tamagawaya_ucが投票した舞台芸術アワード!

2016年度 1-10位と総評
アマハラ

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アマハラ

維新派

関西のアングラ演劇の雄・維新派、主宰・松本雄吉死去による最終公演。

物語・台詞・陣形・振付・仕掛け、全てが凄まじい濃度かつ緻密な、狂気じみた崇高な世界。
劇場の外には円形劇場のような屋台村が展開、原始的な活気あふれる異界を作り上げる。

公演終了後も各地で映像上映会が開催。
ギリギリで観れた事に感謝。

『ラストパイ』 『テトラへドロン』より抜粋

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『ラストパイ』 『テトラへドロン』より抜粋

公益財団法人愛知県文化振興事業団

BATIK・黒田育代が愛知オーディションメンバー32人へ、レパートリー演目を徹底的に振付。

振付・音楽・照明・ 衣装、どの要素も、キレイだけではないクセのある魅力。
それを踊るのが一般参加者というのが最重要。

40分のソロを旗印に、各ダンサーが何かを相手に命のやり取りをする時間が連なる光景。
奉仕であり報酬である体験。

パラドックス・ジャーニー

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パラドックス・ジャーニー

劇団あおきりみかん

生・死・脳内・空想が混在した、位相SFハートフル人情劇。
迫力ある観せ方・巧みな回収も光る。

フィリップ・K・ディックや寺山修司を思わせながら、作・演出の世界観を感じさせるエンターテインメント。

橋の下歌舞伎

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橋の下歌舞伎

ハラプロジェクト

愛知・豊田市の豊田大橋の下に、歌舞伎小屋と屋台村が出現!
まさに河原乞食の世界を創造、維新派を思わせる異界。

古典歌舞伎「勧進帳」「俊寛」を、基本線は変えずに日本人好みのアレンジ。
特に、原作にない殺陣(弁慶の大暴れ・俊寛の仇討ち)が流れにハマる。

溶け出す身躯

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溶け出す身躯

劇団 pH-7

小規模なギャラリー公演ながら、名古屋の濃厚なアングラパフォーマンスを一手に見て取れたショーケース。

この種の個人パフォーマーは発信力が弱いのが常なので、こういう機会がもっと頻繁にあると、観客としてもパフォーマーとしても嬉しい。

地点『スポーツ劇』

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地点『スポーツ劇』

KAAT神奈川芸術劇場

京都の知的クセモノ劇団・地点を横浜・KAATで観劇。

八百屋どころではないビッグウェーブな舞台で、正確に演技を繰り返すコロス達。
訳が分からないわ途中眠いわ、なのに最後まで目が離せない。多分深刻な内容を深刻でない見せ方で。

あまり演劇を観なさそうな観客が、素で笑ったり感心したりしていたのが印象的。

治天ノ君【次回公演は来年5月!】

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治天ノ君【次回公演は来年5月!】

劇団チョコレートケーキ

こりっちアワード2013受賞・再演ツアーの愛知公演。

タブー的なテーマ「消された天皇:大正天皇」をモチーフに、観客それぞれのアイデンティティにも重なる、普遍的な人間存在の苦しみを描く。

ドキュメンタリーではないけれど、現政権の「明治150年」キャンペーンが、この作品がフィクションではないことを感じさせる…

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

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SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

壱劇屋

大阪の身体派劇団の愛知公演。

独特の四面舞台を出発点にした劇構造・演出とそれを立ち上げる身体の、1cm・ミリ1秒単位で制御される総合芸術。
役者全員が、磨かれた身体性と観せ方の統一意識を共有。

最高にいい意味で「金を取って見せられる」小演劇。

ダニ・リマ「Little collection of everything」

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ダニ・リマ「Little collection of everything」

あいちトリエンナーレ2016

あいちトリエンナーレ2016・パフォーミングアーツのTOP演目。

研究発表の感すらある、様々な手札が連句のように飛び出すオブジェクトパフォーマンス。
モノからの想像の飛躍と身体表現の広がり。

客席に多くの子供が来ていたのも印象的。

カンパニー・ディディエ・テロン『AIR』

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カンパニー・ディディエ・テロン『AIR』

あいちトリエンナーレ2016

あいちトリエンナーレ2016・パフォーミングアーツの演目。

名古屋・長者町へモコモコ衣装を着込んだダンサー達が繰り出し、町のあちこちで縦横無尽に大暴れ(ラストはなんと、車の通りの激しい交差点のど真ん中!)。

入念な事前リサーチに基づく「傍若無人な自由」の緻密な演出 。

総評

 再演で、以前観た事のあるものは省きました(もうキリがないので)
 
 例年は、1~5位を愛知県内の団体・6~10位を県外団体の公演にしていますが、今年ばかりは例外。
維新派を生で観れたのは、一生ものの体験でした。
 
 今年は特に、舞台の「外」(社会、空間、人)とリンクする公演が印象に残りました(おそらく個人的な見方の変化だとは思いますが)。

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