うなさかのうた~海境之謡~ 公演情報 演劇ユニット 金の蜥蜴「うなさかのうた~海境之謡~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    しっかりと堪能させていただきました。
    「うなさかのうた−海境の謡−」のマチネの回を観てきました。
    (2007/03/04 at 築地本願寺ブディストホール)


    中央付近の席で前の人の背が少し高かったので舞台中央が見えづ
    らい場所ではあったのですが、小屋は前回公演の「赤月夜」より
    大きな小屋であったので、全体の鑑賞にはなんとか困らない程度。

    で、今回も(というよりはこのユニットのコンセプトである)
    能と芝居の融合ということでより多くのものを楽しむ事ができ
    ました。

    ネタバレBOX

    惜しむらくは舞台の広さ(というよりは構造?)
    前回よりも役者が増え、殺陣や能のスケールも広がった分、もう
    少し広い舞台で観たかったかな。小屋の規模は大きくなくても
    例えば赤坂DIE PLATZみたいに客席とシームレスで広々と演じ
    られるところのほうが、より伸び伸びと演じられる事が出来た
    かな。
    その状態で照明などの演出効果も今回のように凝っているのを
    やってもらえればなおベスト。
    観ているとそれだけの可能性がいろいろな部分で見えている
    ので、それがなおのこと残念でした。

    とはいっても、能にしても殺陣にしてもキャラの立て方にして
    も内容にしても良前回よりさらにスケールアップしたようで良
    かった。

    能は、前半の善如による芝居とのシームレスなものも、不比等
    の少々ユニークな現代語訳の舞も凄く今後の可能性を感じられ
    たし、後半の見せ場となる龍神祭の不比等と善如と竜女たちの
    シーンに至っては本職能楽師の山井綱雄に対して暮川彰と女性
    陣がある種束になってかかって行くという芝居上と現実の二重
    の構図に見えて面白かった。(そのために暮川彰自身が前回よ
    りやや引いた位置にいるというバランスも。)

    笑いに関しては、これも詰め込み過ぎるとバランス悪くなるの
    でやや抑えめにしたのかな。その分人数が多くてもそれぞれの
    キャラを立たせるシーンがけっこうありバランスよかったと思
    います。

    殺陣はホント奇麗なのでもっと観たいという欲求にかられたなぁ。
    能の方はそれじたいの密度の濃さがあったので、それとのバラ
    ンスとして同じ尺、同じものでももっと広い場所であればより
    生き生きと出来たような気がしました。
    また、この殺陣が今回の山口喬司演じる沙羯羅のキャラクタの
    良さを思い切り引き立てていたように思います。

    キャラ立ては役割がはっきり分かれていてうまかったなぁ。
    というよりは各自見せ場ありな上にそれぞれがはまっていて、
    安心して観ていられました。

    唯一もう少し欲しかったのが、山井綱雄一人二役のひとつと
    なる房前のキャラクタ。不比等との色分けが見え隠れしていた
    のですがここはもう少し落差を作って欲しかった。そうすると
    ラストがより生きてきたのになぁとそこは少しだけ残念。

    で、話の展開も根っこの話がしっかりしている分、奇麗に落ち
    着いて膨らませられていて「ここがこういう形で発展する」と
    いうことをあざとく感じる事も無くみせることができていて
    素晴らしかった。
    前回も感じたのですが、何よりも話としてのうまさを感じま
    した。
    ブレが無い分芝居の方も突き詰めていくとなお面白くなりそう。

    キャストにしても舞台効果にしても凄く可能性を感じる分、
    強く思いました。

    ということでしっかりと堪能させていただきました。
    次回も楽しみにしています。

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    2007/03/05 20:52

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