落とすのかを待つようになってきた。
ただし、それを除いても、今回はカタルシスを感じる部分が少な
かったような気がするのは気のせいか。
カタルシスを感じさせるにはライが朧の森の主たちの力を簡単に
受容し過ぎたところが分かりづらくなってしまった要因かなあ。


話とキャラ(性格と外見)は、手塚治虫っぽい部分がちょっと好
きだったりする。(話としては「百物語」あたり。)
まぁ「百物語」は「ファウスト」がベースだったりするし、それ
以前にあれとは違って主人公は黒いし、そもそもベースはシェー
クスピアっぽいから…
ううむ、書きながら訳判らなくなってきた。




舞台の仕掛けは照明効果も舞台装置も相変わらず凄いなぁと思う
し、そもそもが好きな題材やキャラだったのだが、それ故に余計
あともう少しが欲しかったかなあということで。
うなさかのうた~海境之謡~

うなさかのうた~海境之謡~

演劇ユニット 金の蜥蜴

ブディストホール(東京都)

2007/03/01 (木) ~ 2007/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

しっかりと堪能させていただきました。
「うなさかのうた−海境の謡−」のマチネの回を観てきました。
(2007/03/04 at 築地本願寺ブディストホール)


中央付近の席で前の人の背が少し高かったので舞台中央が見えづ
らい場所ではあったのですが、小屋は前回公演の「赤月夜」より
大きな小屋であったので、全体の鑑賞にはなんとか困らない程度。

で、今回も(というよりはこのユニットのコンセプトである)
能と芝居の融合ということでより多くのものを楽しむ事ができ
ました。

ネタバレBOX

惜しむらくは舞台の広さ(というよりは構造?)
前回よりも役者が増え、殺陣や能のスケールも広がった分、もう
少し広い舞台で観たかったかな。小屋の規模は大きくなくても
例えば赤坂DIE PLATZみたいに客席とシームレスで広々と演じ
られるところのほうが、より伸び伸びと演じられる事が出来た
かな。
その状態で照明などの演出効果も今回のように凝っているのを
やってもらえればなおベスト。
観ているとそれだけの可能性がいろいろな部分で見えている
ので、それがなおのこと残念でした。

とはいっても、能にしても殺陣にしてもキャラの立て方にして
も内容にしても良前回よりさらにスケールアップしたようで良
かった。

能は、前半の善如による芝居とのシームレスなものも、不比等
の少々ユニークな現代語訳の舞も凄く今後の可能性を感じられ
たし、後半の見せ場となる龍神祭の不比等と善如と竜女たちの
シーンに至っては本職能楽師の山井綱雄に対して暮川彰と女性
陣がある種束になってかかって行くという芝居上と現実の二重
の構図に見えて面白かった。(そのために暮川彰自身が前回よ
りやや引いた位置にいるというバランスも。)

笑いに関しては、これも詰め込み過ぎるとバランス悪くなるの
でやや抑えめにしたのかな。その分人数が多くてもそれぞれの
キャラを立たせるシーンがけっこうありバランスよかったと思
います。

殺陣はホント奇麗なのでもっと観たいという欲求にかられたなぁ。
能の方はそれじたいの密度の濃さがあったので、それとのバラ
ンスとして同じ尺、同じものでももっと広い場所であればより
生き生きと出来たような気がしました。
また、この殺陣が今回の山口喬司演じる沙羯羅のキャラクタの
良さを思い切り引き立てていたように思います。

キャラ立ては役割がはっきり分かれていてうまかったなぁ。
というよりは各自見せ場ありな上にそれぞれがはまっていて、
安心して観ていられました。

唯一もう少し欲しかったのが、山井綱雄一人二役のひとつと
なる房前のキャラクタ。不比等との色分けが見え隠れしていた
のですがここはもう少し落差を作って欲しかった。そうすると
ラストがより生きてきたのになぁとそこは少しだけ残念。

で、話の展開も根っこの話がしっかりしている分、奇麗に落ち
着いて膨らませられていて「ここがこういう形で発展する」と
いうことをあざとく感じる事も無くみせることができていて
素晴らしかった。
前回も感じたのですが、何よりも話としてのうまさを感じま
した。
ブレが無い分芝居の方も突き詰めていくとなお面白くなりそう。

キャストにしても舞台効果にしても凄く可能性を感じる分、
強く思いました。

ということでしっかりと堪能させていただきました。
次回も楽しみにしています。

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